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第11話 『副団長』の実力

『大罪の魔王』を閲覧していただいてありがとうございます!


20種類以上ある大アルカナで人気なのは、どのアルカナなんでしょうかね?

もし宜しければ、皆様の好きなアルカナを教えていただけると嬉しいです。

ちなみに作者は、希望や吉兆の意味がある『星』ですかね。


よろしくお願いします!

「アークの館より小さい」


「帝国全体で見れば小さな街だという話ですからね」



 メルクリウスとポラールは館正面にいた騎士を全て片付け終わり、正面から館内部に侵入していた。

 騎士以外の人はポラールが丁寧に気絶させていっており、今のところバレてはいない。

 進入する前から感じる巨大な魔力を持つ人物は裏に構えているので大丈夫だろう。


 2人はルジストルが捕らわれている地下牢を目指して進んでいた。



「歯応えがないね」


「そうですね。…それにしても警備が薄いですね」



 アーク側が帝国に敵対心を出したと分かっての警備の薄さに少し落胆する2人。もう少し噛み応えがあると踏んでいたのだろう。

 ソウイチが警戒するような堅い守りを2人は経験しておきたかったので、ここまで脆いとソウイチの計画を練った時間が無駄だと思い残念がる。



「本当に上の立場以外の騎士が弱すぎますね」


「騎士っていうのが笑えちゃう」



 互いに単独じゃないと全力が出せないとは言え、あからさまに弱い敵を一方的に倒していくのでは面白くないとも思っている。

 それに『罪の牢獄』ではアヴァロンがおり、騎士のイメージはアヴァロンで構築されていただけに、そこからの落差には激しいものがあった。

 そして一番は強い敵を倒してソウイチに褒めてもらうのが2人の目的だ。


 2人は少し進むと地下への入り口を発見する。

 階段を降りると見張りは1人だったのでポラールが声をあげさせる前に正拳を叩き込んで気絶させる。


 そして牢屋の中で瞑想していたルジストルに声をかける。



「ありがとうございます。メルクリウス様、ポラール様」


「元気でよかったね」


「任務完了ですね」



 ルジストルは1人で脱獄することも可能であったが、どこかに団長がいることは知っていたので黙って待つことにしていた。

 ルジストルと団長は遭遇したわけではないが、さすがに単独で勝つことができるなど考えられないという冷静な判断をルジストルは下していた。


 まさか『枢要悪の祭典(クライム・アルマ)』が2人も出向いてくるとは思わなかったのでルジストルは少し驚いてしまう。

 

 ルジストルに引っ付いていたメルクリウスの分裂体は本体へと戻っていく。



「私たちはアークに戻る。今はレーラズと他の魔物が守護してる」


「あなたには不在だった分の仕事が待っていますよ」


「もちろんここで瞑想していた分、元気ですのでお任せください」



 ポラールが転移魔法を発動させようとすると、外で結界が張られたのを感じた。

 『枢要悪の祭典(クライム・アルマ)』の2人も称賛するガラクシアの結界にルジストルは汗をかくのを感じる。



(この方々と一緒にいると忘れてしまいますが、相変わらずの異常さですな)



 『枢要悪の祭典(クライム・アルマ)』の敵じゃなくて良かったと改めて思うルジストルであった。








 ルビウスが急に真夜中になる。

 上を見れば満天の星。


 ガラクシアがアビリティ『全ての夜は(ワールド・イズ)掌の上(・ノクス)』を完全に使うための結界『星空領域(スターリーヘブン・)無窮ノ夜(エンドレス・ナイト)』。


 究極の闇魔導の1つで全ての光を奪い、闇魔法・闇魔導の性能を爆発的にあげるのが本来の効力だが、ガラクシアの使用する『星空領域(スターリーヘブン・)無窮ノ夜(エンドレス・ナイト)』は結界内を夜にすることで自身の全力を引き出すために使うものだ。


