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銃後のサタン・クロース  作者: 青島カイン
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Pre-mission 砲声は止んだか。

はじめまして。

突然書きたくなったので書きました。

本当は短編完結にしようかと思っていたのですが一気に推敲すると気が狂いそうなのでちまちま上げていこうと思います。

風切り音がする。

視線の先の塹壕に見えていた鈍い色のヘルメットが土嚢に隠れる。

そう認識する頃には土埃が空高くまで舞い上がっていた。

そんなことがもう3年繰り返されてきた。


陽歴3104年 大陸は戦火に満ちていた。

3101年から始まった戦争は宣戦布告をした王国の短期決戦の目論見は大きく外れ、すでに3年が経過していた。

当初王国側は9か月で交戦国であるアルトリア公国の首都を包囲し公国諸侯の軍を懐柔することで公国中枢軍を内部崩壊させ終戦に持ち込むという作戦があったが公国軍は秘密裏に諸侯軍、中枢軍を統一していたため開戦後頑強に抵抗することができた。

その結果、戦線は膠着、両軍が最前線を要塞化、それによってさらに戦線が膠着、その戦線の突破にさらに強力な砲や兵器を投入するという停滞の連鎖が出来上がっていた。

成人出兵命令によって駆り出された俺は最前線のシェクナン戦域の、第三塹壕線に配属されていた。

30年ほど前から使われ始めたこの塹壕戦は戦場に大きな溝を掘り、そこに兵士が潜み前進してくる敵軍に機関銃やライフルで応戦して出血を強いるという効果的ではあるが極めて消極的な戦い方だ。

きっと100年前の騎士たちがこの戦場を見たら怒り狂う事だろうが今の戦争は文字通り総力戦なのだ。

そして俺の配属された第三塹壕線というのは重砲部隊と補給中継地を擁する「最前線に最も近い後方支援基地」として機能している。

もちろんもっと前の塹壕線が陥落したときには文字通りの最前線になる。

ただここが最前線になることはおそらくもうない。

開戦直後はどんどん塹壕が突破され人も塹壕も入れ替わりが激しかったが少なくともここ2年は効果的な防御戦を展開できている。

いくら大国、ゲルナヤ王国でも人口は有限だ。しかも徴兵出来る年齢の男性は限られているし、女性は志願制なのだ。さらに言えば兵器や缶詰、医薬品に戦闘服などの物資も供給しなくてはならない。

彼らの戦略目標のアルトリア公国の首都までは300kmはあるがここでは前線を100m進めるのにどうやっても5000人は犠牲になる。1500万人の血の道を作って首都に到着するよりゲルナヤ国王の玉座が赤く染まる方が早いだろう。


「おい、ジャン。第一の奴らからオーダーだ」


前線指揮所からのご命令。平穏な第三の、仕事の始まりだ。

本当は本でも読んでいたい、そう思いながらも了解、と名前も覚えていない上官に返事をして狭い塹壕を走り抜けた。

行き先は、ここ一年事あるごとに駆け込みまくった砲兵陣地、の更に後方。

シェクナン戦線第6物資集積壕。

正式採用のライフルに機関銃、弾薬、医薬品に缶詰、タバコ、眠気覚ましのチョコレート、ブーツ、更には土嚢袋や統一規格の木材も集積されている。

もちろん砲撃で吹き飛ばされにくい地下に。

しかも20箇所に分散して保管されている。

まず集合になるのは戦線統合指揮壕。

手順として緊急補給要望はここに届けられることになっている。

緊急補給なので却下されることはほぼないが備蓄は管理されねばならない。

勝手に持っていかれてはいざというときに枯渇して士気が低下するためだ。

しかし第三塹壕線からだと曲がりくねった幅1m以下の塹壕を300mほど進まないといけない。

しかもここは戦場だ。塹壕から頭を出すとどこからか狙撃されて死にかねない。

(いちいち指揮壕まで遠いんだよ…)

そんな悪態を垂れ流しながら指揮壕へ向かう。


「ジャン・ノヴァコヴィッチ曹長、到着しました。」


指揮壕に入ってやることはまず挨拶だ。

アルトリアでは手を胸に当て、跪くという騎士礼のような敬礼が定められている。

そろそろ俺の仕事を紹介しよう。

補給物資を後方基地から最前線に運ぶ戦場のサンタクロース。

そして家族の戦死を知らせる死神。

補給伝令兵と呼ばれているそんな仕事だ。

上官にあたる戦線司令部所属の士官はめんどくさそうに任務の説明に入りやがった。まぁ軍とはそういうところだが。


「今日の補給物資は昨夜から続いた敵軍の攻勢への報奨だ。

今回は大盤振る舞いだな。従軍者にはミルクチョコレート、希望する者にはタバコも用意した。あとはいつものとおりだな。」


そうして今日も、血みどろの戦場に向かう。

後書きまで到達してくださった方、拙い文章かつ説明が多かった今回を読んでくださりありがとうございます。

次回の投稿ではきちんとした物語になると思うので良ければまた覗いてください(笑)

しかしながら気分で書いているので投稿は不定期です。

ではまた次の機会に。

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