77話「王子と鳳凰! 因縁の対決!」
ドンイ王国を面白半分に滅ぼした西の四天王の鳳凰ニメア。
そしてかろうじて生き延びたドンイ王子コンドリオン。
二人は睨み合っている。まさに因縁の対決だ。
リョーコに介抱されているナッセは息を切らしながら、戦いの行方を見守る。
「あはははははは!! だからってなぁに? 私はどんなダメージを受けても復活できるわ!」
「でも痛いだろ?」
相変わらず相手をバカにしているニメアに、コンドリオンは真顔で突っ込む。
「それにナッセを怒らしたのは、浄化攻撃を受けたくなかったからだろ?」
「へぇ? それはともかく、こんな美しい体に傷一つ……」
「分かっているんだ。激昂したナッセの猛攻を痛みなく耐えてたわけじゃない。痛みも何もない素振りして、余裕ぶってるけど実際は今も深刻なダメージが蓄積されている」
「はぁあ!?」
「体はきれいで万全でも、受けてきたダメージは帳消しにしていねァ……」
ニメアはギクッとする。
ガンマ皇帝に致命傷をもらっても復活できたのは、予めダメージを薄く延ばす事で致死を逃れただけで、実は全快するまで時間がかかっていた。
だから今更攻めて来てたのだ。
それに今もナッセの猛攻を浴びて平気な素振りしているが、実はとっくに何度も戦闘不能になるレベルのダメージを持っている。
「緩やかにダメージを和らげてから回復する事で致死を逃れるだけで、決して完全不死身じゃねぇよァ」
コンドリオンの冷静な指摘に、ニメアはギリギリ歯軋りしていく。
ゴミのような存在に自分の特性を看破されるとは思わず、激情にならざるを得ない。
「す……すごい……!」
「こんな聡明だったのね……?」
元からそうだったかもしれないが、いつにも増してコンドリオンは冴えている。
フクダリウスも感激して「王子……成長しましたな……」と涙を流す。
オウガとドラゴリラは「俺様ら出番なくね?」と焦りながら隠れたままだ。
「だから覚悟してください! 鳳凰ニメア!」
コンドリオンは再びキッと鋭い眼光を見せた。
ニメアは醜悪な怒り顔に歪ませて「ムカつく!!」と激情をあらわにした。
本当なら退けば助かるのに、彼女はプライドで許せなかった。
「僕はもうドンイ王国を失ったけど、第二の故郷であるサンライト王国を守る為に戦うァ!!」
「だったらぜーんぶ滅ぼしてザマァと笑ってやるわッ!!」
両者は裂帛の気合で咆哮しながら再び間合いを縮め合う。
「ニメア!! 行くぞァ!!」
「じゃあ逝けよ! 下等生物!!」
二メアは爪で、コンドリオンは象前足で、繰り出した攻撃が互い衝突。その衝撃波が荒れ狂って上空の曇りが真っ二つに裂けた。
「うおおおおおおおおおッ!!」
「きぃえあああああああッ!!」
異次元の象攻撃と、鳳凰の攻撃が入り乱れて、激しい格闘戦が繰り広げられていた。
生じる二人の威圧が黒い稲光となって迸って、大地は揺れる。
絶え間ないほどの莫大な打撃の嵐が大空に展開されて、その余波が連鎖する嵐となって、大地を蹂躙し続けていった。
「神象ァ“異次元”巨象拳ッ!!!」
「鳳凰の灼熱尾っぽッ!!」
コンドリオンは右腕を巨大な象そのものに変えて、超高速超重量繰り出すパンチ。
対してニメアは七本の巨大な尾っぽを振り回して、嵐を巻き起こすほどの超常攻撃。
ドッゴォォォンッ!!
広範囲を爆裂で広がり、衝撃波の津波が周囲を薙ぎ払っていく。
それ以降、コンドリオンとニメアは必死の形相で死闘を演じていたァ!!
