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35話「順調に突き進むサンライトセブン!」

挿絵(By みてみん)


 第三の試練の後、中継地帯の鍾乳洞でナッセたちサンライトセブンは焚き火を炊いて休息していた。


 ナッセは安堵。


「ふう……、肝を冷やしたな」

「デスネ……」

「ええ。フクダリウスさんがいなかったら終わってましたね」


 焚き火を中心に囲むナッセたち。

 あらかじめ食料を持ってきていたので、みんなで分けて食べている。今晩はカレーだ。

 オウガは一番が好きなのでガツガツ晩飯を平らげて、立ち上がって「行くぞ!!」とみんなに発破をかける。

 しかしみんなは座ったまま、オウガへ怪訝な視線をよこしている。


「どうしたっ!? サンライトセブンは最強の精鋭隊! こんな迷宮など一時間でクリアできるだろっ!?」

「せや! サンライト王国が誇りを持てる最強軍や!」


 オウガとドラゴリラは気合満タンのようだ。だがリョーコは冷めた目を向けている。


「二人で行けば?」

「なっ!?」

「なぬっ!?」


 リョーコに限らず、ナッセたちは焚き火から離れる気は毛頭なかった。

 オウガはナッセへビシッと指差す。


「糞餓……、ナッセよっ! 急いでたどり着きたいんじゃないかっ? 目的を叶えるべき、体にムチを打ってでも進むべきじゃないかい?」

「そうだな。以前ならそうだった。だがヤマミが諭してくれた……」

「なにっ!? ここまできて怖気つくのかいっ!?」

「オレはみんなと一緒にクリアしたい」


 独り善がりだったナッセが「みんなと一緒に」と言い出したのでリョーコは綻ばす。

 モリッカ、ノーヴェン、コンドリオンも同様に綻ばした。

 オウガは「軟弱者が……!」と歯ぎしり。

 フクダリウスは深い溜息。


「ナッセを焚きつけるな。いいから休め。走るだけで精一杯だっただろう? それに一番ヘトヘトだったではないか?」

「う、うるさい……! それはトラップに巻き込んだナッセのせいだからなっ!」

「あの挟み込むトラップはお前が強引に休ませろ言い出したせいではないか? ナッセは出た方がいいと最後まで試練に警戒を怠っていなかった。それを邪魔した挙句、戦犯に押し付けるのか……?」


 ニヤリとフクダリウスは追求し、ナッセたちは疑惑の眼差しを向ける。


「うぐっ! 糞がぁ……!」

「そう言われると、何も言えへんなぁ」


 ドラゴリラは観念して引き返して腰を下ろし、疲れた顔を見せた。

 一人残されたオウガは「ぐぬぬ!」と悔しがりながら引き返していく。ポッポーと頭上から湯気を出しながら腰を下ろす。ポッポー、ポッポー!


「ナッセ、この通り迷惑をかけた。すまん……」

「いや……気にはしていない」

「ほら見ろ!」


 頭を下げてきたフクダリウスに水を差したオウガは、ゴツンとゲンコツをもらった。いてぇ、と響いた。

 ナッセはカレーを味わいながら「なんだかなぁ」と呟く。

 リョーコが食べ終わると、こちらを向く。


「ねぇ、次の試練ってなに?」

「そうだな。オレ単独なら難なくクリアできる試練だが……」

「言ってくれ」


 フクダリウスに促されて、ナッセは頷く。


「……パネルん時と、あんま変わんねぇよ」





 一晩を寝て過ごし、第四の試練の扉をくぐり、フロアへ踏み込んだ。

 入口と出口の足場の間の下は、沸騰する溶岩で煮え滾っていた。高温でじりじり肌が焼けるようだ。

 そして浮いているのはあちこち点在するブロック。


「へっ! 要は……飛び移ってゴールへたどり着けばいいだけの話だろ?」


 士気高揚と飛び出そうとするオウガを、フクダリウスが「待て」と後ろからマフラーを掴んで止める。

 反動でオウガは「ぐえっ!」と首を絞められた。

 ゲホゲホ咳き込む。


「昨晩説明したが、あの足場となるブロックは消えたり現れたりする」


 あちこちのブロックは薄れて消え、薄ら現れたりを繰り返している。

 コンドリオンは息を飲む。

 ナッセの説明によると、これも時空間魔法によるブロックで一定間隔で消滅と出現を繰り返しているらしい。


「前と同じやり方ですネ……」

「だよ」


 片目瞑って、ため息をつくナッセ。

 コンセットをおぶって、ナッセが『疾風迅雷転化スフィート・サンダーダ』による神速で飛び移って出口までたどり着けば、位置の入れ替えであっさりクリア。

 出口の足場で、溶岩を見下ろしてドラゴリラはホッとする。


「ホンマ、普通にやろうすんなら厄介やね……」

「俺様だったら楽にクリアできらぁっ!」


 オウガは負けじと吠えるが、もはや虚勢だ。


「さて次を行こう」

「いこいこー!」

「イエス」

「はい」

「うむ」

「ナッセさんがいれば、大丈夫ですね」

「せやな!」


 そのまま進んでいくナッセたちに、オウガは頭上からポッポーと湯気を噴いてついていくしかない。

 しかし、実は何もできない上に足を引っ張っている自分に焦りを覚えていた。

 そして苛立ちは自分にも向かっていた。


 鍾乳洞の蛇行する道を進んでいくと、第五の試練の扉が見えてきた。


「今度の試練は単純だが、気を引き締めてくれ」

「おし!」


 扉をくぐると我々は大草原にいた。

 白い雲が漂う気持ちのいい青空。モリッカもノーヴェンも「外に出た……?」と見渡す。

 ナッセは後方へ振り向く。

 フクダリウスは「どうした?」と声をかけると、ナッセは「さっきの扉は消えた」と返される。


「あっ!!?」


 気付いたら、さっき通った絶壁の扉はおろか出口さえ見えない。

 いつの間にか消えていた。

 地平線のかなたまで大草原が広がっているのみで、風でなびいている。


「そ……そんな!? また出口ないんですか!?」

「かなり地下まで来て、いきなり外へ出られるのもおかしいです!」

「糞が……! さっきまで地下にいたはずだろ!? 説明しろっ!」

「ど、どういう事やねん!?」

「では、一体どんなカラクリデース? プリーズ!?」


 動揺するモリッカ、コンドリオン、オウガ、ドラゴリラ、ノーヴェン。

 こんな時にも落ち着いているナッセは振り向く。



「……ここ自体が時空間魔法で、一つの小さな世界になってる」

「「「なっ!!?」」」


 ナッセは知っているのか、涼しい顔をしている。


「こ、これは驚きデース」


 ノーヴェンは頬に汗を垂らす。どう見ても地上へ戻らされたと錯覚してしまう。それほどまでに良くできていた。

 これほどまでに時空間魔法による亜空間には圧倒されるばかりだ。

 だが出口がないのは(いささ)かおかしいのではないか?


「出口は“影”を倒す事で出てくる」


 ナッセはチラリと向こうを見やる。それを視線で追うと、大草原で人影がこちらの人数分だけ佇んでいるのが見えた。


「「「あれはっ!?」」」

あとがき


 オウガの由来は「横柄おうへい」の誤読「おうがら」から来ています。

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