47話「オウガの新必殺技が炸裂!?」
唐突に旅館に現れた龍人の警告に、サンライトセブンは戸惑う。
にべもなく断られて落ち込んでいるドラゴリラ。
それに構わず龍人はナッセを見やる。
「そこの銀髪、妖精王の子……、そして幼子だな」
「え?」
龍人に見つめられるナッセへ、サンライトセブンも注視した。
「妖精王の子って!? 人間じゃないって事ぉ~??」
驚くリョーコに龍人は「うむ」と頷く。
コンドリオンは龍人とナッセを見比べて、苦笑う。
「は、ハハ何言うてるんですか? ナッセさんは見た目こそですが……」
「いや、人間では青年期でも、妖精王としては幼少期だ。この頃はまだ人間と大差ないが、成長すれば心身ともに人間離れしていくぞ」
龍人にそう言われ、ナッセは戸惑う。
「なぜ、そんな事を……?」
「その髪と目を見れば分かるが、死に戻りは繰り返すもんじゃない。結果的に妖精王としての成長を早めて、いずれ人間どもに差別されるようになるぞ」
「そ、そんな事はありません! サンライトセブンはそんなヤワな絆じゃありませんよ!」
「そうよそうよ!」
なんとモリッカとリョーコが反論。
「ナッセが妖精王の姿になれば、今までと同じ目で見れまい」
龍人はソファーから腰を上げた。
「竜と妖精は、同じ上位生命体だからな」
「では聞きたい事がある。ドラゴリラは前世でドラゴンの力を得ているが、今世でも持ち越ししてるか?」
「うむ。答えよう。上位生命体は前世の記憶を引き継いでいるからな。残念ながらゴリラと適合せんからドラゴンの力を持ち越す事はできない」
「そうか。なら大丈夫そうだな」
「そうだ」
「えっ!!? ナッセはんまで……!?」
龍人の言葉に安堵したナッセ。それに衝撃を受けるドラゴリラ。
オウガはカッカして詰め寄る。
「なんとかしろ! 無能の糞蜥蜴がぁ!」
すると龍人に頭上を小突かれて、オウガは「ぎゃああ」と転がる。痛すぎて頭を手で押さえてもがく。
フクダリウスは額に手を当てて深い溜息。
リョーコは「やっぱりブレス吐かれても仕方ないわねー」と呆れる。
「ゴリラとドラゴンは競合する。故に寿命を縮めた。現に副作用に苦しみながら死んだのも確認済みだ」
愕然したままドラゴリラはナッセへ振り向く。ナッセは目を瞑って頷く。
次第に膝から崩れ落ちていく。
「そ、そないな~! ワイはゴリラのままでドラゴンになりたいんや〜!!」
「もう止めましょうよ。僕もドラゴリラに無理をして欲しくないんだ」
コンドリオンは肩に手を置き、慰めた。
龍人は咳払い。
すると憤慨したオウガが飛び出す。怒りまみれに振り下ろしたナイフの切っ先を、龍人は指先で受け止める。
「無礼なだけではなく、命知らずだな……」
「うるせぇよっ! 俺様はサンライトセブン最強の熱血漢オウガだっ! 目的を果たすまで止めねぇぜっ!」
「見るに堪えない醜い人間だ」
龍人は不機嫌そうに顔を歪める。
フクダリウスはオウガに「やめんか!」と怒鳴っても、オウガは止まらない。
ナッセははらはらする。
また怒らしてブレス撃たれないか心配だ。
「ドラゴリラが考案してくれた、俺の新必殺技『殺人移動』を喰らえっ!!!」
火炎のオーラをまとったオウガが龍人へ突進。
すると周囲に「殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺、殺」と複数の文字が流れていく。
目の錯覚か、とナッセたちは驚く。
「せや! 殺を撒き散らして突進しながら、一瞬連撃を叩き込む必殺技や~!!」
同時に繰り出したかと錯覚するほど幾重の軌跡を描く。それは龍人の全方向から襲いかかって打撃音が連鎖して鳴り響く。
決まればズタボロに引き裂くであろう。
しかし、龍人は人差し指で全てを払っていて無傷……。
「なっ!? 新必殺技が通じないだとぉ~!?」
「なんやてっ!?」
「話にならん」
オウガの額にデコピンして、頭を振動させて強い脳震盪を引き起こす。
白目で膝から崩れ落ちて横たわる。余りにも呆気ない。新必殺技は確かに強かったが、龍人相手に児戯でしかない。
リョーコは「元が弱いからねー」と呆れた。
フクダリウスは溜息。ナッセもホッとする。
「ブレスしてくるかと……」
龍人も呆れて「このバカはともかく、股間揉みは不快だからな。二度とするな」とドラゴリラを睨む。
当のドラゴリラはビビって土下座。
「えろう、すまへんすまへん……」
とか言いつつ、キラーンと目を輝かせて素早く龍人の股間へ「イキナリ股間揉……」と襲いかかってきた。
もう見切られているのか、揉もうとしてくる手を龍人の足が踏みつけた。
「ぎゃああああああああああああ!!!」
バキボキと骨が砕ける音がする。
ドラゴリラは涙目で悲鳴を上げ続けるも、龍人は仏頂面で容赦なくグリグリ踏みにじっている。
ナッセたちはジト目で呆れるしかない……。
「こやつら二人の無礼をすまん……。見逃してやってくれんか」
フクダリウスが頭を下げると、龍人は足をどかして引き下がる。
ドラゴリラは砕かれた手に「ううあああああ……!」と呻いているが、自業自得だなぁ。
モリッカが駆け寄って回復魔法をかけていく。
「さっさと帰れ。無礼な奴に何も教える事はない」
フッと消えた。後は呆然。サンライトセブンはしばらく動けなかった。
後でフクダリウスがオウガとドラゴリラをこっぴどく叱ったようだ。頭にコブを作り二人はショボンとしていた。
ナッセたちはボードゲームをやったりして楽しんだ後に就寝した。
深夜寝静まった温泉街。
「サンライトセブンよ! かつてない敗北の味を知れ……!」
夜空の下、一人の人影から重々しい威圧が膨らんでいって、周囲の建物が震えだし深き森もザワザワ騒ぎ出していく。
あとがき
実は【第一部】の『殺陣進撃』やナッセの『流星進撃』のルーツとなった『殺人移動』ですw
元祖だけあって、ネーミングセンスねぇなと自分で思うw




