物語の序章
「母さん…行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
いつもの風景いつもの景色…退屈というわけではないけどやはり適度に刺激が欲しいというのは事実だ。
もちろん刺激だらけというのは生きた感触がしないためいやだから売られた喧嘩は稀に買う程度に抑えている。
高校生なのだから身の振り方を考えろ度言われるが…すでに道は、決めていて準備はもう済んでいたりする。
話はもう通しているため職場の心配がないのはありがたいことだ。
いつもの町並みでいつもの空でいつもの………
ベビーカー?通学路の下り坂で急に真横を駆け抜けるそれは、赤子を乗せたまま走り出す。
ほぼ反射的に大地を蹴った…このままでは車道に突っ込んでしまうからだ。
何度か手を振りつかもうとするがベビーカーが加速し続けて絶妙に届かない。
あと少し…あと少しで手が届くのに…
ようやく持ち手部分に手が届きそのままつかみブレーキをかける。
よし…すぐ親に返して…
ビー!!!その轟音に思わず目を右にずらす…トラックだ。
わずかな時間だが有余がある早く避けないと………
いや間に合わない…そう気付きせめて子供だけでもと思いバスケットのパスの容量でベビーカーを投げ飛ばす。
その直後だった鋼鉄の塊が右腕と肋骨を砕く強靭な衝撃が全身にまで伝わってきて吹き飛ばされた。
痛い………子供は……
おぎゃーおぎゃーと泣き叫ぶ声が聞こえる。
良……かった……無事…で………
くらい…まだ眠い…ここは…一体?
目を開くとそこは、暗転の狭い空間だった棺ではないのは確かだ…右側にやや広めの空間を感じ左には何かに当たっている。
手を伸ばし感触を確かめる…?
おかしい…明らかに感覚が短すぎる手がないわけではない確かに指が布に触れる感覚がある。
だがさっきから体を全力で動かしてるのだが背中に粘着剤でもくっついているのかと思うほど動かない。
何かおかしいのは確かだ…だがそれを確かめる手段がない情報が少なすぎるなんでもいい《分析》できる方法は…
そう思考を回してる瞬間だった突如として薄明かりが頭上を照らすそっと上を向くと白いパネルが現れていた。
大きさ的にはB5の紙ほどで左端に(お呼びでしょうか)とパソコンで打たれたような文字が書かれている。
「あなたは何者ですか?」と発音しようとしたが「あぅあああい…」と無駄に高いまるで赤子のような声が出た。
発音までおぼしくなってるますますまずい。
だがパネルは聞き取れたようで文字が浮かび上がる。
だがそれは余りにも信じられないような文面だった。
(私は、スキル《分析》あなたの保有しているスキルの一部です。)
スキル?ゲームでもあるまいし…いや実際こんなこと現実的ではないけどもありえるのか?
(ありえます)と文面の下の段に書き足される。
心の声も聞かれているようだ…とりあえず体勢状ちょっときついので正面に動いてくれませんか?
(了解しました)前の文脈が消滅して新たに書き足された文字と共に僕の顔の正面に移動した。
とりあえず現状の情報源はこのパネルのみとりあえず情報を絞る為質問する。
ここはどこですか。
(地名は不明…スキル《森林の管理者》を起動すれば周囲の探知は可能です。)
文章を流し目に周囲を見渡す。
左右を確認すると全体が木材の立方体のなにもない空間であることに気づいた。
どうやら僕は、その左上隅に置かれているようだ。
木造建築だと思いたいがもしかして…
(推測ではありますが木箱の中だと思われます。)
最悪だ…脱出は可能だろうかそうでありたいが…
どうにかしないとこのままじゃ餓死確定だ。
(その可能性はありません。
スキル《捨食》により栄養は魔力が補完します。)
あのですね…さっきからスキルという単語を多様してますけど僕にそんな異質な力ありません…
仮にそんなのあるならステータスでも見せてくださいよ。
(了解しました。 しばらくお待ち下さい)
そう書くとパネルは赤矢印の某動画配信サイトのような回転を始める。
明かり代わりになってくれてるのでこのまま起動しっぱなしだと助かる。
その間に僕は、木目の隙間を探すそこから少しづつ穴を開けて強行突破するのが現状考えられる手段だ。
上の面に布にに覆われているようだが小さい穴があるあそこを強引にこじ開ければ…
(完了しました。)
沈黙していたパネルがやや大きい文字を書き出す。
そこからさらに下の段に素早く文字と数字の列を作り出した。
まぁせっかく出してくれたものだしと画面を覗いた。
…え?
