第9話 月とは『魔』の本流なり
『大罪の魔王』を閲覧していただきありがとうございます‼
こんなにアッサリしてんのに……実は最終章ってマジ?
主人公死にかけてますけど…。
第4尾まで解放することに成功した。
俺たちが犠牲を少なく『女神』に勝利し、今後俺たちみたいな遊戯に巻き込まれる犠牲者を出さないように選んだ方法が天狐の『大罪』。
アマツという取り返しのつかない犠牲を出してしまったが、なんとか第4尾までは持ってくることができた。
階層を進むごとに瀕死になっていく俺に『女神』がドン引きしているのが伝わってくる。自分が手を下すまでもなく死んでいっているぞ……なんて思ってるだろうな。
実際死にかけなのだが、怯む『女神』とアヴァロンとバビロンの上手い時間稼ぎによって、『永遠の星空』まで到達できた。
「うわぁ~……マスター死にかけだ!」
「この輝く星空の下、涼しい風を感じながら眠ったら気持ちよさそうだな」
「それ死んじゃうやつだよ♪」
「……何か企んでいるのでしょうけれど、このまま行けば勝手に死んでしまいそうですね」
「試したこと無いことしてるからな……懺悔ってのは大変だ。よかったら一緒にどうだ?」
「貴方と違って丈夫なので、勝手に貴方が死にゆくだけですよ」
「火力も凄いんだろうけど、何受けてもビクともしない守備力半端なさ過ぎるな」
「ラスボスですから当然です。……それにしても魔王にしては風情のある階層ですね」
「でしょ~♪ 綺麗な月と星が見えて気分も最高潮! それに魔力も元気になるしね♪」
輝く星空の下でガラクシアと『女神』、2つの強大な魔力が渦巻きぶつかり合う。
ガラクシアの『色欲』の力が階層を支配する。
バビロンと違って、性能が火力にストレートなタイプなのでど『女神』の異常な耐久力に時間を稼いでもらうのは厳しい可能性が無くも無い。
ガラクシアを見てきているであろう『女神』は正面から攻撃を受けても問題無いような対策をしてきているだろう。
そんな俺の不安を吹き飛ばすように、星明りに照らされた世界に暴力的な魔力が俺と『女神』に襲い掛かる。
「『蝕犯月光ッ!』」
「『神なる大地は燃えぬ』」
――バキバキバキッ! バリンッ!
月光に『色欲』の魔力を混ぜ、浴びた者の特殊状態を解除しつつ洗脳を行う『色欲』のスキル『蝕犯月光』、それに対し『女神』は凄まじい速さで七重七色の障壁を展開する。
使用から相手までの到達が速い『蝕犯月光』を防ぐなんて速すぎるだろと心の中でツッコミを入れつつ、ダメージ判定の無いスキルで『女神』の展開した『神なる大地は燃えぬ』の障壁の1つが割れたとなると、ダメージ関係無くスキルを防ぐタイプの守備能力っぽいな。
牽制を防がれたガラクシアは間髪入れずスキルを叩き込む。
「『銀ノ雨ハ穢レヲ抹消ス』、そして『煌宙を凍らす天星群』だよッ!」
――ドシャァァァァンッ!
「またかよッ!?」
何度目か忘れた爆風に巻き込まれて吹き飛んでいく哀れな大魔王。
『女神』から遠ざかることに関しては大成功だが、痛む身体に傷が蓄積されていき、地面を転がるのも痛くてしんどい。
高火力広範囲の魔導たちが『女神』の展開する『神なる大地は燃えぬ』に次々と叩き込まれていく。
視界が眩しかったり、鼓膜が破壊されるような轟音に襲われながらも、俺はガラクシアが作ってくれたチャンスを無駄にしないように第5尾の準備を進める。
――ゴシャァァァァンッ!
「……元世界から巻き込むどころか、元世界も荒らしに荒らした神様とは思えない『大罪』を焔にて焼き尽くそう」
ガラクシアが放つ魔導の爆風やら轟音に襲われつつ、それっぽい言葉を思いつくがままに垂れ流す。
天狐が言うには、それっぽいのが1番大事とのことなので、とりあえず自分が思う最大級のそれっぽいを絞り出す。
俺がまだこの世界に来る前ですら荒らされていたので、今ではどうなってしまってるのか想像もつかない。新米魔王の数からして相当な数行方不明になってしまっているだろうから、平和からはほど遠い状況になってしまっているんだろう。
「『水平線上の超重圧』、からの~『宙を射貫くは破滅と終夜ッ!』」
「『神なる大地は燃えぬ』」
――ドゴォォォォンッ!
俺の身体に少しずつ火が灯る中、美しい景色には似合わない超重力の波と、天へと昇る光が『女神』が新たに展開している『神なる大地は燃えぬ』に叩きつけられている。
全部破壊されてもすぐに展開し直せるのズルくないか? アヴァロンの防御能力でも再使用に時間設定あっるってのに『神なる大地は燃えぬ』とやらは張り続けられるの最強じゃない?
「自分が楽しみたいからって他人の命使いやがって……俺たちが過ごしていた平和な時間を返してくれ」
家で『原初』とTVゲームでもして楽しんで満足してくれてたなら、こんな幾多の世界線を巻き込まないで済んだだろうに……こんなどこの世界で誕生した神様なのかは知らないが、強大な力を持った2人がこんな考えを持ってしまったからに最悪は産まれてしまった。
灼ける痛みに耐えながら、今更な考えが頭に過る。
「『色欲』の影響を少しでも受けてくれば、『原罪』からの『終極凶星・聖十字滅破』で終わらせに行きたいだろうに……まったく通さないな」
――ドシャァァァァンッ!
『女神』に攻撃ターンを与えないように、ひたすらに高火力広範囲の魔導を叩き込み続ける。
ガラクシアの魔力が膨大にあるから出来る芸当だが、それは時間稼ぎであることが大前提の行為なので、しっかりと俺の方も進めなくちゃいけない。
『色欲』の効力を完全に遮断できる能力ってのは、今後にも響いてきそうだ。
月下という魔を司る者にとって最高とも言える状況で、これだけの守りが容易に展開できる……頑丈すぎるラスボスはクソゲーだぞ。
「月下のガラクシアが階を魔力で満たしてくれているおかげで、俺もパワーアップできるな」
――ボッ!
「痛覚の大半を薪にして……『混沌の火』を第5尾とさせてもらおう」
多くの世界線を大混乱に、それと『女神』と『原初』が創造した世界に大混乱を起こし、物語の筋書きを破壊した『大罪』を5つ目の尾にしよう。
フルスロットルで魔導を使い続けているガラクシアがいつまで持つか怖いところなので、挨拶云々は相変わらず捨て置いて……懺悔の続きへと階を進めよう。
最後まで閲覧していただきありがとうございました‼
いつもの倍速くらい速く、そしてアッサリ感
そんな中で死にかけの主人公。
なんか育成しすぎたゲームのラスボス戦みたいですね。
次話もよろしくお願いいたします。




