生き返りました!
異世界に来て早々殺された主人公。
しかし、なにやら生き返って異世界に連れてきた少女のクラハに事の成り行きを聞いて…。
「あれ?俺死んだはずじゃ?」
「あ!やっと来ましたか。ほら!謝りなさい」
「ふっ、すまない。軽く叩いたつもりがまさか死んでしまうとは」
「い、いや、俺も少し調子乗ってたってえ?死んだ?てか気絶する前に異世界がどうとか聞こえたんだが!てかここどこだよ!なんでこんなところにいるんだよ!それよりお前今俺の事バカにした笑い方しただろ!」
俺は生き返った(?)ら死んだ(?)場所ではなく山の上にいた。
「いえ、気絶ではなく死んでいたのです。申し訳ございません。来てそうそう死なせてしまって…」
「いやいや、今こうして死んでないんだし気にすんなってそうじゃない!」
そうじゃない!まずは大会のこととかお前らのこととか色々あるだろ!おい…ん…声が出ない!っ!
「お前か!俺のフィアンセに手を出したのは!」
「っ〜〜!」
「誰?」
「お前は!…誰?」
「おい!俺だよ俺!この国最強の剣士!まさか忘れたのではないだろうな!?」
「っ〜〜!……」
いや、オレ…喋れないのナンデ?
「あ!思い出せそうです!」
「あ!そうかお前あいつだな!」
「……」
……。
「えーっと、確か、そうですね…あ!」
「そうだ、ま…まる…あ!」
「そうだ!そうそう、そんな感じのマル…」
「「マルコ!」」
「マルクだ!!!」
「……」
いや、めっちゃどうでもいいんですけど…。
「いい加減覚えろ!それより、聞いたぞ。お前クラハ、本当に夫を連れてきたって!」
「夫?…あ、ああそうですよ。ふふーん!紹介します私の旦那です。ほら挨拶してください」
「……」
いや、話せないんですけど…。
「…あーそうか。この寝取り野郎は俺の魔法で今喋れねぇんだったわ。ほらよ解除してやる」
マルクがそういい手を振ると俺はやっと声が出せた。
「ふっはぁっはぁっ!クッソなんなんだよこれ!訳わかんねぇよ!」
やっと喋れるようになった。もうやだ!全部ぶちまけてやる!
「まず誰なんだよ!お前ら。平然としすぎだろ!なんで俺さっきまで大会にいたのにここにいるの!?異世界!?知らねえよ!まずわかりやすく俺に全部教えろよ!」
「あれ?教えませんでしたっけ色々と」
「聞いてねぇよ」
「これはすいません。驚かせちゃいましたよね」
クラハが頭を下げて俺に謝ってきた。しかし今俺はものすごく頭に血が上っていたためか
「謝るのがおせーんだよ!」と大人気ないこと言ってしまった。
「すいません。ではなぜあなたがここに来たのか教えます」
そう言い、クラハは語り始める。この物語の始まりを。
ことが始まったのは昨日、城で起きた1つの出来事がきっかけです。
「国王!大変です!また我が軍が1つ奴らに壊滅させられました!」
「なんだと!?それで?奴らはどうなった?」
「後に駆けつけたマルク様のお姿を見て退いていきました」
「奴らを逃がしたのか?」
「はい。まずは仲間を助けることが優先でしたので」
「うむ。そうであるな」
今、この国では長いこと争いが起きているのです。
相手はこの国と長いこと対立している例の組織です。
ちなみに例の組織とはあるものをこの世の中に復活させようとする組織。
「あるもの?」
「はい、あるものです。それは我々にもなんなのかは分かりません」
「なんだそれ?」
あるものってなんだよ。そんなのわかんないなら放っといても大丈夫なんじゃないのか?