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種族 ハーフエルフ 年齢 3ヶ月
性別 女性 状態異常 飢餓
紋章 転生印
基礎ステータス
魔力数値 18/20
筋力数値 07
耐久数値 03
速度数値 10
スキル 系統順
魔術系統
《BOXスキル・風魔法》
戦闘系統
《風魔法 ウィンド》
耐久系統
なし
強化系統
自動発動中
《捨食》
探知系統
《BOXスキル・森林の管理者 遠視》
《BOXスキル・分析 鑑定》
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スキルやステータスの面は余り気にしないだが…
明らかにおかしい面がある…
女性…ハーフエルフ…3ヶ月
何を言っている?
そういえばずっと上や側面を見ていて自分の肉体を見えいないのに気付き自分の手を顔に近づける…
…!?薄明かりで少しボヤているが間違いないかなり細いが乳幼児の手だ。
何がどうなってる…一体どうなって。
(記憶から分析した結果あなたは、4ヶ月前何らかの衝突から身を挺して推定7歳程度の少年を庇ったことによりあなたの前の肉体は死滅したものと思われます。)
…子供を庇った?………っは!
そうだ確かあの時無意識に子供を蹴飛ばして…
…ということは、恐らくこれはサブカルチャーで一時期流行ってた異世界転生という状態それもかなり危険なパターンを引いたのか!
最悪だ…
………
……
…
情報が想像以上に多かった為一端《分析》のパネルには引っ込んでもらい深呼吸した。
一端情報の整理をしよう。
まずいまの場所 言うまでもなく木箱の中を隅々まで見たが入り口がなく隙間が上に少しある程度
脱出は現状不可能。
次に体の状態 布に包まれた幼児まで退化して立ち上がれる筋力もない一様動かせるが正直使い物にならない。
視覚は鮮明に見えず聴覚も鈍い。
冗談抜きで最悪だ!
あるもの
スキル
《分析》《森林の管理者》《捨食》《風魔法》
…用途不明
とりあえず分析でスキルを確認したい…
さっきみたいに調べたいときに呼べばいいのかな?
集中して…呼びだ…
(お呼びでしょうか…)
あっ…気張らなくても出てくるんだ…
眼前に再びパネルが姿を出す。
と…とりあえず各スキルについて詳細をおねがいします…
(了解しました少々お待ち下さい。)
まともに使えそうなのは、風魔法だと思うがあまり期待できないんだよなあ…
(完了しました。)
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系統順
《BOXスキル・風魔法》
風を吹かせる魔法を発動可能にします。
《風魔法 ウィンド》
風を発現させます。
《捨食》
魔力を消費することで生命活動に必要な栄養を補填します。
ただし餓死する可能性はありませんが有機物を補填していないと飢餓状態に陥ります。
《BOXスキル・森林の管理者・遠視》
植物を登録することにより登録した植物の周囲の状態を確認できます。
《BOXスキル・分析・鑑定》
視界に入った情報を確認できます。
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なるほど…ところでBOXスキルってなんですか?
(BOXスキルとは、系統派生や分類のあるスキルを指します例を上げますと風魔法の内部に風魔法 ウィンドがあります。)
要するにスキルのグループを指しているということか。
先程《森林の管理者》を使えば周囲の状態を確認でると言っていましたが具体的にどうすれば良いのですか。
(魔力を使用することにより周囲の植物を媒介に探知が可能です。
魔力を消費する場合一度《分析》を解除して
《森林の管理者》を起動することを推奨します。)
何もできない以上起動するしかないか…
了解しました一度引っ込んでください。
(了解しました。)っとパネルがコンセントを抜いた昔のテレビのように消滅する。
よし…とりあえず《森林の管理者》を起動しないと…ってあっ魔力の使い方聞くの忘れたどうすれば…
とりあえず深呼吸をして目を閉じて耳をすませてみる…風で葉が重なる音が聞こえる近くに木がある証拠だ。
よく聞け…他には何がある…何でもいい外の情報が欲しいそこからおおまかな木の場所を当てろ。
近い…恐らくほぼ真上となると木は木箱の近く…いいや右隣か!!
気づいた瞬間目をあけると木箱が透けて右側に木を薄っすらと目視できた恐らく《森林の管理者》が起動したのだろう。
起動できたは良いものの…どうすればいいのだろう?
