29話「時空間迷宮の試練!?」
リョーコが不用意に開けたせいでナッセ達サンライトセブンは時空間魔法ダンジョンの試練に巻き込まれた。入り口の扉が勝手に閉じて、床が下降して遥か下にまで移動が終わらなかった。
数分した頃に、下降が止まった。唖然する一同の前に、扉の向こうに鍾乳洞が見えていた。
「……おい!」
「ご、ごめん! 向こうがどうなってるか気になって……。あ、オッパイ揉みたい?」
「そういう場合じゃないだろ……」
「詫びに、と思って」
リョーコは自前の巨乳を下から両手でゆさゆさしながら、苦笑いで謝る。
ナッセはジト目だ。
「そういう仕掛けトハ……」
ノーヴェンは扉を見やる。壁が見えていた飾りだけに見える扉は、鍾乳洞と繋がっていた。床と一緒に扉も下降して、下の階の通路に繋がるようになっていたのか、と感嘆する。
鍾乳洞は薄暗いが、青く発光しているのがあり、まだ見渡せる程度の灯りになっていた。そして向こうがどうなっているのか興味を持ち始めた。
「ったく、時空間魔法で出るぞ」
苛立ち気にナッセは杖をかざし始める。
「どうせなら探検しませんか?」
目をキラキラさせてモリッカは唐突に提案を打ち出した。それに硬直するナッセ。
「おお、そいつはいい。ワシも気になってたところだ」
「そうデスネ。ワタシもその先が気になりマース」
「ナッセ君だけ知ってるんやろ? ズルいやん。ワイらも知りてーな」
ワイワイガヤガヤと鍾乳洞へと歩き出すサンライトセブン。ナッセは制止の手をかざし「お、おい……、ちょっ……」と言い出すが誰も聞かない。
仕方なくリョーコと一緒に後を追いかける事にした。
「ごめんナッセ……」
「もういいよ」
歩いていく通路は妙に広くて平らで整備されている。
七人が腕を伸ばして手を繋いだまま横に並んで歩けるぐらいの幅だ。不規則の間隔で下る階段。屈折して方向を変える通路。
しかし分岐もせず一本道だ。周囲の鍾乳洞は青く発光していて神秘的な雰囲気を醸し出している。時々見かける溜まった水溜りが鏡のように上の鍾乳洞を写していた。
「うわぁ……。なんか綺麗だね」
惚れ惚れするリョーコ。
オウガも「ほほう」と感嘆を漏らす。ドラゴリラは鍾乳石をさすってウキウキしている。
ノーヴェンは鉱石を手にふむふむと頷いている。
コンドリオンとフクダリウスは楽しそうに話している。モリッカに至っては手持ちのノートに風景を描きながらキョロキョロ見渡している。
そんな観光気分のサンライトセブンの面々に、ナッセは頭が痛そうに額に手を当てている。はぁ、とため息をつく。
「あのさぁ……」
誰のせいでこうなったって思ってんだ。ったく、とナッセはジト目で呆れる。
最初は誰でも観光気分なんだろう。
だが、通路が続く入り口が開いてある絶壁が見えてきた。試練だ。
前世でもそうだったように試練のエリアがいくつもあって、それを潜り抜けないと辿り着けない仕組みだ。
「気を付けろ。あそこから試練のエリアだ。数々の試練を潜り抜けねば、一生出られない」
「えっ!?」
警告するナッセに、サンライトセブンの一同は振り向いた。
フクダリウスは「いざとなれば時空間魔法で脱出やクリアはできるんだろう?」と聞くが、ナッセは「試練空間では無効になる。ズルはダメって事だ」と首を振る。
リョーコは「えー……」と肩を落とす。
オウガは二刀のナイフで叩き合う。キィィーンと鈍い音が響き渡っていく。
「よし! 試練とやらに敵はいないようだぜっ! ここでは俺様がリーダーだ。熱いハートでついてこぉぉぉぉいッ!!」
「うほおおおおっ!!」
サンライトセブンの士気を煽り立てるオウガ。盛り上がるドラゴリラ。
そのまま二人は試練の入口へと駆け込んで行く。呆れつつもサンライトセブンは徒歩でついていく。それに便乗してリョーコも嬉々とついていく。
みんなを鼓舞し引っ張っていくのは、まぁリーダーとしてあるべき事だ。
だが、なんの予備知識も警戒もなく走り出すのはいかがなものだろうか。
げんなりとしたままナッセはトボトボ歩いていく。
「うわあああッ!!」
「なんやねんっ!!」
言った側から二人の悲鳴が聞こえ、ガツンと衝撃音がした。
何事かと、ナッセはサンライトセブンと一緒に駆け足で向かう。そこはなんと綺麗な広々とした通路で、先を阻むように得体に知れない人形のようなものが三体立ちはだかっていた。
人形はキューブの積み木でロボットを作られたような歪な人型。漆黒に染まっていて、顔の部分に赤く灯る二つの目。割と巨体で二メートルを超える身長が窺える。
「みんな助けてや~!」
オウガが倒れていて、それをドラゴリラが介抱している。
どうやら考えなしに突っ込んで行ったら突然現れた人形に張っ倒された、という所だろう。言わんこっちゃない。
「……言ったろ? 試練は容易く通させてはくれない。まずは巨大迷路と、キュービックゴーレム達だ。倒していきながら出口まで行かなくてはならない」
「早く言えや! 糞が!」
「つーか、経験者の話も聞かず無策で突っ走るなよな」
ナッセにジト目で見られて、オウガは「ぐっ」と言葉を詰まらせる。
こいつ、やっぱリーダー失格だ。
あとがき
ヤマミ「さっきまで憎まれ役を買って説得したの、何だったの?」
リョーコ「ごめ」
ヤマミ「やっぱり私がヒロインをやるべきね……」
作者「【元祖】にヤマミが出ると、ドラ○もんでいう大長編での出○杉君状態になるからダメ」
ヤマミ「むー!」(ふくれっ面)
※大長編での出来○君状態:有能すぎて早々に解決してしまい物語の盛り上がりに欠けてしまう状態。