「わかりませんが、それはこの世界を滅ぼしかねないものだとはわかっています」
なにそれやばいじゃん。そいつはヤバい。
「まさか!?そんなものがあるとは…で?帰っていいか?」
「待ってください!話はまだ終わってませんよ!」
それで続きなんですど、少し話が変わりますが私のことになるんですけど。
私は七年前に今の国王アルバス様に天界から召喚され地上にやってきたんです。つまり私はこの国の神様なのです。
それで話は戻るんですけどー
「いや、ちょっと待て?お前はあれか?中2にかかるあれ。ほらよく『エンドレスシャイニングレイン!』だとか叫んでるタイプのやつだろ?」
「?なんの事ですか?」
「つまり自分のことを神だとか女神だとかいう奴は頭のおかしい奴ってことだ。まず第一何で誰もこの話にツッコまないんだよ」
俺がそう言うと俺を軽く叩いた護衛のやつが
「はて?特にツッコむ要素がないと思うのですが?それに女神も神もおなじようなものだとおもうのですが」
「ああ、そうだったなここは異世界(仮)だったな」
「わ、私は神ですよ!頭の痛いやつではありません!」
と神様だがクラハ様だとかいうやつが叫んで納得のいかない顔で話の続きを話し始めた。
それで話が戻るんですけど、私はある組織を倒すために召喚された神様なんですけど、なにゆえ私は戦闘の神ではないので。
「じゃあ、なんの神なんだよ?」
「人妻の神です!」
「…よし話の続きを聞かせてくれ」
「?」
こいつは何を言ってんだ?多分こいつは神でも女神でもなく頭のおかしい奴で間違いないだろうな。
それで、私が戦闘の神ではなく、さらに戦いが収まらず腹を立てた国王様が「お前、なんでここにいんの?」などと言われまして私はもう本当にすごく腹が立ってしまってつい言ってしまったんです。
「私は神ですよ!戦闘において最強の夫がいます!あの人に戦って貰えば奴らなんて一瞬で根絶やしですよ!」
と…。
しかし私には夫なんか愚か、男友達なんて1人もいませんでした。
「な!クラハ、俺は友達ではないのか!?いや、友達以上の関係とやつか…。」
マリコが話を遮ってくる。
「マリコ!うるさいですよ!」
「マリコじゃなーいマルクだ!!クラハ!恋人の名を忘れるなんて…。まさか!!!照れ隠しと言うやつか!!」
マルクの独り言だけがうるさいがクラハは話を続ける。
それを聞いた国王と執事やメイド達が
「クラハ、お前…醜いものだな」
「クラハ様に主人なんて、なんて物好きがいるものなのか」
などと…。
それで私は最強の主人探しをしていたんです。
「俺は?クラハ!俺がいるでは無いか!」
ロリコンマルコがうるさい。
そして見つけたんです、あなたを。
地球という場所でどんなデータを取ってもあなたは人より秀ていました。
あなたは私が今まで出会った中で間違いなく最強です。
「最強が軽く叩けば死ぬなんて。世も末ですねクラハ様」
「うるさい!」
「あのさ、ずっと気になってたんだけどまず聞かせて?つまり俺はお前の探していた人材で都合がいいから異世界へわざわざ連れてきたってことだよな?」
「はい、そうですね」
「それで、向こうに帰ることは出来るのか?」
「出来ますよ、いつでも」
よかった、帰ることはできるらしい。
「しかし、まず帰る前に私と結婚して奴らを根絶やしにしたらですけど」
「分かった、それはもう十分わかった。それよりも、もっと気になってることがあるんだよ」
「はて?なんでしょうか?」
こいつはどうやらわからないらしい。今までの会話の中で一番理解できない部分があった。それは
「俺は死んだんだろ?じゃあなんで今こうしてピンピンしてんだよ。あまり人を死人扱いするのはやめて欲しいんだ。気分が悪い」
「あ、もしかして剛様の国では人は生き返らないんですか!?」
「当たり前だろ!死人が生き返ってたまるか気色悪い!」
どこの文化の人間だよこいつら。いや、ここ一応異世界(仮)なんだったわ。
「この国では私が天界から持ってきた技術、このドラ○○ボ○ルを使って人をー」
「やめろぉぉぉ!それはやばいから色々と。名前変えろそれ!」
「?何を叫んでいるんですか、もう一度言いますよ。このドラゴー」
「やぁぁめぇぇろぉぉ!それは金玉だ!金玉!わかったな!」
その名前だけはまずい。色々とまずいのだ!
しかし、なぜこの2人(護衛とマルコ)はこれを聞いて平然としてんだよ。
「キンタマ?まぁ、剛様がそこまで言うのならキンタマでいいでしょう」
どうやら分かってくれたらしい。しかし1つ問題がある、
「おい、金玉って言う時はカタカナじゃなくて漢字な」
「カタカナ?金タマ?」
「おい、残ってるぞ!金玉だ!」
「金玉!どうでしょう!?」
「それでいい」
だめだ、こんな幼い少女がキンタマというのは少し問題だ。
しかし、ドラ○ンボ○○なんてほんとに存在するんだな。しかもこんな異世界に。
「じゃあ、それって神龍見たいのが出てくるのか?」
「いえ?これを死人の股の袋の中に入れるとー」
「マジでキンタマじゃねえか!てかそうだとすると男限定になっちまうじゃねぇか!」
その玉の大きさは確かに言われてみると直径3センチほどの小さいたまだ。ん?俺はこれを使って生き返ったってことは…
「これが入ってんの!俺の中!?」
「入ってますよ。それに女にも使えますよ。入れる時は魔法を使って入れるんで」
「魔法?ちょっと使ってみろよそれ」
「いえ、今は誰も死んでないので、それに貴重なんでそんなホイホイ使えませんよ」
生き返らせるためだけの道具っぽいな。
「おい、2人とも話はもう済んだのか?俺はもう時間なんだ。そろそろおいたまさせてもらうよ。じゃあクラハ、また今度♡」
と言い残し彼は空へ飛んでった。
彼は一体誰だったのだろう。
「ん?今誰か私に話しかけませんでした?」
「いや、そんなことは無いぞ。それより話はまた後でゆっくり聞いてやる。とりあえず飯をよこせ、部活後で腹が減ってんだ俺は」
そうですねといい、クラハは「では転送の呪文を唱えるので少し待っててください」といい、呪文を唱え始めた。
この世界で魔法って人を生き返らせたり、瞬間移動もできるのか、なんでもありだな。
うん?金玉は魔法か?