《分析》を呼ぶしかないかな…
(《森林の管理者》の起動を確認…《分析》による補助を開始します…)
よし…補助のおかげかさっきより木がはっきりと見える。
(《森林の管理者》の基礎操作を説明します。
森林の管理者は、先程述べた通り自身の登録した植物を遠隔で管理すること可能な能力で周囲の状態を確認することが可能です。
登録を行うには対象の植物を明確にイメージし個体の特徴を記憶する必要があります。)
明確にイメージ…形を捉えるというのは、友人の知恵で割と自信がある。
木を凝視して特徴になりそうな部分を探しす。
よく見ると木の下部分に小さく見ずらいが引っかかれたかのように樹皮が剥がれた場所があった。
(樹木の登録に成功しました。)
あっ割とあっさりできた…まぁこれでいいんだ。
(次に、登録した植物に感覚を移します具体的なイメージとしては………)
(木に突っ込むイメージだと思われます。)
例えに困ったのかな?…一瞬妙な間があったそして割と雑だ。
まぁいいか…とりあえずやってみる。
………あれ?できないとりあえず木にタックルするイメージで感覚を移そうと思ったがわり………
思考を回してる最中だった急に体内で何かが脈動して心臓が激しく動く。
どうなって………!もしかして《分析》!!魔力を表示してください。
(了解しました。)
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魔力数値 5/20
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想像以上に…スキルを……使い過ぎたようだ…
このまま…魔力を使うと…どうなりますか?
(スキル《捨食》が機能を停止し餓死する恐れがあります。
基本、魔力は消耗したり0になったりしても自動で回復しますが…あなたの場合《捨食》による補給が必要なため速度はとても遅いです。)
ということは、魔力が0になれば即アウトか。
一端作業を中断しよう《森林の管理者》は恐らく消耗が激しいタイプ…まだ迂闊に手を出していい代物じゃなさそうだ。
一度深呼吸をしてリラックスするイメージを一端忘れるんだ…
先程まで見ていた木が薄くなる…解除できているようだ。
疲れで一気に眠気が襲う当然か…肉体は赤子……過剰に…動き……過ぎ……………
………
……
…
………っは!!!しまった!寝落ちた早く学校に…ってそれどころではなかった。
相変わらず木材の天井が上を照らしている…照らしている?
ということは今は、朝…相変わらず不自由な体で夜を明かしたということだ。
どうしたものか…そうだ《分析》今の魔力量は?
(二十分の十五です。)
4分の3…何時間ぐらい僕は、寝ていましたか?
(約四時間と二十分です。)
4時間20分でさっきまでの魔力が…
(二十分の五です。)
となると…4✕60でろくし24で240分それに20追加で260分回復が10だから魔力1回復に付き約26分かかる計算になる。
ということはスキルの使用は可能な限り控えたほうが良さそうだ…
どうしたものか…もう一度《森林の管理者》を起動するわけにも行かないとなると今できることは。
………《風魔法》だけか上が簡易的な締め方であればいいけど………やるしかない多少箱の内部が荒れる可能性があるが現状できることはこれのみ。
魔法という現象は当然見たことないがイメージはなんとなく付く…幸い生まれ故郷は、サブカルチャー文化が最先端を行っている突風で相手を吹き飛ばすシーンなんて何度も見た。
そのイメージを掌に集中させろ。
両腕を上げて某格闘家の必殺技の構えをする。
《分析》の補助なしでも割と成立するようだ手元がやけに涼しく耳元から風の通る音が聞こえる。
まだパワーが足りないもっと溜めろ…
風の音は段々と強くなるだがまだ扇風機の中程度の風量だ…
まだまだ…魔力がかなり溜まっているからか風が荒ぶり腕がぶれ始める。
嵐のような強音になり制御がもう限界そうだ!!!
