37話「時空間ワープの講座!?」
第六試練は、まっすぐ突っ切るだけの単純な通路。道の幅は約十五メートルぐらい。出口までは約五キロだ。
しかし次々と黒渦が発生して、ゴーレムが頭から出てくる。
「なんやねん! どんどんゴーレムが湧いてもうてるわ~!」
ドラゴリラは焦りながら、ゴリラパンチで撃退していく。
オウガは「糞木偶があっ!」と両手の人差し指から火炎弾を乱射するが、効果は芳しくない。
なんてことだ、硬すぎる。
なんとかドラゴリラに倒してもらっているが、俺様単体では倒せんっ!
「糞があああああっ!!」
しかも黒渦が一定間隔で発生して、中からゴーレムが出てきてキリがない。
チンタラしていると際限なく増え続ける。
「魔導円陣・六段射撃・猛炎球!!」
ナッセは六つの魔法陣による砲式、各三つ左右へ中級火炎魔法を放ち、挟み撃ちしてくるゴーレムの集団を消し炭にする。
フクダリウスの斧とコンドリオンの象変態が猛威を振るって粉々にしていく。
「四連奏・天嵐旋!!」
「今デース! サウザンド・メガネビーム!!」
モリッカが四体のコンセットで放つ大きな竜巻がゴーレムを巻き込み、ノーヴェンの弾幕を浴びせかけて一斉に撃破していく。
そして「いっせーのぉ……」でオーラを溜め込んだリョーコが飛び出す。
「クラッシュバスターッ!!」
振り下ろし一撃でゴーレムを木っ端微塵に砕き、しかも飛び散る破片が他のゴーレムを粉砕していく。
連鎖的に撃滅されていって数がかなり減った。
「助かる!」
「うん!」
ナッセと背中を合わせてリョーコは頷く。
それでも残っているゴーレムが集まってくる。フクダリウスは「かああああ~っ!!」と筋肉を膨らまして巨躯へと身を変えた。
そして斧を高速回転させていき、徐々に旋風が発生していく。
「フクダリウス・タイフーンッ!!!」
竜巻状のオーラによる奔流が唸りを上げて軌道上にいる全てのゴーレムを木っ端微塵にしていった。
はるか向こうで轟音を伴う大気の破裂が起きて、更に二次破壊を呼ぶ。
ナッセたちはポカンとする。
「……撃滅!」
フクダリウスはそう吠えた。確かにゴーレムは全滅してる。
「いや、今の内に駆け抜けよう! まだ来るぞ!」
「承知した」
「ええ」
「行きましょう!」
無数の黒渦が発生したのが見えて、急いで走り抜けていった。
ナッセは「オレが単独なら、もっと速く駆け抜けてクリアしていた」と脳裏によぎったが、首を振る。
これでもかとゴーレムが時空間転移してきて、先頭を走るフクダリウスとコンドリオンが粉砕していく。
「みんな聞いてくれ。あの黒渦こと『転移ワープ』は、オレやヤマミが使っていた時空間魔法とたぶん同じ」
六つの砲式で火炎やら氷やら光線やら撃って、周囲のゴーレムを撃退しながら説明を始めた。
リョーコは「こんな時に魔法陣って便利だわねー」としみじみ。
「それは如何に?」
「遠くへワープするものですネ?」
「それもあるが、実際は二つの世界を行き交いしているんだ。ここの現実世界と、自分特有の亜空間のな。亜空間は現実世界が白黒になった感じ。現実で起きている事も見える」
「それは便利ですね……」
「ああ。ヤマミのワープで確認した。オレの亀裂とヤマミの花吹雪と、エフェクトが違うが効果は全く同じ」
「そうなんですね」
モリッカは四体のコンセットが次々魔法を放っているので、余裕はできていた。
リョーコは「分身って便利ねー」と感嘆。
「なんやねん! 遠くへワープって、固有の亜空間で走っているんかいな?」
「違う。亜空間内では距離を縮められるんだ。ただ距離に比例して消耗の程度が変わる」
「……どんな感じですかね?」
「知ってる場所まで、たぐり寄せるように距離を縮めていくんだ。風景が縮んで見える。そんで縮めたら一歩進んで元に戻す」
「それで現実世界へ帰れば、遠くからワープしたって事か……?」
「ああ」
みんなは察した。
ワープを潜ったらすぐ望む場所へ着くんじゃなくて、亜空間へ着いてから距離を縮めてワープしたかのように見えてるのだと……。
「固有の亜空間……。そもそもリョーコの為にテント替わりしてたくらいですもんね」
「ああ。自分の空間には持ち物を収納している。もちろん寝具もな」
「お菓子とか、アレの本とか、いろいろ散らかってたけど」
「それは忘れてくれ!」
ナッセは片付けてなかった事を後悔した。
「ヤマミにも見られたんじゃないの?」
「いや、それぞれで違う固有空間だから繋がってないんだ。繋がってたら死ぬわ。ただただ恥ずい」
「そ……そうか……」
フクダリウスは呆れながらも斧でばっさりゴーレムを裂く。
「って事は……、この試練の転移ワープも?」
「恐らく。向こうの亜空間でゴーレムがいっぱい待機していて、それを転移で出してるかもな」
「イエス! では確かめまショウ」
ノーヴェンは浮遊メガネを飛ばして、黒渦へ飛び込ませる。ピピピ!
「オー! 確かにゴーレムが整列してて、頭から黒渦をかぶってこちらに転移してるみたいデース!」
「そんな事も分かるんだ……」
ナッセが出かけた時に尾行させた浮遊メガネで、ノーヴェンに電信していたのと同じ。
リョーコは「メガネ電信、便利ねー」とただの変態じゃないと感心する。
「見えた!! あそこがゴールだっ!!」
「よし! 全力疾走だ!!」
「やっとか!」
なんと出口となる大きな扉が近づいてて、ナッセたちは喜びに満ちた。
これで第六試練もクリアだ。
あとがき
そういえばキャラの由来、紹介しとこうかな?
ナッセ:『為せば成る』のもじり。
リョーコ:普通に人名として。
モリッカ:穏やかをイメージしてたので森。
ノーヴェン:頭脳明晰キャラなんで『脳』をもじった。
コンドリオン:表の歴史に名を残せなかった『近藤利御』という象使いの戦国武将から。
フクダリウス:弁慶のような活躍をしながらも、表の歴史に名を残さなかった不屈の猛将『伏久田利薄』から。
オウガ:個人的な誤読『横柄』が元。実際は横柄。
ドラゴリラ:どストレートでドラミングとゴリラを足して略した。
※参考文献『裏日本史猛者文献書』より、一部戦国武将を引用。
※一部ウソがあるので真に受けないようにw




