大切なもの
しおり:高3から学生に。心優しい
しおり(幼少期):小学生の頃
祖母:母方の祖母。しおりを可愛がっていた
祖父:母方の祖父。しおりを何かと心配している
母:名前は奈々子。基本優しい
父:名前は和也。あまり笑わないが優しい
しおり(幼少期):おばあちゃん、これ見て!
祖母:どれどれ、「おばあちゃん、いつもありがとう」。まぁまぁ、嬉しいね。これはしおりちゃんかい?
しおり(幼少期):うん!こっちがおじいちゃんで、こっちがおばあちゃん!
祖母:おやおや、上手だね。これ、おばあちゃんがもらってもいいかい?
しおり(幼少期):いいよ!だっておばあちゃんとおじいちゃんのために描いたんだもん!
少しの間
しおり:ねぇ、母さん
母:しおり、どうした?
しおり:いや······。おばあちゃん、大丈夫かな?って
母:そうね。おばあちゃんは認知症で老人ホームにいるから心配かもしれないけど、あれから5年経つし大丈夫よ
しおり:でも······、おばあちゃんに会う度泣きそうになるんだもん
母:それは、しおりが感情を汲み取りやすいからだよ。それに、修学旅行で買ったお守りもあるから
しおり:そう······だね。そういえば、じじとの食事会っていつだっけ?
母:えっと······、今週の土曜日だね
しおり:わかった。じゃあ、合唱終わったらいつものお店で買う流れだね
母:そうだね
少しの間
しおり:おじいちゃん!お邪魔します
祖父:いらっしゃい
母:お邪魔します
父:お邪魔します。今日はいつもの「輝夜姫」ですよ。お義父さん
母:しかも、お父さんが好きなアジの南蛮漬けがあったよ
祖父:そうか。それは良かった
しおり:私はいつものやつ
父:わかった。並べるの手伝ってくれないか?
しおり:はーい
祖父:どれどれ、今日も量が少ないが大丈夫なのか?
しおり:大丈夫だよ
母:しおりはいつもこの量だよ
しおり:それに、私の好きなやつときゅうりの漬物で栄養バランスもバッチリだから!
母:それじゃあ、準備終わったからみんなで食べよう
4人:いただきます
しおり:ご馳走様でした
父:父さんたちが食べ終わるまで待ってて
しおり:わかった
しおり:······眠くなってきた。お腹いっぱいになったからかな?いつもみたいに、ソファで寝よっと
少しの間
祖母:しおり
しおり:おばあちゃん?どうしたの?
祖母:しおり、幸せに生きてね
しおり:え?いや、いかないで!
少しの間
母:しおり!
しおり:え?母さん?
母:もう帰る時間だよ
しおり:あ、もうそんな時間か
父:うん。あと、明日おばあちゃんのお見舞いに行くよ
しおり:わかった。とりあえず帰る準備をするね。おじいちゃん、また明日ね
祖父:おお、また明日
しおり:······あの夢は一体?
少しの間
しおり:おばあちゃん、来たよ
祖母:······
母:お母さん、しおりが来たよ
祖母:······
祖父:随分早く来たな
父:この後、買い物をしないといけないので
しおり:······おばあちゃん(小声)
母:···かず、しおりを連れて先に出ていいよ
父:わかった。しおり、行こうか
しおり:うん。おばあちゃん、またね
しおり:あれから時が流れて、学生になり新たな友達も出来た。けど、流行病が流行してしまったせいで、中々おばあちゃんに会えずにいた。そんなある日の事
少しの間
しおり:······そうそう、その後にあのキャラが。って、もうこんな時間か。うん、またあしたね
しおり:さすがにゴールデンウィークと言っても、夜の11時まで話すのは親に怒られるからね。それにしても、父さんたちが少しバタバタしていたような?
母:しおり!母さんたち出かけてくるから、眠かったら寝てていいからね
しおり:わかった。行ってらっしゃい。······とは言っても、まだ眠くないからなー。動画みてようっと。······でも、胸騒ぎがする。
しおり:?母さんから電話。もしもし?
母:しおり、おばあちゃんが亡くなった。詳しいことは、帰って話すからそれまで頑張って起きれる?
しおり:······うん、大丈夫
母:······じゃあ、今から帰るね
しおり:うん。気をつけて帰ってね。······おばあちゃん
少しの間
しおり:おばあちゃんのお葬式に参加するのは、私たちとおばさんたちだよね?
母:うん、身内だけでするからね。あ、おばあちゃんの顔見に行く?
しおり:うん······、見に行く
母:無理しないでね。······ほら、おばあちゃんだよ
しおり:······
しおり(幼少期):おばあちゃん!かけっこ頑張ったよ!
祖母:そう。しおりは頑張り屋さんね
しおり(幼少期):えへへ〜
しおり(幼少期):おばあちゃん?
祖母:しおり、辛くない?おばあちゃんたちがいるから大丈夫だよ
しおり(幼少期):うん。ありがとう
しおり:う、うわあああああああ!
母:しおり······
しおり:それから、おばあちゃんのお葬式はつつがなく進行し、それから数日経った。この日は、おばあちゃんの荷物を整理していた時のことだった。
母:しおり、ここにあるものから欲しいもの選んでいいよ
しおり:えっと······、ん?これは?
母:え?あー、その壊れてるペンダントのこと?それは、おばあちゃんが大事にしてたはいいけど、チェーンが壊れちゃって身につけることが出来なくなったやつだよ
しおり:私、これにする
母:いいの?身につけることできないけど
父:いいんじゃないか?しおりは、それがいいんだろ?
しおり:うん!たとえ身につけることが出来なくても、おばあちゃんが使っていたものだから
母:わかった。じゃあそれは、しおりが大切に持って帰ってね
しおり:うん!
しおり:······おばあちゃん、私頑張ってるよ。だから、見守っててね