68話「最後の四天王が襲撃!? その真意は!?」
サンライト王国の郊外で爆炎が大規模に轟いた。振動が国中を走り、人々に恐怖を差し込んだ。
尚も地を揺るがしてドカンドカン爆炎が立て続けに噴き上がる。
だが、その凶悪な破壊は国へ入り込むことはなかった。
「な、なんなんにかっ!? テメェはっ!!?」
空に浮く、カニを彷彿させる風貌の真紅に染まった装甲に、体格もフクダリウスをも凌ぐ巨躯。
それこそが東の四天王ニカ大将軍の全貌。
両手から無数の光線が放たれ、屈折しながら城門へと殺到。その先に一人の男が阻む。
ドオオオオオォォッォン!!!
大規模な爆発が爆音を鳴り響かせる。
が、一人の男は片手で振り払うだけで爆風はあっさり霧散される。まるで埃を払うが如く容易に。
ニカ大将軍は汗を垂らして「なに……!」と焦りを見せる。
「ここまでとは……! 大したヤツだ…………!」
「すごいわねー」
その後ろで控えていたナッセとリョーコは驚いていた。
モリッカたちも唖然としている。
あの爆発は確実に城壁を崩し、数軒の家を巻き込んでしまうほどの火力。決して個人の鋼鉄の盾とかで防げる代物ではない。もうそう言う次元のものじゃない。
……それを払うだけで弾くとは!
「流石はドラガオンですネー」
「はい! もう完全に防ぎきってますよ!」
ノーヴェン、モリッカは安心していた。
そしてフクダリウスは静かに戦いの行方を見守っている。彼らに背を見せているドラガオンは不敵に笑む。
「案外、弱うてつまらん相手やがです」
「カニニ……! ドラガなんか知らんが、このシュパンシア帝国で最後の四天王の東のニカ大将軍様を知っていての事にか!?」
「……なんか四天王が残り一人になってるんだけど、もう一人はどうしたんだよ!?」
「こっちも色々あってにかな……」
ナッセはジト目で呆れる。前世はそんなんじゃなかったのになぁ。
確か四天王はイワシロー、竜さん、鳳凰ニメア、そしてニカ大将軍だったはず。
特にニメアは因縁深い相手だ。
「フッ、もおう弾切れぇじゃあらへんですぜ?」
自信満々で不敵に笑む漢はドラガオン。
オウガ、ドラゴリラ、コンドリオンが融合した一人の漢だ。全身から漲るオーラはドラゴンフォース。あらゆる攻撃をも遮断してしまうほど強烈なオーラ。
高いスペックを誇る魔鱗族の猛攻ですら例外ではない。
ニカ大将軍は焦りを滲ませていた。というのも、これまで誰も太刀打ちできず蹂躙してきた無敵の大将軍。名だたる人間の英雄を惨殺し、滅ぼした国は数知れず。
────それがあの男に何一つ通用しなかったのだから!
「テメェは誰にか!? 聞いてたサンライトセブンの誰とも該当しないにかっ!」
ナッセは気になった。
ニカ大将軍は魔海では人望が高い武人、本来なら自分の軍勢を率いて攻めてくる。前世でもそうだった。
なんとかサンライトセブンで優勢に持ち込んだが、ニカ大将軍が直々に出張ってきて交戦した。
「……何故、単独で来た? ガンマ皇帝の命令か?」
「フン! これは俺の独断にか! 皇帝陛下はなぜか他国を攻めるなとおっしゃったにか」
どよめくナッセたち。だがドラガオンは腕を組んで会話を眺めている。
「じゃあなぜ、ガンマ皇帝は手を出すなと言ってるんだ?」
「それはこっちが知りたいにかっ! だから我慢ならないにかーっ!」
ニカ大将軍は怒りを滲ませていた。
「なに!? 勝手に攻めて来ているってわけー?」
リョーコが拳を振り上げて抗議する。
「待て! お前が最後の四天王ってんなら、ニメアはどうしたんだ!?」
「皇帝陛下が直々に処刑したにか! 前々から皇帝陛下がおかしいにか! 俺たちは帝国領地を広げたいのに、皇帝陛下は頑としてずーっと後回しし続けてんだにかっ!」
葛藤を吐き出すようにニカ大将軍が激白してきた。
ナッセは「ウソだろ……?」と驚くが、ニカ大将軍も「そりゃあ、こっちのセリフにかっ!」と返してくる。
未だ疑うが、偽情報でかく乱してる訳ではなさそう。
「オー!? なぜ四天王ニメアが処刑されたのデース?」
「……帝国の為、皇帝陛下の為、と色々工作してたのに、なぜか皇帝陛下の逆鱗に触れたにか!」
「えぇ……」
さすがのモリッカも引く。
ナッセも怪訝に眉をひそめてしまう。これではまるでガンマ皇帝が平和主義のように見えるではないか?
まるで戦争を好まず、なんとか四天王を押さえつけているようにしか見えない。
「ガンマ皇帝は……、世界を統一しようとする野心家だ。好戦的に周辺の国を次々侵攻していって領地を広げて、文明を急速発展させていきたいはずだ」
ナッセがムキになって皇帝を語る。
すると威嚇射撃のように撃ってきて、目前の地面で爆発が巻き起こる。飛沫が舞い上がり、ナッセは腕で顔を庇う。
見上げればガッカリした顔を見せるニカ大将軍。ウソは言ってなさそう。
「それだったら、どんなに良かったか……。だが今の皇帝陛下は、まるで平和主義のように戦争を快く思ってないにか…………」
「待ってよ! 今こうして攻めてるのも、命令違反でヤバいんじゃないのー!?」
「軍勢を率いる許可はどうしても貰えなかったが、殺す価値もないオウガの討伐を申し出て、なんとか単騎で出撃できてるんだーっ!」
ニカ大将軍は戦意を昂ぶらせて襲いかかってくる。
あとがき
ニカ大将軍「我が軍でサンライト王国を攻めたいにか!」
ガンマ皇帝「こらー、侵略戦争はいけないよー! ダーメ!」
ニカ大将軍「くっ! ならば単騎でナッセを討伐したいにか!」
ガンマ皇帝「スーパーウルトラ激烈ダメ!」
ニカ大将軍「なんだと!? じゃあ闘将フクダリウスの首を!」
ガンマ皇帝「うーんダメ!」
ニカ大将軍「ぐぬぬぬ! ならば知将ノーヴェン!」
ガンマ皇帝「ダメ!」
ニカ大将軍「ええいっ! じゃあオウガで妥協してやるしかないにかっ!」
ガンマ皇帝「うんオッケー! あいつ死んでも影響ないからね」
ニカ大将軍「ぐぬぬぬ……! 出撃できるだけマシにか……!」




