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36話「ドラゴリラに任せときなはれ!」

挿絵(By みてみん)


「出口は“影”を倒す事で出てくる」


 ナッセはチラリと向こうを見やる。それを視線で追うと、大草原で人影がポツンと佇んでいるのが見えた。

 人数分、つまり八つの影。


「……今、あの糞影(クソカゲ)を攻めたらダメかい?」

「ああ。危険だ」

「チッ!」


 いつもなら無鉄砲にオウガが飛んでいきそうだったが、慎重になったみてぇだ。

 リョーコは「あれ何なの?」と聞いてきた。


「影に近づいた本人をコピーして本物そっくりに化けるんだ。それも能力もろもろ完全コピーで。ただしスタミナとマジックプールに底がないから無限にスキルを使い放題。でもコピーするのは一回きりで、一度化けたらそのまま。それで倒せればいい。そこだけが救いだ」

「うっわ! 面倒やんっ!!」

「前に来た時も自分自身と戦って、辛うじて勝てた」


 フクダリウスは難しい顔で唸る。


「…………確かに難題だな」


 ナッセは「ああ」と頷く。


「要するに、この中で最弱の人をコピーさせればクリアしやすいって事かな……?」


 コンドリオンは恐る恐る言い出してきて、みんなは騒然とする。

 するとオウガがナッセへ見やる。


「じゃあ、サンライトセブン最弱のナッセが適任じゃないかい?」

「……オレか?」

「ふん! 当たり前だ! どうせ怖気づいて行けねぇくせになっ!」


 オウガは憮然と返し、それにフクダリウスは嫌な予感がして汗をたらす。

 そして意を決したナッセは、杖を手に歩み始めていく。


「そうか。なら、オレが行くぞ!」

「「「「「待てぇぇぇぇッ!! 行くなぁぁぁぁあッ!!!」」」」」


 サンライトセブン全員が必死に呼び止めてきて、「え?」と素っ頓狂の顔で振り向くナッセ。


「やめろ糞餓鬼(クソガキ)っ!! 少しは怖気づけろよっ!! 俺様たちを全滅させる気かっ!?」

「一番ヤバいのあんさんだわ!!」

「頼むからナッセさんは大人しくして下さい!!」

「そうですよっ!!」

「えぇ……」


 思った以上の非難にナッセはしょぼんとする。フクダリウスもモリッカも冷や汗掻いていた。ノーヴェンも動揺からかメガネをクイクイ掛け直している。

 散々見下していたオウガですら、ナッセが脅威だと本音を吐き出すほどだ。


「あんたじゅーぶん強すぎるから! そーゆーの自覚してよねっ!」

「すまん」


 リョーコに指摘され、すごすごと引き下がる。

 ドラゴリラは覚悟を決めたのか真剣な表情を見せる。


「認めたくあらへんが、最弱のワイが行ったるわ……。オウガ付き合ってくれへん?」

「仕方ないな」

「タルパ秘術『ドンイの愉快な人々』!!」


 ドラゴリラが合掌すると、地面から七人のドンイ人が這い出てくる。

 前置きするが、彼のタルパは想像から生まれた幻影に過ぎないが、重量も質感も具現化できるほど高度な幻術だ。


「せや! みんな揃って近づく事あらへんのや!」


 ドラゴリラと一緒にタルパの七人が近づくと、影は鏡で写したかのようにドラゴリラたちと同じ容姿に変わった。

 ナッセは見開く。


「タルパで具現化した人まで……コピーした……だと?」

「やるじゃないの!」


 リョーコはガッツポーズする。


「確かに、これはドラゴリラがいてこそ対抗できるんですね」

「うむ」


 コンドリオンが綻び、フクダリウスは頷く。


「行くぜっ!」


 オウガは地を蹴る。

 次々と影のタルパ人間を切り裂いて虚空へ消していく。具現化した人間は戦闘能力がないので容易く倒せるのだ。


「てめぇで最後だっ!!」


 オウガが影ドラゴリラへ向かうと、阻むようにドンイ壁が連なるように生え出す。

 が、親友の考える事をよく理解しているオウガは「この糞影(クソカゲ)なんて楽勝だぜっ!」と飛び越えドラゴリラの背中にナイフを突き立てようとしたが、ゴリラ化されて逆に殴られた。


「オガハッ!」

「ああっ! オウガっ!?」


 影ドラゴリラは構わずオウガに馬乗りになってボコボコに殴りまくる。「た、助けてくれ~」と悲鳴が上がる。

 ため息をついたフクダリウスが豪腕を振るって戦斧を投げつけ、ニセモノを粉砕した。


「ドラゴリラだったからこそ簡単にクリアできた……。ありがとう。助かった」

「すっごいじゃない! 見直したわよ!」

「えへへ~!」


 感謝するナッセと見直したリョーコに、ドラゴリラは後頭部をかいて照れる。


「おい! おいっ!! 俺様、ボコられ損じゃないかいっ!?」


 反撃されてボコボコにされたオウガは納得いってないようだった。


「ふう……」


 ナッセは内心肝を冷やした。

 自分だけだったら、また大魔法合戦になって命懸けのクリアになってただろう。

 今はサンライトセブンがいるから、簡単にクリアできたんだ。


「とはいえ……」


 もしドラゴリラがドラゴンの力を得ていたら、もっとヤバい事になっていただろう。オレはその最終進化まで見てきたからその恐ろしさは知っている。

 ……だが、ドラゴンとゴリラの競合は自らの命を縮める。あまりにも違いすぎる獣属性だからだ。元がトカゲと蛇だったなら競合せず、ドラゴンに馴染んでいただろう。

 元がゴリラなら同じ霊長類系統の上位魔獣をチョイスすればいいが、きっとドラゴリラは納得しないだろうな。うーむ。


「……その辺はまた後で考えるか」


 みんなが無事に生き残れる為に……。

 ────かくて彼らは出現した出口を抜け、第五試練を無事クリアしたのだった。

あとがき


 ページ表紙の『影リョーコ』は、彼女が影に近づいたらの想像図です。

 実際コピーされたのはドラゴリラとタルパのドンイ人x7ですが、実は想像図のように色が微妙に変化してます。

 ナッセが以前に挑んだ時に現れるコピーも、色違いのナッセだったそうです。

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