最終話「さらば! サンライトセブン!」
────それから二年が経った。
「えええええええええええっっ!!!?」
サンライト城の王の謁見の間にて、サンライトセブンは驚きに驚きまくって飛び上がってるぞ。
「な、なんと……? サンライトセブンを辞退して旅に出るとな!?」
ナッセの唐突な申し出で、サンライト王国のヨネ王も呆気にとられる。
サンライトセブンを辞退して、世界へ旅しようというのだぞ。
「ああ。この国は今や平和だ。それにヨネ王様の病魔も『絶対完全治癒・双・究極魂気』の余波を受けて完全に消え去ったみたいだしな。これからもずっと平穏は続く。だからこれを機会に世界をまわってみたいんだぞ……」
「確かに平和になったが、まだ国でやる事が無いわけではないが……?」
「それはそうだけど、他の国が平和とは限らない」
なんか妙にカッコつけてるナッセに、サンライトセブンは怪しむ。
「まだ妖精王の力が必要となる国もあるかもしれない。それにオレは知識不足だ。フクダリウスさんほど経験豊かでもない。もっと多くを学んでいきたいのです!」
真剣な表情のナッセ。ヨネ王はうーむ、と唸る。
「ループしたとは言え、今までのオレはサンライト王国ばかり考えていて、他の世界の事は頭になかったのです。だから今世ではもっと見聞を広げるべき、世界を回った方がいいと考えました」
「……本気じゃな。お主がそう言うなら止めはせん。気をつけるのじゃぞ」
ヨネ王はやれやれと首を振る。
ナッセは「はい、ありがとうございました」と頭を下げたぞ。妙に口元が緩んでいる。
だが周囲のサンライトセブンは納得いかなさそうにソワソワしていた。
「き、君は……サンライトセブンとの絆は何でもなかったのかい? 俺様はずっと連日残業で死にそうなんだが!!」
業務のピンチもあり動揺を隠せないオウガ。
「せやせや! ワイ出世し過ぎて逃げ場あらへんし、サンライトセブンの絆として助けてくれへんか!?」
「今ここで絆の真価を問われる時じゃないかい!?」
ドラゴリラも一緒になって必死になってる。
それに対してナッセはニッコリ微笑む。キラキラ爽やかすぎるぞ。
「例え遠く離れたって、サンライトセブンとの絆は切れないさ!」
フクダリウスは呆れている。このやり取りが茶番だと分かってるからだ。
「では、これにてッ!」
そう言うなり、そそくさと去ろうとする。
「待て!! 逃すな────ッ!!!!」
サンライトセブンは一斉に飛び出した。
まずはオウガ!
「ノーヴェンの時空間カードで一生に一度だけ、全盛期の戦闘力を再現し、かつ二〇倍ものバフを盛った俺様でやってやるぜっ!」
荒ぶる灼熱のオーラが全身から吹き荒れ、地を蹴ると地面が爆発!
「ごおおおおおおッ!!! バーニング・オーバーソウルッッ!!!」
本気の本気! 灼熱を纏った鬼の形相のオウガの二刀流ナイフによる超高速の斬撃が所狭しと荒れ狂う!
ナッセも杖から光の刃を出し「星幽剣」でそれを捌き切る。床や壁を穿つほど激しい白兵戦が繰り広げられた。
オウガとナッセの刃が切り結ばれ、互いに真剣な表情が相対する。
「今度はワイの番やっ!」
次はオウガの背後からドラゴリラがゴリラの巨躯となり、メキメキと巨大な拳を膨らます。
こいつもオウガと同じ時空間カードで激烈バフ盛りで一時的に復活だ!
「一生に一度だけの……、二〇倍猛烈ゴリラモードやーッ!!」
一騎当千! 数千の兵をも殲滅させる程の超パワーを漲らせ、超高速で伸縮連射された。
「烈光魔蓮弾ッ!!」
迎え撃つようにナッセは光球を高速連射で撃ち出す。互いの連射が激突し合って爆発の連鎖が広がる。城の外壁が吹っ飛ぶほど爆風が吹き荒れた。
「……旅立ちの前にお手合わせ願おうかッ!」
爆風の余韻の最中、ナッセに迫る巨躯の大男。メイプルリーフを模した仮面。ニヤッと笑う。ナッセも精悍な笑みを見せた。
「我が全力を受けてみろッ!! フクダリウス・タイフーン!!!」
斧を扇風機のように超高速で振り回し、光線のような直線上の闘気の竜巻を撃つ。床や壁を破壊し尽くしながらナッセを呑み込む。
「ぐううっ」
ズドォォォン!!!!
突然、城門が木っ端微塵に吹き飛ぶ。二人の門番は「うぎゃ〜」と舞った。
「負けないぞ!! 星幽槍ッッ!!!」
煙幕を抜けて伸びてきた巨大な輝く槍がフクダリウスへ突くも、斧で受け止められた。
「……ナッセ殿、見事!」
(ありがとうな!)