頃合いはここ!!溜めた風を一気に天井に叩きつける。
思いっきり打ち上がり背中から思い切り突き飛ばされる感覚だが…
肝心の天井が壊れてすらいない…
そのままフリーフォールのように一気に落下し地面に叩きつけられる。
ならばせめて横に倒れてくれと思ったが、願いは届かずまだ天井には布で隠れた小さな穴…
………《分析》損傷の確認と残り魔力の表示をおねがいします。
(了解しましたしばらくお待ち下さい。)
痛い…幸い肉体は、毛布やゆりかごで守られているため余り外傷は少ないだろうが念の為確認する。
(完了しました。
魔力数値二十分の六…
致命的な外傷は確認できませんでした。)
…そうですかこれが無理となると時間をかけて脱出するしかない…餓死はないが病死、毒死、水分不足による枯死このあたりが怖い。
木材を急激に劣化させる方法があればいいのだが…
………
……
…
そうこう考えてる合間に夜になってしまった…
一旦休憩を挟もう…脱力しなければ思考もまとまらな…
バキ…外から何かが枝を踏み潰す音。
僕は、思わず息を殺す…
何らかの動物なのは確か…いやここはファンタジーの世界…それに加えて魔物の可能性がある。
木箱を破壊できるレベルの怪力の魔物ならば僕はただの餌だ。
とにかく気配を消して姿を隠せ…
だが望みは届かず音は、こちらに近づいて行く。
やばい…食い殺される…頼むからよそに行ってくれ。
この思いも届かない…ほぼ間近の距離に相手はいる。
どうやら相手は、僕のことを最初からわかっているようだほぼ一直線に接近して近づいてきた。
スンスン…スンスン…鼻で嗅ぎ分けるようだ。
野犬…いや狼や狐などのイヌ科動物だろう…
ガリガリ…ガリガリと爪で木箱を引っ掻いているようだ
恐らく中身を取り出そうとしているのだろう。
取り出せないとわかれば諦めてくれるはず頼むから逃してください…
音が途切れる…どうやら諦めてくれたよう…
ドン!!何かが天井にいる再びスンスンと嗅ぎ分ける音。
まだ…諦めてない………!!
唯一の穴から犬のような鼻が布越しに見える…どうすればいい!!
音が消えると僅かな穴を彫り始める…まずい!!
………だが相手は、布を破けないようで食い破られる可能性はないようだ。
しばらくすると相手は、諦めたようで音が離れていく…助かった。
はぁ…思わず安堵し息が漏れる。
死ぬかと思った…
………
……
…
あれから数週間《森林の管理者》の感覚にも慣れたこれにより周りの状況が把握できたため情報を集めることができた。
情報を整理しよう…まずここは森の中…正確には山岳地帯の樹海の一本の木の隅に置かれた木箱の中…
なぜかその周りは少し開けており他の植物は半径2,3メートル離れており。
恐らく親は、ここならすぐに人が見つけてくれる又はここなら人が来ないから子供を隠せる。
だが人の声も聞こえないことから後者だろう。
確認できた生物はトリ…鳴き声から3種、イヌ科の生物1種、不明な物が4種類。
周辺に街はなく現在進行系で捜索中そして…木箱の中から脱出する糸口は現状発見できず。
………はっきり言おう詰んでいる。
新しい発見はこれ以上期待できない…よって外へ出て探索するのがいいのだが肉体は、幼くまともに歩くもできず年単位の時間をかけて森を出る必要がある。
幸いこの中なら基本的には安全…適度に運動して立てるようにしなければならない。
ステータス画面を確認したら僅かだが筋力数値が5、魔力数値が4上がっていた。
《分析》によるとスキルを過剰に消耗しているため魔力の器が強引に引き伸ばされそれに呼応して筋力も上昇しているようだ。
そういえば…初日以降ステータスを確認していない。
《分析》ステータスを表示してください。
(了解しました。)
読んでいたかのように素早く表示された。
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種族 ハーフエルフ 年齢4ヶ月
性別 女性 状態以上 飢餓
紋章 転生印
基礎ステータス
魔力数値 20/24
筋力数値 12
耐久数値 05
速度数値 14
スキル 系統順
魔術系統
《BOXスキル・風魔法》
戦闘系統
《風魔法←》
耐久系統
《一途な毒》
強化系統
自動発動中
《捨食》
探知系統
《BOXスキル・森林の管理者 遠視》
《BOX・分析 鑑定》
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…あれいつの間にかステータスが上がってる?なんで?
心当たりのないスキルも習得してるし…なんで?
