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想像しただけでも恐怖を感じる話

怖い話ではありませんので、ご容赦ください。

先日の事である。


ナイトウォークという映画を見て、夜の散歩に出たくなり、地元の有名な観光地に向かった。

夜行く場所ではないが、人気のない綺麗な街並みが好きなので、たまに通る。


そこで、何気なく風景を撮ろうとカメラを向けたら、何故か4分休符にそっくりな光が写り込んだ。

しかも3個!


夜の暗闇に光る4分休符が3個。

意味不明な写真だ。


後日、相方に見せた。

「これは人魂じゃないし、幽霊でもない……。4分休符……」

謎が謎呼ぶ写真に相方は首を捻る。


「また機会があったら撮ってみてよ」

というリクエストを受けて、再度同じ場所に向かった。

仕事が終わった後、一人でライトアップされた観光地に向かう。

街並みが綺麗だが、お店が開いてないのでやはり人通りは少ない。


私は観光客さながらのリュックにワイヤレスイヤフォン、そしてスーツにスニーカーという謎なスタイルでライトアップされた人気のない観光地で写真を撮ろうと立ち止まっていた。


その時だった。

向かいから来たお婆さんがいきなり話しかけて来たのだ。


「あのー。この辺にコインパーキングありませんか?数台ほど停めれるところなんですけど」


「ありますよ。沢山」

今は暗いが、ここは地元でも有名な観光地である。

しかも繁華街も近いので、パーキングは沢山ある。


「ここに観光にきたんですけど、車が見つけられなくて」


おばあさんの言葉に耳を疑う。

繁華街側で、入り組んだ路地が沢山ある地域。

一方通行だらけなので、県内の人は、本当の地元民じゃないと、車ではこない。

そんな環境に沢山のコインパーキングがある。


「あのー。どこからきましたか?」

駅からとか、この側の観光地からとか、ヒントが欲しい!


するとおばあさんは、ホテルの名前を言った!


それはどこだ?

何度も言うけど観光地。

県内一の観光地。

ホテルも沢山ある。

今、私が立っている場所から、ホテル街も近い。

もしもチェックインしてからだと、歩いて来れる距離の観光地だ。


ある意味でノーヒント。

「車停めてどれくらい歩きました?」

「5分です」

うわー。余計にわからない。


停めてすぐなら、観光地に隣接しているところを探すけど、5分だと繁華街の側も含まれる。


「一緒に探しますか?」

この入り組んだ路地では、地の利がある私の方が有利なはずだ。最悪見つからなくても、交番の場所もわかる。


「いやいいんです。大丈夫です。もう少し見てみます」

おばあさんは言う。


ここでついていくと言うと、それはそれで怪しい人だと思われるから私は引き下がった。


暗くなったし、コインパーキングの看板は一つ残らずライトアップされる。

もしかしたら私の知らない場所に停めたのかもしれないし、変にミスリードしても困るしな。


と言う事で、お婆さんと別れた。


それから繁華街に向かい、買い物をして、スタバでコーヒー飲んでたら、たまたま相方の仕事も終わって、スタバで合流でき、ご飯を食べて帰る事にした。


どこの店に行くのか相談しながら、今日の出来事を話した。


「さっきさ、すぐ側の観光地で、パッチワークのカーディガンを着たお婆さんに話しかけられたのよ。『車が数台停められるコインパーキング知りませんか?車が見つからないんです』って」


「うわー!まじか。ここコインパーキング山ほどあるから見つけられないよ。繁華街も近いし」


夜のディナータイムで沢山の人が歩いている。

私達はそんな話をしながら、繁華街の奥まったところにあるラーメン屋に向かっていた時だった。


「ねぇ、今の話に出てきたおばあさん、パッチワークのカーディガン着てたって言ってたよね?」

「うん」


「あんな感じの人?」

相方が指差す方には、人混みに紛れて歩くさっきのおばあさんがいた。

あれからかなりの時間が経ったけど、まだ車探してたんだ……。


声をかけるにはちょっと離れていたので声をかけなかったが、明らかにあてがあって歩いている雰囲気ではなかった。


もしも自分だったらと考えると、永遠に車が見つからないのは恐怖でしかない。

過去に、羽田で第一ターミナルと第二ターミナルを間違えて、永遠に自分の荷物を入れたコインロッカーを探していた事を思い出した。

まだ羽田はインフォメーションがあるけど、観光地のコインパーキングにインフォメーションはない。


私達はあのおばあさんの無事を祈りながらラーメンを啜りました。


……と、これは実話なんですけど、そもそもおばあさんは、何故一人で車を探しているのか、しかも手ぶらなのか疑問が残った。


観光地に来たのなら、女性たるものカバンやリュックは持っているはず。

それに、少なくとも車から歩いたのだから、その時は携帯なり地図を見ていたはずなのに、車を探し回る姿は、本当に手ぶらだった。

考えられるのは2つ。


家族または友人は何らかの方法でホテルに戻っていて、運転手のおばあさんが車を探していた。


それか、家族または友人に荷物を持ってもらい、携帯をポッケに入れて、別行動で車を探していた。


一人旅って事はないよね?手ぶらだったし何だかそれはしっくりこない。


……ここで、4分休符がおばあさんだったって事はないと思う。

そもそもあの4分休符は何なのか、そこはまだ解明されてません。


皆様も観光地での安易な駐車にはご注意ください。




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