21話「入隊試験の合否結果!?」
試験を受けたその五日後、ナッセは謁見の間に呼ばれていた。
ヨネ王は相変わらず微笑みながら王座に座している。その背後にサンライトセブンが勢揃いで並んでいる。
クスモ、オウガ、ドラゴリラ、モリッカ、コンドリオン、フクダリウス、ノーヴェンみんな沈黙している。
「よくぞ来た。ナッセ君。入隊試験の合否を伝えよう」
ナッセは緊張していて、唾を飲み込む。
その背後でリョーコが固唾を飲む。ヨネ王は立ち上がる。
「合格じゃ」
その言葉にナッセは見開く。リョーコは「やったぁー!!」嬉しそうに飛び上がる。
ニヤニヤ笑っていたオウガは「なっ……!?」と驚き、わなわな震えだした。
「糞王!! 何故ですかっ? この糞餓鬼は力及ばず惨敗したのではないかっ!」
憤ったオウガにヨネ王は呆れたように振り向く。
「元々、勝敗で合否を決めるつもりはなかったのじゃよ。如何にナッセ君がどれだけ修練を重ねてきたか、そしてどんな想いで戦うのか、それを見たかったのだ。強い弱いで合否の基準にはならぬよ。つか、お主は木刀でボロ負けしてたんじゃが……?」
「うるせぇっ! 糞餓鬼は力不足で足手まといだっ!」
オウガは表情は怒りに満ちていた。納得がいかない様子だ。側にいたコンドリオンも戸惑いを隠せない。
「な、なんであんたは、そう見下してばっかなの!?」
「リョーコ、待ってくれ」
神妙な面持ちのフクダリウスに止められ、リョーコは一瞬怯む。
「……きっと、こう言ってくれているのではないか? ナッセは確かに大した根性がある。だが、言い換えれば自分の身体に無理をさせているに過ぎん。成長期に入っている身体をむざむざ壊そうとするなど納得いかん! これまで若者が無茶をして身体を壊してきたのをワシは見てきた。だからそれだけは許せられん……と」
「フ、フクダリウス……!?」
かばってくれるフクダリウスに驚くナッセ。
そしてリョーコも彼が言っていることにも頷けた。ちょっと危なげな感じもあるから放っておけないからだ。
「えっ!? いや……、そういう意味で言ったんじゃねぇよ!?」
当のオウガは焦っている。
追い出そうと思ったのにフクダリウスが勝手に勘違いしやがった。
「ふむ、確かに早すぎることは百も承知じゃ。だが、それを言っていられない事情がある。だからナッセには入隊してもらって頑張って欲しいのじゃ……」
「……では、その理由を聞かせて頂けますか!?」
ヨネ王は首を振る。
「悪いが、今のタイミングで言うべき事ではない。すまんが我慢してくれ」
「そうか……分かった」
フクダリウスは深い溜息をつく。
しかしオウガは「ぐぬぬ……」と顔を真っ赤にして血管が浮かび上がっている。
すると汽車のように頭上から湯煙がポッポーと噴き出す。コンドリオンもドラゴリラも、その珍芸に驚く。ポッポー、ポッポーと怒りの湯煙が定期的に噴く。
「な、なんなの!?」
戸惑うリョーコ。そしてナッセもどうリアクションすればいいのか困った。
確かに熱血漢と自称はしていたが……。
「……話の途中じゃ。お主は確かに合格の資格はある。だが」
まだ何かあるのか、とナッセは眉を潜める。ヨネ王は首を横に振る。
「今、幸せかな?」
ナッセはパチクリする。一瞬、前世でのセリフを思い出した。息絶える寸前に“必ず幸せになるのだぞ”と言い残していた。一筋の汗をたらす。
「それはどういう意味で──」
「君はいつも表情が硬い。確かに効率の良い行動でサンライトセブンの危機を救ったかもしれん。だが、失敗するまいと緊張していて楽しそうじゃないようでな」
ナッセは俯く。思い当たる節がたくさんある。言われなかったら気付かなかった。誰かを死なせまいと盲目的に動いていたかもしれない。だが、それでも失敗一つでバッドエンドへ繋がる。それが一番怖い。例え今を楽しんでても最後がダメだったら台無しだ。
「その楽しそうじゃない顔一つでも、失敗の要因となる。表情と言うのは周りにも影響を与えるようでな、最初のフクダリウスやクスモさんもそうだった。戦争を生き抜いてきた影響で緊迫感が抜けていなかった。だから周りも取っつきにくかった。悪く捉える人もいた」
フクダリウスもクスモも目を瞑る。
「せや、前からちーっとも笑わんの、オウガと同じやなーって思っとったわ」
「ドラゴリラ……」
「いやいやいや、なんでそんな糞餓鬼と一緒にされなきゃいけないんだい!? 侮辱としか言い様がないよ!」
「すまへんなー。いつもオウガ仏頂面やからなー」
「誰が仏頂面だぁ!? この糞大猩猩がぁ!!」
激怒のオウガはボシューッと頭上から蒸気を噴きながら、ドラゴリラに食ってかかる。
リョーコは分かっていた。いつもナッセの顔が硬いのよく見てきたのだ。ヨネ王はゆっくり歩み寄り、ナッセの肩に優しく手を置く。
「事情があって笑う余裕はないかもしれんが、楽しそうに笑ってくれると周りは安心する」
優しいヨネ王。その微笑みは暖かく感じ取れる。だからこの国を好きになれたのかもしれない。