(紋章・転生印は経験速度が早く肉体の成長を補助する機能があります。
幼少の肉体で過剰な運動を繰り返したこともありステータスが上昇した要因となったと思われます。)
なるほど…新しく習得したスキルについて教えてください。
(了解しました。しばらくお待ち下さい…)
恐らく転生者特典と言うやつだ…身体能力の成長が早いなら早く外に出られる可能性があるということ有益な情報は助かる。
(分析完了しました。)
あっ……はい。
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戦闘系統
《風魔法・エアショット》
突風を一箇所に放出し相手を吹き飛ばします。
耐久系統
《一途な毒》
状態異常一つにかかっている時他の状態異常になりません。
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…?今度は画面の不備だろうか僕は《一途な毒》の情報が欲しかったのだが他のスキルまで表示された。
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戦闘系統
《風魔法↓》
《ウィンド》
《エアショット》
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突然画面が下にスクロールして戦闘系統のスキルの矢印が下を向いた。
…っあ《風魔法》は画面を圧迫するからファイルみたいにまとめられたのか理解した。
それにしても《エアショット》は恐らく天井をこじ開けようとしたときに習得したものだとして…《一途な毒》は覚えた覚えがないのだが。
(スキル《捨食》肉体に常時魔力が流れて続けていたため体内の有害物質が魔力によって排除され続けた結果習得するに至りました。)
………なるほどそれで…今後スキルを新しく習得したら随時報告してください。
(了解しました。)
…?って待てよ有害物質って?普通に考えると病原菌だが流石に習得が早すぎないか?
(原因を分析しますか?)
………いや結構ですどちらにせよ過ぎたことですから。
(了解しました。)
ふぅ…よし計画を練ろうまず最低限の筋力を習得する。
歩ける筋力がないと脱出しても食い殺される。
次に木箱からの脱出…普通はこれが最優先事項なのだが前者がなければ元も子もない。
3つ目に森への脱出…危険な要因を早く排除したい。
これを目標にしないといけない。
今木箱の中にあるのはあるのは、
布が3枚…自分が包まっているものと布団代わりにの1枚そして折りたたまれていたと思われる1枚。
最後のは風魔法で動かさる唯一動かさる代物だ。
ゆりかご…現状使い道無し。
雨の日は、できるだけ水をかき集めよう少ないが貴重な水分を補給しないと冗談抜きで枯れて死ぬ。
布1枚は水の確保ように使おう幸い木箱に被さっている布に撥水性ではないため水を通す。
…《分析》歩くのに必要な筋力数値を教えて下さい。
(最低三十です)
今の筋力数値は12あと18は必要…となると今後の事も考慮すると40から50を目標に動こう。
………
……
…
さらに数ヶ月が経過し非常事態が発生した。
ジィジィジィジィと蝉の鳴き声がうるさく気が散るのもそうだが何より…
暑い!!………無理もない冬仕様の分厚い布、木箱という風通しが悪い密室、最低限の運動もしなければならない以上避けては通れない。
異常なまでに発汗がとまらない…普段から脱水気味なのに余計に水が出てしまう。
《分析》いわく熱中症や脱水症状も状態異常の範疇だから死ぬことはないが…運動の支障になっていて動くのが辛い。
だが動かなければ脱出できない一日でもサボれば即アウトの可能性がある。
せめて熱をのがせれば………いやある《風魔法》だ《ウィンド》はただ風を自由な方向に発生させる魔法…だが裏を返せば余分な空気を放出できるということだ。
扇風機の代わりに使おうとしたがただの熱風出て手で仰いだほうがましだったためやめたが使い方が悪かったようだ…そうと決まれば。
両手を上げて風を手の感触で捜索する。
天井の穴に熱を送って新しい風を吸い出せ…
ゆっくりと風が上に送られて周囲の熱が薄れていく…
そして今度は天井の穴から風が新しく送られてくる。
これを繰り返せ………!
………しばらくして周囲の熱が完全に気にならなくなるほど箱の中は快適になり始める。
(スキルを会得しました。
《風魔法 エアコントロール》
一定範囲の風を操作します。)
パターンを繰り返したのが引き金になったらしくスキルを習得できた。
助かった………
………
……
…
あれからさらに数週間まだ夏の熱量が残っている時だった。
やっとだ…運動は無駄ではなかった…ようやく立つことができたまだ歩くまでは行かないがようやくスタートラインになったようだ。
ということは…《分析》ステータスを表示してください。
(了解しました。)
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種族 ハーフエルフ 年齢10ヶ月
性別 女性 状態異常 飢餓
紋章 転生印
基礎ステータス
魔力数値 30/34
筋力数値 30
耐久数値 15
速度数値 32
スキル系統順
魔術系統
《BOXスキル・風魔法》
戦闘系統
《風魔法←》
耐久系統
《一途な毒》
強化系統
自動発動中
《捨食》
探知系統
《BOXスキル・森林の管理者 遠視》
《BOXスキル・分析 鑑定》
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よし…まともに歩けるようになれば打開策は作れ…
(スキルを会得しました。
《ベルソー・ロの加護》
これによりさらに
《BOXスキル・水魔法》及び
《水魔法 スプラッシュ》を会得しました。)
水を差すように分析が新しいスキルを知らせる…ありがたいのだがタイミングは考慮してもらいたい。
それでベルソー・ロ?誰…海外の偉人?
