22話「ついにナッセ、サンライトセブンへ入隊!!」
「事情があって笑う余裕はないかもしれんが、楽しそうに笑ってくれると周りは安心する」
優しいヨネ王。その微笑みは暖かく感じ取れる。
「楽しくない……?」
リョーコは悲しげな目を見せる。
ナッセはどう笑えばいいか分からなかったが、口元を緩めながらリョーコに不器用ながらも笑んでみせる。
「ナッセ君。今は難しいかもしれんが、みんなと楽しくやっていくと気が楽になるぞ」
ヨネ王は満面の笑みを見せた。ナッセはどこかジーンとする感情が込み上げる。
「……はい」
ナッセを気遣うヨネ王。そんな様子にサンライトセブンもアクトも笑みを綻ばせる。
「そうだったな。ネタばらしがまだであったな」
思い出したようにヨネ王は振り向く。王座の方へ視線を送ると、その後ろから二足歩行のネコが現れた。クリーム色の毛色で尻尾がフリフリしている。足下には花畑が早送りのように咲いては散って咲いては散ってのエフェクトが繰り返されている。散った花びらが周囲を緩やかに舞っている。
「な、なんだ!? この妖精……ネコ!?」
サンライトセブンもどよめく。
普通の猫ならいざ知らず、二足歩行で足下の妙な花畑を発生させているのだ。更に背中でヒマワリの花びらのような薄い羽が浮いてる。
そんなこの世ならざる生き物に、誰もが平常でいれられるわけがない。
「ミキ!? ……話したのか!?」
ナッセの問いにミキと呼ばれたネコはコクリと頷く。
ミキはサンライト王国を守護する妖精王。ナッセと同様に並行世界を跨って主観的な記憶を維持できる。つまりナッセの通ってきた前世も全て知っているのだ。それをヨネ王に話したらしい。
「責めんでくれよ。……ワシも自分の運命を覚悟しておる。お主も一人で相当苦労しておるようだから、我々ももっと協力出来ぬものかと考えておるのでな」
「ヨネ王様……」
ミキはトコトコとナッセへと近付くと、うるうると涙を潤ませる。
「ナッセ……。一人で無茶しないでくださいであります…………」
「ミキ、ごめん……」
しゃがみこんだナッセは俯く。ミキはそっとナッセに抱きつく。ナッセもまたミキの背中をさする。
「聖霊と知り合いだったの……?」
驚いたリョーコは疑問を口にする。
「ほっほ、話すと長くなる。とりあえずナッセ君、君は合格だがメンバーの補欠と言う形で入ってもらう。今はクスモさんがレギュラーメンバーなのでな」
「はい! ありがたき幸せです」
ナッセはミキを抱えたまま会釈する。
「いいか? 楽しい笑顔になれるよう、自分の幸せも考えるのじゃぞ!」
相手を想って諭すヨネ王に、熱い気持ちが胸に溢れてくる。ナッセがぺこりとお辞儀。リョーコも爽やかに笑む。
するとミキがナッセに「にゃあにゃあ」甘え始める。仕方なしとナッセに撫でられて上機嫌だ。
それにリョーコは「あ、ズルいー!」と嫉妬をあらわにした。
「なんだかなぁ……」
ナッセは顔を緩ませて呆れた。一同は「はははっ」と和気藹々と笑う。
だが、オウガは逆に怒っていて湯煙を噴き上げている。シュッポッポー、シュッポッポー。
「糞餓鬼に糞王に糞猫!! それでも俺様は納得いかねぇっ!!」
「それまだ続いてたんだ……」
リョーコはジト目でげんなりだ。フクダリウスもコンドリオンも内心困惑している。
「予定したのよりずいぶん早かったけど、オレはもうサンライトセブンなんだな……」
「うん! あたしも入隊するからね!」
「えー……」
入隊した事に感無量と綻ばすナッセに、士気高揚と盛り上がるリョーコ。
彼女も入隊すると言い出して苦笑いするしかなかったけども……。
「そんなリョーコには、サンライトセブンの一員であるナッセの副官に任命する」
ヨネ王がビシッと言い出して、ナッセは目を丸くして「えええっ!?」と仰け反る。
「というわけで、そばにいてナッセを守るのじゃぞ!」
「はーい! お任せしてくださーい!」
ノリノリなリョーコの敬礼に、ナッセは肩を落として「なんだかなぁ……」とボヤく。
一方、ドラゴリラのタルパで具現化されたドンイ王国の建物が、振動と破壊音とともに次々と瓦解していく。
巨人ともいえる大きな人影が暴れていたからだ。
瓦礫が積もり、煙幕が地面を覆うほど立ち込める最中、巨人のふもとで一人の人影が両目を輝かせていた。
「いくら待ってもコンドリオン元王子とオウガが来る様子はないかな。困ったね。どうやらサンライト王国まで行かないといけないのかね……。ふふっ」
その人影は太ったオッサンでバーテンダーの服を着ている。
これでも帝国四天王の一人だ。
「シュパンシア帝国四天王が一人、北のイワシロー……」
ナッセが止めなければコンドリオン、フクダリウス、ドラゴリラ、オウガが殺されていたという。




