64話「これで形勢逆転か!?」
次々と火炎弾が飛んできて竜さんは焦る。フッと搔き消え、超絶神速でナッセの背後へ回り込んで爪の一撃を振るう。
が、ナッセは見切っていて振り向きざまに掌をかざす。
「バカめ! そんなヤワな手で受け止め……!?」
ふわりと爪がナッセを撫でる。
しかし少し離れた所から、弾け飛ぶように岩盤が捲れ上がった。ズゴゴ!!
「クッ! 直接攻撃まで無効化だとぉッ!? ……範囲内だけ無効化する仕組みかッ!?」
引っ掻きに移行するも、爪がナヨナヨになって歯応えが全くない。
ならばと握り潰そうと鷲掴みするが力が入らない。でも離れた範囲から破壊が撒き散らされていて、威力は相当なものだが、それを範囲内とはいえ完全無効化はヤバいレベルだ。
「クソ!」
何度も攻撃を繰り返すがへなへなになってしまうばかりだが、逆に範囲外では地震と岩盤が噴き上げられていた。
一方ナッセは苦い顔をしていた。額に汗が滲む。
「くっ……、はぁ……はぁ……」
相手の攻撃力の分だけエネルギーを消耗する。そうそう何度も無効化できる代物じゃない。現に無効化範囲が狭まっている。
先に相手を戦意喪失させないと!
「喰らえっ! 爆裂連弾!!!」
白き爆発の連鎖が巻き起こる。爆風として花弁が散る。まともに食らって竜さんは仰け反った。
耐えぬ弾幕に押されて竜さんは焦りを募らしていく。
「ガアアアッ!!」
かなり後ろへ必死にバックステップ。
ようやく射程外に出て安堵。が、後ろからドラガオンがマッハの飛び蹴りが飛び込んだ。
「ぐっ!」
まだ倒れていないだと……? ドラゴンフォース……本当に厄介なオーラだ。
なんと依然万全のドラガオンが立ちはだかっていた。
「グオオオオォォォォ!!!」
ドラガオンは吼えると共に、凄まじいオーラを纏って更に連続で蹴りを見舞う。
流石に一人の人間によって弾き飛ばされ続けては、竜さんは焦りを滲ませるばかり。
「そんなに負けたいなら、望み通り打ち負かしてやる!!」
竜さんの巨竜としてのパンチがドラガオンを殴り付ける。が、ドラガオンはニヤッとする。
「……さっきまでの勝利への情熱が拳に乗ってへんやですぜ?」
「く、この……!?」
今度はオーラを纏ったドラガオンの突き上げるような腹パンが、竜さんの腹にめり込んだ。重くのしかかるような拳だ。ズッシリと力が乗っている。竜さんは「ガフッ」と血を吐く。
「更にもう一発!!」
今度は片方の拳で腹を抉る。ズン!!
「ゴハッ」竜さんは前屈みに前傾して血を吐いた。
悔しいはずなのに煮え切らない怒りの想い。
ナッセの浄化攻撃をマトモに食らったせいで戦意がイマイチのようだ。
負けそうな時の悔しさはおろか痺れるような快感さえ、浄化はそれらを奪う!
ナッセへ睨むが、ドラガオンが拳を振るって飛び掛かってくる。邪魔だ!
「「グオオオオオオオ!!!」」
再び両雄は激しい超速ラッシュを繰り出し始めた。
周囲に大地の震えと大気の渦と稲光が巻き起こって、天変地異の様相を展開していく。
息を切らし、ナッセは膝をついていた。
「くっ……!」
やはり……死に戻りループを繰り返したせいで体は痛めたままだ……。三週間の座禅のおかげで持ってるだけだ。もし万全であれば竜さんや二メアとガンガン戦えるんだが……。
……もはや、これ以上ムリできねぇ…………。
しかし飛んで来た瓦礫が襲いくる。しかもデカい。
すると二体出てきたコンセットがモリッカへと吸収されていった。
「え? 今の何……!?」
「これが僕の時空間魔法『コンセットブースター・カスタムモリッカ』ですっ!」
コンセットの頭が両手首へ融合したモリッカが自信満々に笑む。
三倍以上の膂力となって、素早く瓦礫を素手で砕き散らす。轟音と共に破片が四散。
「すごいな……。ってか時空間魔法使ってんのかよ……」
ナッセはジト目で見やる。
するとリョーコが肩を揺すってくる。
「どういう事なの? 唐突な展開が多すぎてワケ分かんないわよっ!」
「……モリッカも時空間魔法使って、コンセットの数だけパワーアップしたらしい」
「えー!? いつの間にー!?」
なんとモリッカもこっそり会得してて、コンセットを媒介にして強くなれるスキルを得たようだった。
これも何らかのリスクを伴うだろうが、今は助かった。
「大丈夫です!! なんたって僕達は二人の魔法少女……」
「前、前〜ッ!!」
「おっと!」
飛んできた岩をモリッカが裏拳で砕く。
拳一撃で大岩をも木っ端微塵にする。これほどの力をモリッカが出せるのは驚きだ。
「これがモリッカの新スキル『コンセットブースター・カスタムモリッカ』の力なの!? すごいじゃない! フクダリウスより強いんじゃ……?」
「恐らくコンセットの分だけパワーアップできるから、その気になれば……」
「十分すぎるパワーアップじゃない!」
……が、竜同士の戦いで巻き起こる流れ弾は絶えない。キリがない。
しかも数十分でモリッカもまた、限界に近づいていて苦い顔をしていく。
「くっ!」
「どうしたのよっ!?」
「きっと三騎衆との戦いで、既に使っているんだと思う。だから……」
「えー! やば!」
コンセット融合を二体に留めたのも、今のモリッカではギリギリ限界らしい。
「もうちっと持ってくれよ!! 僕の身体!」