(ベルソー・ロとは魔樹と呼ばれる魔力を多く含んだ植物の1種を水分を多く含んでおり水脈の近くに生える植物です。)
………!もしかして木箱の隣にある木がそのベルソー・ロですか?
(その通りです余談ですが、定期的に降っていた雨はベルソー・ロの吸収した水分の放出。
そして《一途な毒》の原因を分析した結果ベルソー・ロの魔力汚染が原因だったと思われます。)
なるほど…《水魔法》想像が付くけどは《加護》スキルの内容は?
(《ベルソー・ロの加護》
脱水状態の無効化、水魔法の習得、魔力数値上昇を付与します。
これにより現在の魔力数値は、四十四分の三十になりました。)
10も魔力数値があがったのはありがたい魔法による検証の試行回数が増えるし《水魔法》の会得で水分補給も可能になったのはもっとありがたい。
喜びの余りガッツポーズを出そうとしたがバランスを崩して壁にもたれかかってしまった。
………
……
…
あれからさらに数ヶ月…
足はまだおぼつかないが安定して立てるようになった。
頃合いだろう…街はまだ《森林の管理者》で発見はできていないが《水魔法》で水分補給も十分筋力も目標の46と十分な数値そして…天井に手が届きサイコロの容量で木箱を動かすことができる。
これで天井が側面になるように向きを変えている。
さらに今は動物の行動が少ない昼頃今なら外に出れる。
すぅ………はぁ…ゆっくりと息を整えて天井だった壁に手を当てる。
街が見つかるまでにまだしばらくは拠点になるだろうけどそれよりも外への憧れが勝っている。
さて始めるか…すぅ………
足を思い切り踏み込み壁を押し出す。
「…ぐぁ…がぐぅ…」
思わず声が漏れる…木がミシミシときしむ音が聞こえるが微動だにしない…だが策はある!
両手の五指を強く握り《エアコントロール》を発動する。
穴から空気を外に放出して風の勢いを加算させるためだ。
きしむ音が更に大きくな…
突然だった…ゴン!!!と大きな音と共に箱が何かに引っかかった音がした木の根か石か物に引っかかっているようだ。
外れてはいるようだがそれが原因で脱出できない…
仕方がないため一度箱を正しい位置に戻し上から押し出す。
………びくともしない何が引っかかってる?
まさか金具か?水魔法で浸けて劣化させ続けて十分錆びついてるはず。
木箱を第三者視点で見る為《森林の管理者》を起動させてベルソー・ロの木へ視点を移す。
蝶番のような金具がついているがそれはすでに外れていてどうやら原因ではないようだ。
…しかたない《分析》外れない原因を探してください。
(了解しました。
《森林の管理者》による補助をおねがいします。)
魔力の消耗が激しいがしかたないか…
(………完了しました。
どうやら抗魔針が内側の四隅に三つずつ刺さっているようです。)
抗魔針?
(抗魔針とは魔力に抵抗能力のある分厚い針の一種で、
一部宗教では、邪心を祓う神器としても扱われ。
強度や寿命が長い為高層建築物に使われたりもします。)
………っえ?てことはそんなのが12本も刺さってるって事?
ちなみに…それを突破するのに必要な筋力は?
