56話「フクダリウス 対 カバちゃん!!」
ドラゴン温泉街から僅か五〇〇メートル前で、首領邪羅三騎衆とフクダリウス、モリッカ、ノーヴェンがぶつかり合っていた。
「ギヒヒッ! 名高いサンライトセブン最強のフクダリウス! 貴殿とは雌雄を決したいと思ったわッ!!」
重い大きなハンマーを軽々と振り回して、フクダリウスも斧で奮戦して、激突のたびに火花が散り衝突音が大気を震わせる。
フクダリウスは汗をかき、敵の恐るべき怪力に戦慄していた。
オーラで筋肉を膨らまして戦っているのではなく、素でこの膂力でフクダリウスと渡り合っているのだ。
「……首領邪羅三騎衆のカンバチ。聞いた事はなかったが、そのような猛者が隠れているとは!」
「血祭りの魔獣……と、聞いたら?」
「まさか……!?」
フクダリウスは見開く。
どこか遠くで聞いた事がある恐れられた話。
正体不明の獣人が理由もなく村や町を襲撃して血祭りにあげたと言われている。その時は有名な盗賊団かと思ったが、他の盗賊団も壊滅に追い込まれたりと無差別だった。
故に、盗賊の類ではなくただの殺戮者……。そしてカバは凶暴な動物とも聞く。
「竜さんに敗北の味を知ってから、つるむようになったのよ。こうして四人で囲んでゲームをするのも楽しみに思うようになってきてな……」
「女子供も関係なく皆殺しにする最悪な殺戮者が……、貴様だったかっ!」
「ギヒッ!」
憤慨していくフクダリウスを鼻で笑うカバちゃん。
「ならば、捨て置けんっ! ここで貴様を葬り去ってやるっ!! かああっ!!」
憤ったフクダリウスは筋肉を膨らます。
そして両手で握った斧を超高速で振り回して、竜巻のオーラを放つ。それは竜巻の光線がごとく、地面を裂きながらカバちゃんを飲み込まんとする。
「ブパアッ!!」
しかしカバちゃんは口から凄まじいオーラの光線を放ち、全てを揺るがす大爆発が巻き起こった。
煙幕が巻き起こり、烈風が吹き荒ぶ。
ゴゴゴゴ……と地鳴りが収まっていく。
「フクダリウス・タイフーン……だったか?」
「なに……!?」
「ギヒヒッ! 逆に驚いているのはワシの方だ! この『カバちゃんバズーカ』と互角だとな! だが!」
突然、カバちゃんは口から再びオーラを放射してフクダリウスを大爆発で包む。大地や大気を震わせるほどの恐ろしい破壊力。
爆煙が晴れ、フクダリウスは「ぐ……!」と苦悶しながらよろめく。
「……このように連射できるかな? ブパアッ!! ブパアッ!!」
フクダリウスハリケーンと同等の威力を連発して、フクダリウスを爆撃の嵐で追い込む。
さしもの頑丈なフクダリウスも「ぐわあああああっ!!」と苦悶を上げる。
「ギヒヒッ!! これで人間を撃つと木っ端微塵に肉片飛び散って、周囲の人々を恐れさせたのよ! 次々木っ端微塵にしていくたびに、誰もが恐怖で泣き喚き、絶叫し、無残な最期を迎えていくのを見ていくのが愉しいのよ! さて貴様は、いつまで持つかなっ!?」
更に連射を繰り返して爆撃の嵐を起こすが、それがだんだん近づいてきてカバちゃんは不審に思った。
すると爆風から手が抜け出てきた。
カバちゃんが驚き、フクダリウスは血まみれながらも憤怒の表情で姿を現す。そのまま手はカバちゃんの首を掴む。
「うがっ!?」
筋肉隆々の手で掴まれ、カバちゃんは絶句する。
慌てて怪力無双の両手でそれを解こうにもビクともしない。これまで互角の激戦がウソのように、フクダリウスの片手一本に四苦八苦するしかない。
首を掴まれているので、砲撃する事はできない。
「うぬは、守りたいほど愛する者もなく! ただ愉悦の為に怪力無双を振るまい残虐の限りを尽くしたのかあッ!!」
「ゴホッ! ま、待て……! 待……」
「そのように命乞いした人は多く見たのだろう!? 見逃したのかあッ!!」
青ざめるカバちゃん。徐々にその巨躯がフクダリウスによって持ち上げられて、両足をばたつかせるしかない。
「そのようなクズに用はないッ!!」
カバちゃんをアッパーで上空へ殴り飛ばし、斧を振り回していく。
竜巻のように天高く伸びていってカバちゃんを「ぎひあああーっ!」とキリキリ舞いに飛ばしていく。
そしてフクダリウスまでも竜巻に乗って急上昇して、カバちゃんを逆さまに極めた。
豪腕でカバの足を交差させて締め、豪脚でカバの脇付近を踏み、身動きさせない。ガッキィン!
「天国から見ているか!? こやつによって生活と将来を奪われた者ら! その無念を晴らす日がやってきた────ッ!!」
カバちゃんは必死にもがいて脱出しようにも、ビクともしない。
尋常じゃない怒りの力で極められているのを察し「待ってくれ! 待ってくれーっ!! まだ死にたくないいいい!!」と必死に泣き叫び続ける。
「そのように、なすすべもなく殺される恐怖を、自らも味わうがいい──ッ!! そして己がやってきた罪がどれだけ重いか思い知れ────っ!!」
「待て待てっ! 待てえぇえっ!! ぎひあああああああ──────ッ!!」
気合いを入れて、そのまま二人キリモミ回転で急降下していく。
竜巻をまといながら、グルグル回転しながらカバちゃんは見開いたまま「うわああああ!!」と絶叫。
「フクダリウス・ツイスタードライバ────ッ!!」
超重量のフクダリウスが全体重を乗せたまま、カバちゃんの脳天を地面に叩きつける。ガガァン!
深く地面を穿ち、高々と飛沫を噴き上げて破片が飛び散った。
逆さまのカバちゃんは表情を歪めて「カバア~ッ!」と大量吐血し、そのまま横たわって息絶えた。
「勝ったッ!!」
フクダリウスは勝ち誇ったかのように吠えた。
あとがき
激怒したフクダリウスが思った以上に底力を発揮したので、カバちゃんヘタレ化したのですw
黙って普通に戦ってたら、いい勝負をしていたかもしれませんw




