16話「熱血とゴリラ、親友同士のケンカ!」
ナッセだとオウガを殺してしまいかねない為、それを危惧したドラゴリラが代わって止める事にしたのだった。
「俺様はナッセを拷問しなければならないっ! ヤツにはテロ容疑がかかっているっ!!」
「止めなはれ……。ナッセは悪くあらへん。それどころか味方や」
「この糞大猩猩がああっ!!」
親友に裏切られたと思い込んで、激怒のままに火炎オーラをまとってドラゴリラへ襲いかかる。
それに対してドラゴリラはゴリラにメキメキ姿を変えていった。
オウガの両手によるナイフで連撃が叩き込まれるが、ドラゴリラは硬い皮膚で耐えて、眼光を光らせた。
「ゴリラパンチッ!!」
ゴリラの太く強靭な腕によるフックがオウガを殴り飛ばす。
重量級を食らったオウガは「ガハッ!」と苦悶に声を上げ、ナイフを取り落として後方へ地面を滑っていく。
「てめぇ!! 糞大猩猩がっ!! バーニングガトリングッ!!」
立ち上がったオウガは両手を銃のポーズに構えて火の弾丸を連射する。
それに対してドラゴリラは両手の親指を除いた指を三〇センチ伸ばしたまま、左右の腕を交互に振り回して弾丸を弾いていく。
「ゆ……指を伸ばした!?」
ナッセもリョーコも、奇妙な変化に驚く。
「ドラゴリラは己の身をゴリラに変態できるから、応用して部分的な変態も可能らしい」
フクダリウスが説明してくれた。
というのも、映画のキャラのように拳から爪を伸ばす手もあったのだが、ドラゴリラ自身は「ありきたりやん!」と納得せず、それならば誰も真似しないであろう指の刃を思い付いたのだ。
「これが『ゴリラクロー』ならぬ『ゴリラフィンガー』ッ!!」
指を長く伸ばしつつ太さを三角状に変形して硬質化。
指先の方へ尖っている為、振り下ろして切り裂くことも可能。
更に指の関節もあって、長く伸ばした分だけ遠心力を増して威力を高めることが可能。
しかも欠損しても指を伸ばす変態の応用で再生できる。
部分的だが再生が気軽に出来るのもポイントだ。
「きも……」
「ああ。それは同意する」
引くリョーコに真顔のナッセが頷く。
なおもオウガとドラゴリラは激しい戦いを繰り広げていた。火炎系スキルを操るオウガと、ゴリラ応用スキルを操るドラゴリラ。
完全に互角だ。
「ゴリラ・ズームキーック!!」
ドラゴリラの前蹴りがグーンと伸びてきてオウガの胸板に直撃。「ぐほっ!」と呻く。
怯んだオウガへ、今度は「ゴリラ・ズームパーンチ!!」と右腕を伸ばす。それは脳震盪を起こすほどの強烈な打撃がオウガのほおに決まった。
「が……がっ……!」
フラフラするオウガ。
ドラゴリラは士気高揚と太い両足でドタドタ走って、追撃を加えんとする。ギラッとオウガは睨み返す。
「糞大猩猩が調子に乗るなあああああっ!! バーニングキャノンっ!!」
開いた両手のまま左右の手首を合わせ、両腕を真っ直ぐに伸ばして、砲撃のように火炎弾を高速で撃つ。
破裂するような発砲音は凄まじく本物の大砲並だ。
「なんの!! タルパ秘術『ドンイの防壁』五連やっ!!」
なんとドラゴリラが合掌すると、次々と防壁が地面からせり上がって射線を阻む。
オーラが込められた城壁は思った以上に固く、四枚を貫いた辺りで砲撃は頓挫して爆発を起こす。
そんな爆風が広がっている最中で、オウガとドラゴリラが「うおああああああああっ!!」と互いにパンチを繰り出す。
ドガガッ!!
クロスカウンターとも言うべき、腕を交差して互いのほおにパンチがめりこんでいる。
「や……やるな……! 親友ドラゴリラっ!」
「せやな……! 親友オウガっ!」
ぐふっ、と互い吐血して仰向けに倒れていった。
満足したように笑みながら「ハァハァ……」と息を切らす。スッキリしたらしい。
「さて、この件は終わりとするか」
そうフクダリウスが締めようとした瞬間、オウガは思い出したのか飛び上がるように立ち上がった。
そしてナッセを怒りの顔で睨みつけてきた。ギリギリ歯ぎしり。
慌ててドラゴリラが「ま、待ちやー!」と片手を伸ばして制止を試みるが、オウガは激怒して止まらずナッセへと駆け出してしまう。
「この糞餓鬼ぃぃ、拷問してやるあああああああっ!!!!」
「なんでこうなるんだよ」
ナッセは呆れながら迎え撃つ瞬間、オウガは二足歩行のキツネのような妙な生き物に姿を変えた。
「おうおう、オレはコンセットだぜー!」
誰もが唖然とした。乱暴な男が急にさっぱり系のキツネ人間になったのだ。
「ま、また変態した?」
困惑したリョーコが突っ込むと、ナッセは「いや、違う」と明後日の方向へ顔を向ける。
「オウガさんは怒ると止まりませんから、頭を冷やさせていただきました」
いかにも大人しそうな魔法使いが歩み寄るなり、そう告げた。
「サンライトセブンが一人。モリッカ……。あのキツネは対象者と位置を入れ替える能力を持つ」
「ええっ!!? この地味そうな魔法使いもっ!?」
ナッセの言葉に、リョーコは驚き返る。
見た目地味でどこにでもいそうな魔法使いがサンライトセブンのメンバーなのだ。先ほどの色モノ集団と打って変わったギャップもあり驚くのも無理はなかった。
サンライト王国の下水道にぶち込まれたオウガは水面から顔を出した。
「ぶわっ! つ、冷たぁぁぁぁっ!!」
あとがき
オウガは諜報活動や後方支援などのサポートタイプ。
身を隠して、敵の情報を掴んだり、工作したりするのが得意。
頑固さと乱暴な性格のせいでアタッカーを無理に務めているだけで、本来はとても才能のある有能キャラです。