 街の住民たちは結界が張られ夜になった違和感に気が付かない。

 それどころか夜になったと慌てて寝る準備をみんなはじめている。

 それは騎士団員たちも例外ではなく、帰る家が結界内にないものはその場で気絶するように眠っていく。


 そしてガラクシアはメルクリウスとポラールが街からいなくなるのを感じる。

 ルジストル救出が成功したと同時に敵味方関係なくデバフを撒き散らす2人がいなくなったので少し調子を取り戻す。



「さぁ…みんなに最高の夜をプレゼントするよっ!」



 この輝く夜の中眠った人々は次に目を覚ますころにはソウイチのことを一生敵視することなく、全ての住民たちはアークのことを良く思うような人に変わっているだろう。

 魔力耐性が少ない者がこの結界内で眠ってしまえば魂からガラクシアの思い通りに一斉に書き換えることができる能力こそ『色欲(ラスト)』を司るガラクシアの力なのである。



「この街にはSランク冒険者ってのはいないんだね」



 ガラクシアは結界内で活動することができている生命を探知する。

 敵対する存在はみんなが団長って呼んでる人だけなようなので、結界を閉じる。



「さて! 1時間後に起きた頃には、みんなアークが大好きになってるからね!」



 1時間以内に他人に起こされなければ延々と魂にガラクシアの願いが刻まれてしまう。

 ガラクシアは街の外、南のほうから昨日まで街にいた騎士たちの魔力を感じたので地上にいる阿修羅に伝えに行くため地上へと滑空していった。


 上からみた阿修羅は何やら1人の騎士に魔力を打ち込んでいた。









 第7師団副団長バベル率いる小隊は急いでルビウスに戻るべく、馬に申し訳ない気持ちを抱きながら道を急いでいた。


 間もなく街が見えてくるであろう距離まで来ていた。


 しかし一瞬街の方角でどんよりとした強大な闇魔力の気配がしたのをバベルは感じ逃さなかった。



「確実に……何かが起こっている」



 アークで起こった街の長からの明確な敵対宣言。

 団員があれだけ注意したのに起こした帝国の旗に泥をかけるような恥ずべき行為。


 まだ何か起こるのではないかとバベルは嫌な予感を隠し切れずにいた。




「副団長見えてきましたね!」


「やっと着いたー!」



 団員たちがようやく終わりが見えてきた馬旅に解放されたかのように声をあげる。

 バベルもさすがに色々あって疲れており、気を抜いている団員を馬上であれ注意をする元気はなかった。


 バベルは近付いてきた街を見る。

 


「門番が誰もいない?」



 団員たちに声を掛けようと思ったその時。

 門の上から何かがこちらにむかって跳んだのが見えた。



「総員戦闘態勢っ!」



――ドガァァァァンッ!



 巨大な何かがバベルたちの前に襲来する。

 砂煙が晴れて見えたのは3m以上はある大きな鬼だった。


 素早く馬を降りて武器を構える騎士一同。

 バベルも剣を抜いて素早く魔力を集中させる。


 バベルは門から出てきた魔物を見てルビウスでは戦いが起こっていることを予測する。

 しかも外を見張る魔物がいるということは数が多いということ。



「全員! この魔物は私に任せてルビウスに加勢に行くのです!」


「「「「「はっ!」」」」」



 バベルの指示で素早く馬に乗り直す団員たち。

 鬼はゆったりとこちらにむかってきている。


 ゴブリンでもオークでもオーガでもない鬼、なかなか目撃する機会が少ない鬼だと感じたバベルは慎重に剣を向けていた。



「行きます! 『塔の鳥籠(タワーズ・メイデン)


 

 バベル近くの空間から16本の鎖が鬼に向かって放たれる。



「行きなさいっ!」



 放たれた鎖を跳んで回避しているのを確認してバベルは団員たちに駆け抜けさせる。

 かなりの身体能力を持っている鬼のようで、驚くような跳躍力でバベルの鎖を回避し続けている。


 そして鎖を搔い潜ってバベルのほうへ勢いよく跳んでくる。



「土魔法「ストーンウォール」」



――ゴゴゴゴゴッ!



 鬼とバベルの間に4つの岩の壁が展開される。

 初期的な土魔法ではあるが、土魔法のスキルレベルが高いバベルは一度に4つの強固な壁を作り出すことができる。



――ドシャァンッ! バゴォォンッ!



 まさに鬼族らしく壁を殴り壊して進んでくる相手を見て、バベルは予想通りだと少し微笑む。

 剣を地面に突き刺して、バベルは最後の岩壁を破壊して出てきた鬼を迎え撃つ。



「『怒りの鉄塔』!」



 地面を砕くような音を出しながら、バベル近くから何本もの棒状の何かが上へ向かって突き出てくる。

 鬼は勢いよく向かっていたのもあり、地面から突き出てくる攻撃を回避できず打ち上げられる。



「グオォォッ!」


「土魔法! 弾けなさい! 「ガイア・インパルス」」



 空中に打ちあがった鬼に対して上空へ大きな土の礫を砲弾のように地面から飛ばす土魔法を追いうちのように放つバベル。


 空中で体勢を整えようとする鬼だが、突然苦悶の表情を浮かべ、そのままバベルの放った礫の嵐が直撃する。



――ドドドドッ!!



「私と戦う時は不運に注意したほうがいい」



 「ガイア・インパルス」の直撃を受けて傷だらけになりながら地面に降りてくる鬼はバベルを強く睨む。

 バベルは怯まずに剣を構え、少し余裕そうな表情で鬼を見る。


 気付けば鬼の身体からは黒いオーラのようなものが滲み出ていた。




最後まで閲覧していただいてありがとうございます! 次話もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
思い出補正で一番思い入れのあるアルカナは死神ですねとある作品を読んで思い入れがあります
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