(最低四百です。)
………!!今の筋力は43最低でもその10倍ってどうすれば…
(単純計算ですが一月で筋力数値は五上昇している為1年で六十上昇している為…約六年で木箱から脱出は可能です。)
不可能だ!!この空間は1.5歳児の自分の頭が天井すれすれ…いずれ運動できるレベルのスペースがなくなって鍛えるどころかじゃなくなる。
抗魔ってことは水魔法で劣化される作戦も使えない。
それに分析しなくてもわかる…恐らく400という数値は軍人でも到達は難しい領域…道具や数がなければ破壊も可能だが…ここは樹海…人は呼べない…道具もない。
詰んだ…いや初手からこうなっていたのか…
内側から何かが外れて体のバランスを崩す。
………もう…やめよう。
………
……
…
「……ちゃん…嬢ちゃん!」
虚ろな意識の中で若い男の声が僕を呼ぶ。
面倒だ…関わりたくない…このままタヌキ寝入りしてやり過ごそう…
そういえばなぜ《嬢ちゃん》なのだろう…いや今の自分は女体だったな…密室で体のことを誰も指摘しないから忘れていた。
「うん…寝てんのか?」
そう言うと足音が近づいて来て僕の右の頬をペチペチと優しく叩く。
「…おい…このままじゃ風邪ひくぞ。」
タヌキ寝入りを通したいがこのままじゃ流石にバレる。
仕方なく目を開けると20代ほどの細身な男がしゃがんでいた。
左手には、なぜかレプリカだろうが刀を握っており黒いズボンに英語でNervesと胸に黒字で書かれた白いTシャツを着ている。
「おっ起きた!おはよう…早速で悪いんだけどここどこかわかるか?」
ここがどこって木箱の中…ではないな少なくとも。
今度は周辺には何もなくただただ水面が写っているだけで日の薄明かりが照らしているだけ。
先程より詰んでる空間かもしれない。
「なんでまた…」
………!声が出た無意識に発声した独り言だが明確に発音できた。
「また!?この空間について知ってんのか?」
しまった余計な誤解を産んでしまった。
「い…いえ…この空間自体については知りませんが。似た状態になっていたので…」
「似た状態?…どういうこっちゃ?」
男は、顔を近づけてこちらの顔を凝視する。
………話さない理由はないし別に話しても問題無いだろうどうせ夢の中なのだから。
「さっきまで…木箱の中にいたものでして。」
男は眉間にシワを寄せる。
「木箱の中ねぇ」
「はい…初手から詰んだ状態で置かれていました。
手段色々使ったのですが脱出できずに…」
「なるほど…ここもその中と同じ状態だから何もできないと。」
認めたくはないが事実なのでコクリと頷く。
それを見ると男はため息をしながら自分の体を持ち上げて僕の右隣であぐらをかいた。
「嬢ちゃんよ…それ何度もトライアルしてそうなったのか?」
何を言ってる?当然だろう…と思ったがあえて答える。
「計画を立てて自分の実力に見合った努力をしました。」
男は「あー」と言葉に迷って少し長い息をはく。
「努力を悪いとは言わねぇでもよ…諦めたら人間終わりよ…てめぇの目が言ってる…これ以上は無駄だって…似たような顔した男を知ってる。」
それとこれとは…?似たような話を幼少に聞かされた覚えがある。
記憶をたどると同時に夜明けのように明かりが強さをます。
「ん?…なんだ?目キラキラさせて…」
僕はこの人を知ってる…自分勝手な人だけどどれだけくじけてもまっすぐ前を向く人。
「そういえば周りも明るくなってきたな…時間で解決するタイプみたいだなこりゃ…よっと」
彼は立ち上がり前を歩き始める。
待って…あなたとはもっと話したいことが!!
「そっちも大変みたいだけど…まぁ頑張れとしか言いようがないな機会があったらまた会おうな。」
伝えないといけないことがあるんです!!
だから耳を傾けてください!!
「………ぃよう!!ガッ!!!」
思わず立ち上がろうとしたが木材の天井に頭をぶつける。
痛さの余り頭に両手で抑える。
まさか…師匠にどやされるとは…あの人剣以外はからっきしなんだから…人の事言えた口じゃないのに。
痛みが冷めて周りを見渡すとそこはやはり木箱の中…
だめ人間に活を入れられるほど自分が弱っていたのがとてもバカバカしい。
外に出たら剣の練習しないとな…それと発声の練習もしないと出たときまともに喋れないや。
………
……
…
それから何度も何度も木箱からの脱出手段を練った。
念の為にと《水魔法》で釘を劣化される作戦を使ったり。
《風魔法》で壊せないか試して見たり。
力で強引に押して見たりといろんな手段を使った。
夜間など動けない時間では、《分析》発声で起動させて練習したり。
黙想をしてみたり、後は過去の出来事を振り返る事に使った。
向こうの方々を思い出しておかないと師匠みたいに夢に出てきそうだから…
