78話「ニメア戦後、息つく間もなく……!」
四天王ニメアを倒してから翌日。
サンライト王国は災害でもあったかのように、あちこち崩壊している住宅地があって死傷者も出た。
土方の人が懸命に瓦礫を撤去したり、破壊された道路を直したり、忙しなく動いている。
それをフクダリウスとコンドリオンは視察していた。
「ムウ……、被害は甚大だな」
「それでもドンイ王国みたいになるよりは断然マシですよ」
「……そう納得しよう」
ニメア令嬢が突然強襲してきて、王城へ攻め込んでナッセたちサンライトセブンと激戦を繰り広げた結果、王国内にも破壊が及んだ。
特に鳳凰化したニメアは嵐を巻き起こすほどの攻撃を繰り出していたので、建物が軒並み倒されていた。
こいつのせいで何十人も殺されているのだ。
倒せなければ、もっと被害は甚大なものとなっていただろう。それこそ全滅レベルに!
「あんな残虐な四天王……、無事倒せて良かったです……」
コンドリオンは握った拳を見下ろす。
「そういえば、インド人とやらの能力はもう消えたのか?」
「はい……」
コンドリオンは頷く。
あれで一生で一度きり。別世界の自分自身の能力を再現できるなんて、普通は不可能。
しかしコンドリオンの腕が象の鼻に変態してニョロニョロしていく。
「それは……? 三体融合でドラガオンになってから失われたのでは……?」
「副作用か、別世界のコンドリオンの象変態能力が残ったようですね」
「そうか……」
「ただ、インド人のなんとかマハーラはできませんが」
「まぁよい。いつもの通りの王子に戻ってくれれば、それだけでワシは充分だ」
コンドリオンの象の鼻の腕が縮んで、元に戻っていった。
モリッカは当たり前のようにサンライト王国の上を飛び回って、相当な被害を確認できた。
「くっ! もっと早く回復できていれば……」
実はニカ大将軍との戦いで、コンセット融合して限界まで戦った結果、しばらく寝込む事になった。
だからどうしてもニメアとの戦いに参加できなかった。
「すまねぇ……。こんな事になったのも僕のせいです。ですが、今は不思議なくらい力が溢れてきてます」
そう、上空を自由自在に飛び回れるのもパワーアップの影響だった。
苦戦して傷ついたりすれば、その度に力が増すようだ。
コンセット融合の副作用かは分かりかねるが、嬉しい誤算だった。
「オラ、やってやるぞ!」
なんかキャラが変わってきているような気がするモリッカだった。
ノーヴェンの部屋へ、乱暴にドアを開けて入り込むオウガ。
申し訳なさそうに頭を下げるドラゴリラ。
「ぶしつけに入るのはダメデース!」
「うるせぇっ! 糞眼鏡っ!!」
「すまへん……すまへん……」
興奮した状態でオウガは鼻息を荒くして、カードを強く差し出す。
「全然発動できねぇじゃねぇかっ!! こんな不良品作るなよっ!!」
「それは【融合体】カードですネー」
「全く使えねぇな!」
ノーヴェンはあくまで冷静に、立てた人差し指を左右に振る。ノンノン!
「盗まれて勝手に使われないよう、承認システムを導入しましター。正当な所有者でなければ発動できないようになってますので、私以外は使えまセーン」
「ふざけるなっ!! 使えるようにしろよっ!!」
「……また、ドラガオンになりたいんですカ?」
「当たり前だっ! 今の俺様は────!!」
憤慨するオウガが言うに、融合解除後に万全の姿で戻ったのはいいが、バーニングはおろかレベル概念も消失してただの人間になったのだ。
これでは一般人と変わらない。この事に絶句して絶望したそうだ。
「それで【融合体】を盗んで、ドラガオンに返り咲こうとしたんですネ」
「ああ……。なんとかならないのか?」
「せや、ワイもゴリラになれず、ただ指とか伸ばすだけになったんや!」
ドラゴリラは指をニョキニョキ伸縮してみせる。
「竜さんに殺されかけた上に、九十九年奥義の後遺症で高齢になってからの融合でしたし、重篤な状態で戻されるよりはマシと思いますガ?」
「くっ! 俺様はこんな最弱でいたくねぇんだよっ!」
「それに、その状態で融合しても以前と同じように最強のドラガオンになれる保証はありまセーン。それにコンドリオンも拒否するでショウ」
「なん……だと……!?」
「一応、なんとかしますが時間はかかりマース。待っててくだサイ」
「……さっさと作れよ! 糞が……!」
悔しい顔で俯くオウガ。それを「まぁまぁ」と宥めるドラゴリラ。
ノーヴェンは冷めた目で「それを返してくだサイ」と手を差し出し、オウガから【融合体】を返してもらった。
すると兵士たちがやってきて、オウガを連行していく。
「今のオウガでも管理職の仕事はできるでショウ? 行った行った」
「糞があぁぁぁぁあッ!!」
そうして管理職に縛られて、激務に忙殺された。
ナッセの自宅で、リョーコはお粥を作っていた。
それを寝室まで運んでいくと、ベッドでナッセは疲れた顔で上半身を起こしていた。
「できたよ」
「……ああ」
リョーコはスプーンでお粥をナッセの口へ運んでいく。
「大丈夫?」
「ニメアでムリしたからかな……。うう……やらかした……」
「気を病まないでよね。アンタが追い詰めたおかげで、ニメアはダメージを薄めきれずに負けたって話だからね!」
「ありがとな……」
力なく笑うナッセ。
「ほら、食べ終わったらノーヴェンの薬飲む!」
「手間をかけさせたな……」
「なーに言ってんのよ!? アンタの副官だからね! 意地でも支えるから!」
ナッセはリョーコがこれほど頼もしいと思えた事はなかった。
そして安心したのか、ぐっすり寝入っていく……。
その五日後、遠くを偵察していた見張り兵から連絡が来た。
「大変ですっ!! 帝国軍が大挙して我が国へ進軍していますっ!!」
「なんだと!?」
「これで三回目の侵略ですよっ!?」
「オラ、待ってたぞ! ワクワクすっぞ!!」
「忙しないデース……」
「糞が……! ドラガオンだったなら……!」
「どないすんねんっ!?」
フクダリウス、コンドリオン、モリッカ、ノーヴェン、オウガ、ドラゴリラは切羽詰って立ち上がった。
ナッセ不在のサンライトセブンを筆頭に、慌ただしく将軍や兵士が出陣していく。
フクダリウスは総隊長として声を上げた。
「ここはなんとしても、帝国軍の大侵攻を食い止めるぞッ!!」
「「「おおおおおおおおおおおッッ!!」」」
あとがき
唐突に大侵攻が始まって困惑していた読者がいたようなので、間となる話を速攻で加筆しました。