「こちらも是非、お手合わせをっ!」
コンドリオンは象の鼻に模した両腕による二刀流が不規則の斬撃を繰り出す。
広い範囲で周囲の地形や建物を切り裂く。
「疾風迅雷転化!」
雷を体に宿し、超高速でコンドリオンの剣撃を捌き切っていく!
更にコンドリオンは鼻、両足から変化させた象の鼻を加えた五刀流の斬撃を披露──!
嵐のような怒涛の斬撃にナッセは苦しい顔を見せたが、内心笑む。
(短い間だったけど……)
「ではミーの番デス!! メガネビットのサウザンドショットを受けてくだサーイ!!」
ノーヴェンが数え切れぬ複数のメガネを縦横無尽に飛び交わし、四方八方から光線を容赦なく撃つ。
その数────、数千本の光線ッッ! 包囲網の雪崩光線は回避不能!!
冷や汗ながらもナッセは笑む。
「魔導円陣・百段射撃・烈光魔蓮弾!!!」
百もの魔法陣による砲口を築いて、無数の光線を弾幕で迎撃して絶え間なく爆発が連鎖していく。爆風が巻き起こり続け、上空にまで舞っていく。
「今度はオラが相手だぁぁぁっ!!」
最後にコンセット六体融合モリッカがオーラを纏って突っ込んでくる。
(みんなと出会えて良かった!)
ナッセの足元からポコポコと沸騰のように花畑が広がる。
後ろ髪がサラッと伸びて、目の虹彩に星のマークがつく。背中の咲いた花から花弁が四つの羽となって滞空する。
「晴天の妖精王ぉぉぉぉおおッ!!」
なんとナッセは妖精王となって、モリッカと交戦だ!
モリッカの拳とナッセの拳が激しく交錯し、大気が広範囲に爆ぜる。
「はああああああああ!!!」
「おおおおおおおっ!!!」
上空でナッセとモリッカは互いに譲らぬ攻防の応酬を繰り返し、度々大気が爆ぜていく。
一進一退と激しく殴り合い、互いに傷ついていく、それでも二人は歓喜していた。
「「おおおおおあああああああああああああッッ!!!!」」
周囲に嵐が吹き荒れ、迸るスパークと花びらが舞った。
遠くの大地にすら震え渡る。
しばしやり合ったのち、二人は息を切らしながら間合いを離したまま対峙していた。
満身創痍ながらナッセとモリッカはニッと笑い合う。
(本当に……マジで胸熱で最高だっ!)
モリッカはコンセットを三体召喚してきた。
「フルパワーで行きますよ……!!」
六体融合の上に、更に三体のコンセットが時空間融合に加わっていく。
溢れ出すオーラとスパークが激しさを増し、モリッカの後頭部から髪が九尾の尻尾のように伸びていく。
「……ま、まだ……気が膨れ上がって……いく!」
「し……信じられん!! ど、どこまで……上がり続けるんだ……!?」
「い、一体……、どこまでいくんや────ッ!!?」
大地が震えている……。フクダリウス達は驚愕に見開いていく。
大気が荒れ狂う最中、一層激しいスパークを纏うモリッカ。その姿は神々しく黄金の長髪が九尾の尻尾となってたゆたう、引き締まった表情を見せた。
「これが完全体コンセットブースター・九尾カスタムモリッカだ……。時間がかかって済まなかったな」
(一緒につるんでると、やっぱワクワクしてきて楽しいぞ!!)
ナッセは穏やかで清々しい笑みを見せた後、気合いを入れた。
「おおおおおお!!!!」
地上を咲き乱れる花畑が激しく広がり、荒ぶる花吹雪が舞う。
ナッセの背中の咲いている花から花びらが二つ浮き、その一対の羽が二対の羽へ加わり、ついに六枚の羽がナッセの背後で展開された。
そしてナッセを包んだ花吹雪がマントを羽織る純白のキトンのような立派な衣装へと変えた。
「フルパワー晴天の妖精王ナッセ!! 時間がかかって済まなかったぞ!!」
大空は迸るスパークと花吹雪で入り乱れていた。
まるで世界が震えるかのような大震撼の最中、フクダリウスたちは青ざめた。
こんなもんぶつかり合ったら大陸消し飛ぶッ!
「ヤバいッ!!! 伏せろ────────ッッ!!!!」
ババッとフクダリウスたちは床へと伏せた。
(……だけど、それも今日までだ)
九尾カスタムモリッカは全身全霊の気を両手の間に込め────!
「超ファイナルまじかる波────ッ!!!」
ナッセもまた大爆裂魔法陣を展開し、周囲から無数の花びらを一玉に収束────!
「天照らせッ!! 無双大光輝砲ッッ!!!」
ゴッ!!!
二つの巨大な力場が激突し、上空でデカい太陽を創り出した!?
台風並の余波が荒れ狂い、烈風が吹き荒んで木々が薙ぎ散らされそうな勢いで高速振動。大地も荒々しく揺れていく。海も騒ぎ、津波が獰猛に暴れた。
爆心地を中心に、稲光と共に衝撃波が地上を薙ぎ払った。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………、しばし余震が続く。
上空で大規模の爆煙が濛々と広がっていく……。
シュウウウウウウウウ………………!