その戦いは長引いていたが、頑として崩れないコンドリオンにニメアは徐々に疲弊して息を切らしていく。それもそのはず、高みの見物と他人をけしかけて敵を貶めてきた。決して自ら出て戦う武闘派ではない。
ガンマ皇帝に極刑されて、結果的に追放された。もう後ろ盾もなにもない。慕ってくれる部下も仲間もいない。孤独で戦うしかない。
「がんばれ!! コンドリオン!!」
「王子! そこですぞ!!」
「がんばれー!!」
サンライト王国の仲間が応援してくれてコンドリオンは更に活気を増している。
そんな眩しい彼に、ニメアは疎ましくも羨ましく思った。同時に後暗い自分の浅はかな本性が嫌でたまらなくなってきていた。
「くそが……!」
でも本当は……、誰からも慕われて美しく輝きたかった。
分かっている。悪いところばかり探してバカにし続けていては、誰も慕ってくれはしない。恐怖で支配しても、心底から認めてもらえない。
何をしても裏目に出るだけ。
「ま、まだまだよっ!!」
「いいえ! もう終わりましょう!!」
コンドリオンは鳳凰を前屈みにしてから背中から抱え、象の大きな耳を羽ばたかせての時空間転移を連続で繰り返す事で上昇。
フォン! フォン! フォン! フォン!!
その前座によって、太陽へ届かんと天高く舞っていく。
「では行きますッ!!」
コンドリオンは鳳凰を逆さまに、象の両腕で相手の両腕に相当する両翼を肩に抑え、象の両足で相手の後頭部からXするように首元を締めた。ガッキィン!
鳳凰ニメアはドラゴン並の巨体の為、こういう極めに出た。
「これが……僕が繰り出せる最大最強の神象技!! ドンイ王国と、それまで利用して捨ててきた犠牲者の無念を晴らす為に、全身全霊繰り出しますッ!!」
「なによ……こんなものッ…………!!」
ニメアは無様に負けたくなくて全身から灼熱を噴き出して脱出を試みるが、それを吹き飛ばすようにコンドリオンの全身から稲光が放射状に荒々しく迸る。
バリバリバババババッ!!
まさにインド人の火事場の馬鹿力。力強くパワーが増して、更に極めを強くする。
「これこそが……『インドカレーの極辛力』──ッ!!!」
「グッ……!? ぬ、抜け出せないわーッ!?」
ガッチリ極められて、微動すらできない。なすすべがない。ニメアはただただ焦りまくる。
落雷がごとく、稲光を纏ったまま急降下。
「これで、鳳凰ニメアは、四天王は終わりだあ────ッ!!」
全身全霊込めるコンドリオンは必死の形相で、神々が天から雷撃を放つが如く、地上へ一直線と眩く迸りながら超高速降下中。
目指すはサンライト王国の郊外。ニメアは「なんで、この私が、こんなゴミにぃぃ──ッ!!」と血眼で絶叫。
「神象ァ“異次元”帝釈天雷電────ッ!!」
ガカァァァンッ!!
電速に等しき落下で鳳凰ニメアを脳天から地面へ叩きつけ、土砂の飛沫を大規模に吹き上げて、一気に大地を大きく揺るがした。
コンドリオンは極めていた手足を解いて離れる。真っ逆さまのニメアは「ギェバッ!!」と吐血し、ゆっくりと横たわった。ズン!
徐々に鳳凰が人間へ戻って微動だにしない。
さすがに蓄積されたダメージ負債を薄めるにも限界があり、致死を避けられなくなってしまった。
……もはや鳳凰ニメアは完全に息絶えた。
「ついに因縁は断ち切れました!」
晴れ晴れとしたコンドリオンはサッと拳を突き上げて勝利を宣言した。
王様も兵士たちも歓喜して湧き上がっていく。ナッセもリョーコも安堵して笑んでいく。
そしてフクダリウスは震えるほど感動して、熱い涙を流していった……。
あとがき
実はリメイク前ではニメアの存在が名前だけの登場で忘れられて最終回までいったので、この作品に加筆して存在感を強めてました。
そして今回は新たにニメア戦を追加して、コンドリオンの因縁を解消しました。
そもそもコンドリオンの出番が少なくて印象が弱いのが気になってたので、これを機会に活躍させる事ができてよかったー。