すると
「お前、名前はなんて言うんだ?」
といきなりずっと無言だった護衛が話しかけて来たんもだから俺は思わず「うぉっ!」と情けない声を出してしまった。
「あ、お、俺の名前か。俺は小林剛だよ。小学校の頃から剣道一筋で負け知らずだ」
「そうか、ショウガッコウとやらは何か知らないが、剣技が相当強いのはわかったよ。俺は城の護衛をやっているエドだ」
「エドっていうんだな。よし覚えた。よろしく」
「ああ、よろしく頼む」
良かった。この世界にも常識人はいたらしい。そう思ったが俺が死から目覚めた時こいつ俺のこと笑わなかったか?少しバカにされた気がしたが気のせいだと信じる。
「それより、この世界には小学校はないのー」
スドンッ!と大きな音がして目の前には砂埃がまう。
何やら空から降ってきたらしい。
「ーなっなんですか急に!まだ呪文は終わってませんよ!」
クラハが叫んでいるが、砂埃で何も見えないため声しか聞こえない。
今俺らがいるのは山の頂上である。そんなピンポイントな場所に何かが降ってきた。
そんな偶然あるだろうか?俺は少し前、見知らぬ男が人ならぬ脚力で飛んで行ったのを思い出す。
「おい!クラハ!エド!無事か!?」
「あぁ、無事だ」
「大丈夫です…はぁ、一体何事ですか?」
砂埃が引き、ようやく3人の姿が見えた俺は、違和感を覚える。
3人?
「違和感じゃなくて気づくだろ!なんで違和感感じてんだよ。普通に1人増えてるじゃねえか!」
そえか!1人増えてる!それが違和感の正体か!
「いや、何が『違和感の正体か!』だよ!普通にさっきまでいない奴が増えてるんだから違和感なんかよりまず最初に思うことがあるだろ!」
どうやら、1人増えていたらしい。んー
「…誰だ?てかなんで俺の頭の中のモノローグに話しかけてきてんの?」
「剛さんッ!まずいです、これは相当まずいです!」
「やられたな、恐らくマルクの気配を追って来たんだろうな」
「なんだよ二人とも、てか誰だよこいつ。見てわかるのは明らかに人間ではないな目が6?9?ぐらいあるし、手は4本ぐらいあるから、普通にキモイんだけど」
何だこの気色の悪い生き物は?
どうやら空から降ってきたのはこの化物らしい。
「フハハハッ!我はスカーレット!あの組織のNO.9!マルクの気配を追ってここまで来たのだが釣れたのはネズミ3匹とは運が悪い」
「まさかこんなところでナンバーズにあうなんて!」
「クラハ様、私一人ではナンバーズには勝てませんよ…!」
「うぁぁぁぁ!バケモンだー!」
「「え?」」
俺は怖くなり逃げ出す。
そりゃあんな目が沢山あって手も4本ある生き物を見たら誰だって逃げ出すだろ!しかもめっちゃでかいし!俺の4倍はあったよ!あいつ!
「待ってくださーい!剛様ー!なんで逃げるんですかー!?」
「なぁ、本当にあいつがクラハ様の言う最強の剣士なのか?とてもそうは見えんのだが」
俺が最強なわけないだろー!
走って逃げる俺。しかし、目の前に突然煙が現れそこには
「なーに逃げてんの?3匹全員私が殺すの!逃がさないよー!」
突然バケモンがめの前に現れ俺は少しチビった。やべぇ、シミたわこれ。
てかこっわあいつ!こっわ!無理だわ。あんな奴ら根絶やしにしなきゃ俺帰れないとかもう無理だわ俺。
俺は振り返ってまた山の頂上に向かって走る。
「あ、戻ってきた」
「だぁずげぇでぇぇぇ」
あーほんと帰りてえ…。
(続)
お楽しみいただければと思います!