30話「初めての協力プレイ!」
「済まない……。さっきので足をくじいた。俺様は戦えそうにない」
オウガは痛めた足を抱えたまま「ごおっ」と妙な呻き声出す。
騒然とするサンライトセブン。しゃがみ込んでドラゴリラは心配そうに足をさすっている。
いやいや、無策で突っ込んでいって勝手に怪我とか、試練ナメとんの?
「ウウウウウ……!!」
唸るような音を出すゴーレムは太い腕を振るってくる。が、フクダリウスの振るう斧で斬り飛ばされて腕がクルクルと舞い、床に転がった。
「デカイの、ワシが通さんぞ!」
威圧を漲らせるフクダリウス。巨軀なのに、あっという間にオウガを守るように飛び込んだのだ。
「ウウウ!!」
三体揃って振り下ろして来たゴーレムの太い腕を、全て斧で受け止める。ドスン、と地面に振動が伝わる衝撃が広がった。ギリギリと震えながら競り合う。
「フッ、力比べなら負けんぞ。かあっ!」
気合い一閃、豪快に振るわれた斧がゴーレムを一斉に吹き飛ばし、粉々と散らばった破片が床に散乱。しかしそれは床に沈んで跡形もなく消えてしまう。そして静かになった通路。
とりあえずオウガの怪我は回復魔法で治した。
「ともかく、ここがどこなのか考えもなしに突っ込むの止めてくれ」
「……いや。突っ込む前に俺様がナイフで打ち合って鳴らしてたの見たかい? あれは……」
「それ知ってる。エコーロケーションで敵がいないか探れる、だろ?」
面食らうオウガ。
「ここは常識を超えた空間だから、今までの先入観にとらわれていると死ぬぞ」
「……どうやら、俺様は驕っていたようだ」
「いつものの事だろ。あとすげぇ短絡で傲慢だしさ……」
「オガフッ!」
顔を顰めるオウガ。ナッセはため息をついて踵を返す。
今度は歩いて警戒しながら、入り組んでいる迷路を通っていく。
先頭はフクダリウスに始まり、しんがりはナッセとリョーコが務める感じでフォーメーションに組まれている。前線に立ちたかったリョーコは不満だったがナッセが真剣な顔をしているもんだから堪えるしかなかった。
ここを知っているのはナッセだけなのだ。初見のメンバーで安全に進むには彼の言う事が必要不可欠だった。
「来るぞ!」
ナッセの言葉に、サンライトセブンは腰を低くして身構えた。
気配も感じない静かな通路にしか見えない。が、ほどなくして壁、床からキュービックゴーレムがパキパキ形成されていく。それぞれ赤い双眸を灯らせた。最初のより数は多い。
「気を付けてくれ。こいつらは材料を必要とせず、時空間魔法で無から作れるゴーレムだ!」
「了解した!」
フクダリウスは豪腕一閃と斧を振り下ろし、真っ二つに裂けたゴーレムは左右に倒れていく。それを皮切りにメンバーは一斉に動き出した。
「メガネビームデス!!」
ノーヴェンは無数のメガネを浮かせて無数のビームを放ち、ゴーレムを何体か爆砕。
コンドリオンの象の鼻の腕で振り回す剣で打ち砕く。モリッカは「爆裂連弾」と、次々とゴーレムを爆撃していく。
「魔導円陣・七段射撃・爆裂連弾ッ!!」
ナッセは七つの砲式を展開し、爆発魔法の弾幕で数体のゴーレムを粉々に吹き飛ばす。
近づいてくるゴーレムは『星幽剣』で細切れに散らす。
「おっと! タルパ秘術『ドンイの防壁』や!」
突っ込んで来るゴーレムの体当たりを、ドラゴリラの生み出した壁で遮る。
オウガは遅れを取るまいと熱血オーラを全身から燃え上がらせて、ナイフの連撃でゴーレムを削っていく。
痛みを感じないゴーレムは構わず拳を振り下ろしてくるが、すかさずノーヴェン、モリッカ、ナッセの攻撃魔法がゴーレムを数体まとめて消し飛ばす。
「糞眼鏡! 糞小僧!! 糞餓鬼!!! 余計なお世話だっ!」
オウガは怒鳴り散らすが、みんなは戦いに集中してて聞いていない。糞がっ!
「せいやーッ!!」
リョーコは力任せに斧でゴーレムを爆砕。
ナッセも光の剣で近接攻撃、魔法陣で遠距離攻撃、と器用だ。
「オレは魔法使いだから、後列で一緒に闘ってくれると助かる」
「……それなら悪くないかな」
リョーコはまんざらではない様子。
それでも臆しないゴーレム勢は続々と飛びかかる。
だがサンライトセブンの敵ではない。ことごとく粉砕し、破片が散らばっていくのみ。
破竹の勢いでゴーレムは破壊し尽くされ全滅するまで、そう時間はかからなかった。
フクダリウス、ノーヴェン、モリッカ、コンドリオン、ドラゴリラ、そしてナッセが威風堂々と立ち並ぶ。
「これが……サンライトセブン!?」
改めてその凄さを知り、リョーコは息を呑み込む。ナッセが彼らにこだわるのも頷けた。
地団駄踏みながらオウガは「俺様が一番最強だからなっ!」と虚栄を張る。
しかし内心、ゴーレムを一体も倒せない事実に焦燥を帯びていた。リョーコですら何体か倒しているのだ。
ゴーレムが徘徊する迷宮は地下五階層になっていて、出口を抜ける頃には晩飯の時間になっていた。
「ここで泊まろう」
出口付近の広場。次への階段が見えるが、みんなの疲労は無視できない。
フクダリウスも「うむ、そうしよう」と頷く。
モリッカとコンドリオンは一息をついて腰を下ろした。するとオウガは胸を張って自信満々に笑んできた。
「あのゴーレムなぞ俺様の敵ではないっ! これぞ最強の熱血漢っ! ごはははははっ!」
しかしナッセたちは「晩飯何にしようか?」と悩ましく相談してた。う~ん。
オウガは「聞けよコラァ!!」と顔を真っ赤にして突っ込む。
あとがき
オウガは全然弱くないです。むしろ兵士や将軍クラスよりずっと強い。
大体ゴーレム一体倒すまで、兵士クラスなら二〇人、将軍クラスなら五~七人はやられる。
一対一ならオウガだってゴーレム一体くらい倒せるんだぞ。たぶん。