「やれやれ……、全く敵わんわい。だがそれこそがサンライトセブンよ!」
ヨネ王は呆れて溜息をつくが、ニヤッと嬉しそうに笑う。
サンライト王国を囲むように光の盾が円陣を組んでバリアを張っていたので、大丈夫だった。
しばらくするとサンライト王国を中心に花畑がブワーッと華やかに広がっていった。
まるでナッセからの贈り物のようだったぞ。
(…………みんな元気でな!)
「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……、手加減なしでやりやがって……!」
オウガ、ドラゴリラはそれぞれ疲弊し、そして時空間効果も切れた。
「まぁ、ナッセ君は世界を救ったようなものだから、残業ぐらい見逃していいかもな」
オウガのセリフにフクダリウスは笑う。
「……何を言うか、オウガ殿とドラゴリラ殿は管理職ゆえ、ヒラ社員のナッセに残業を協力させる事はできない。分かっていてワザと言ったんだろう?」
「え、そうだったのか……? できないのか……。チッ、まぁいいか」
オウガはニヤリと笑む。
おそらくナッセも気付いてて、敢えて付き合ったのだろう。
みんなとっくに分かっていたのでスッキリしたように笑っていた。
「だが、必ず帰ってくるだろうよ……」
そう確信したフクダリウスはフフッと笑んだ。
全員、空を眺め続けた。仄かな寂しさと、ナッセの心からの笑顔に嬉しさが同居する。
するとモリッカは立ち上がる。振り向いた顔はスッキリ爽やかな顔だったぞ。
「…………みんなすまねぇ。やっぱオラも旅立ってみてぇ」
「は!?」
オウガ、ドラゴリラ、コンドリオンは唐突な発言に目を丸くした。
フワリとモリッカは足元を浮かせる。
「お、おい……!?」
「なんていうかな? ここが平和ならオラ居なくたってでぇじょうぶだと思うんだ。管理職オウガとドラゴリラがいりゃ大抵のことはなんとかなっぞ。それよりもっと世界の強者と闘いてぇんだ!」
「お、お前は何を言っているんだ!?」
「完全完璧完遂、某漫画の影響受け過ぎや〜!」ガビ〜ン!
「じゃまたな────っ!!!」
明るく手を振ってビューンッとモリッカは飛び去ってしまった。これにオウガとドラゴリラはポカンとした。
フクダリウスとコンドリオンは「さてドンイ国を再建しにいくか」と去っていった……。
いつのまにかノーヴェンも居なくなっていたぞ。
「メガネとカード創作のインスピレーションを得るために、世界中の壁画を見て回りにいきマース! アディオス」
唖然としていたオウガは次第に「ふふふ、ははは、はーっはっはっは」と笑い上げていく。
「してやられたよ。……ったく」
「オ、オウガはん……?」
「さて、俺様たちでサンライト王国をしっかり支えに行くとしよう。あいつらが安心して帰ってこれるように、な」
「せやな!」
爽やかに笑んだオウガとドラゴリラはコツンと拳をぶつけ合った。
「……やっぱあいつら強いな。ガチれば負けてたぞ」
王国より離れた所の花畑で仰向けのナッセが空を眺めていた。
「全く、男って理解できないわね……」
側で腕組みしたリョーコは呆れる。
逃げるだけなら、時空間魔法で逃げればいいのにね……。
それにサンライトセブンだって、その気になればナッセ一人確実に捕まえられるのに全然追っかけてこないし、ホント意味わかんない。
しばしナッセは青空を眺めていた。少し寂しいけれど、最後に全力でみんなとぶつかり合えて良かった。彼もまた嬉しそうだったぞ。
「では、行ってきます!!」
さようならではなく、出かけるぞってニュアンスでナッセは晴れ晴れとした気分で出国した。
これで一旦、サンライトセブンは解散のようです。
だが、きっとまた集うでしょう……。そこに七人の絆がある限り…………。
白い雲がたゆたう清々しい青空。瑞々しい緑の木々と草原。気持ちのいい風が撫でてくる。
旅人のマントを羽織ってナッセはリョーコと共に山頂で、サンライト王国を見下ろしていた。
やり遂げた達成感でスッキリしたナッセの顔は満面の笑顔だ。心の底から笑えたぞ。本当に幸せで楽しくて清々しくて心が暖かいぞ。
「ねぇ、どこ行くの?」
「……そうだな。隣の大陸にでも行こうかぞ」
「アハ、それいいね〜」
ナッセは踵を返して、リョーコと共に山頂を後にしたのだった……。
…………FIN
あとがき
エレナ「ひどぉいッ! あたしの出番一話だけッ!!」(ぶーたれ)
ヤマミ「この作品はあくまで元祖……」(不満げ)
アクト「俺ァ、最後に敵将軍討ち取ったからなァ……。もう満足したァ……」(恍惚)
一見、続編作れそうだけど書きませんw
元々はLINEで書いていた小説をリメイクしただけですしw
というわけで、またですw