そんな日を何日も繰り返している。
冬が訪れもしたその時は《エアコントロール》を利用して夏とは真逆に空気を逃さないようにして内部の温度と湿度を一定にした。
冬の雨ほどこたえるものはなく凍え死ぬかとも思った。
梅雨の時はとにかくずぶ濡れにならないことを優先した。
布3枚がカビだらけになられては困るので《水魔法》でしっかりと洗って《風魔法》でしっかりと乾燥させる。
これは前からやっていた事だが梅雨だと回数が多くて…そのあまり
《風魔法 ドライウェーブ》と《水魔法 アクアスピン》
を会得してしまった…僕は洗濯機か…と流石に頭にきた。
再び夏が来ると猛暑の問題がまた発生した《水魔法》があるため余裕だと思ったのだが…蒸発した空間でむしろ逆効果で中は一時期に蒸し風呂状態となり《エアコントロール》で換気してもしばらくその状態が続いた《スプラッシュ》打つ前の自分を本気でぶん殴りたいと思った。
それと《森林の管理者》による捜索は諦めていない村を1つようやく見つけた。
だが人気が少なく見た限りではいて5人ほどしか住んでいない稀に馬が見えるがどこか遠くに行っていまう。
道を開拓したかったが猛獣の巣や断崖絶壁に当たることが多くまともな退路は捜索中。
こんな日を毎日繰り返している。
………
……
…
繰り返している日々が終わるのは、割とあっけない。
木箱を押しているときだったその瞬間が突如として訪れる。
《分析》が新しいスキルの習得を知らせた。
(スキルを会得しました。
スキル《餓鬼》
飢餓状態の際、筋力数値が三倍になります。)
何も食べていない為、当然…飢餓状態には常時かかっている状態異常だ。
よく考えると最初の頃はお腹すいた…という感覚はあったが水を余分に飲んでいたこともありその感覚は麻痺している。
そんなことを考えてる最中に会得していた代物。
だがその能力が決定打になった会得した数日後筋力は134を越えた…そしてスキルで3倍の補正がかかり402となる。
そう《分析》いわく必要な筋力は400…数値を突破した。
両手を再び天井に当てる成長して上に押し出すほうが効率がいい為最近は上に押し出している。
押す前に軽く深呼吸するのが癖になってしまった…もうほぼ無意識に行っている。
いつものように足を思い切り踏み込んだその時だった。
ミシ…明らかに違う木箱の高い音と金属が振動する音が響き何かが外れる感覚が訪れる。
いつもの重かった木箱の蓋が明確に軽くなった。
立ち上がり蓋を外へとどかすと…いつも《森林の管理者》
で見ていた光景だった…見慣れた光景のはずなのになぜかその景色は明らかに新鮮だった。
ふと…後ろを振り向くといつも目を借りていた一本の木がある………!
今なら自分の姿を見れる…そう思い使っていた布で腰と胸元を巻いて木に体を合わせて《森林の管理者》で木に視点を移す。
まず思ったのは外国の子供かな?と思われるような典型的な腰に届くほどの長い金髪だっただがよく見るとその髪は若干緑が混ざっていてファンタジーのような色合いだ。
目にはくまが乗っているせいで台無しだがつぶらで仔猫のように丸く…暗い青いや藍色の瞳だった。
顔は全体的に整っていて少し手入れをしてしまえばもう少し綺麗になるかもしれない。
胴体はその顔が台無しになるほどやせ細っていた…何も食べていないから当然ではある。
《森林の管理者》を解除して外で初めての声を発する。
「《分析》あなたを起動してからどれだけの時間が経過しましたか?」
約数秒の間があいてパネルが姿を表す。
(約三年と四ヶ月です。)
ゆっくりと息を吸い………吐き出す。
「そうですか…3年この中にいたんですね。」
最後まで読んでいただきありがとう御座います。
実は別の作品の連載記事もしているのですが。
別の世界が色々脳裏に浮かんでしまいこの作品を投稿する事にしました。
具体的に言うと3、4個ほど別世界が生成されていてその世界ならこいつはこうしてこいつはああして。
というのがサイクルしている状態です。
この世界についてですが異世界転生ものではありますが主人公であるハーフエルフは、チートではなくその世界では強い部類にとどめるつもりです。
特定の相手には無双したりしますが普通に苦戦します。
ネタバレが嫌いな方や異世界チートが大好きな方には申し訳ありませんがこれだけは明言させていただきます。
異世界転生ファンタジーを書くのは初めてなので表示力の欠如などには目をつむってくれるとありがたいです。
最後に次回を投稿する場合この後書きの欄は、世界観やスキル、キャラクターのステータスを表示しておこうと思いますので最後まで見てくれると光栄です。
それでは次回があったらお楽しみにして下さい。