表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/437

第11話 勇者の『秘密』

『大罪の魔王』を閲覧していただきありがとうございます!

感謝の1日3話更新第3話目になります! よろしくお願いします!


 目の前で起き続けている様々な出来事に対して、東雲拓真(しののめたくま)は出来る限り冷静に分析しようと頭を働かせていた。 

 まったく見たことの無い格好の人や見知った人物がいる、知らない場所。

 拓真が暮らしていた日本では見ることが出来ないであろうヨーロッパの世界遺産にありそうな感じの宮殿。


 立派な白と金のドレスを身に着けた、日本では見ない黄金に輝く髪をした女性。

 拓真が感じている豪勢すぎる宮殿の中でも、まったく見劣りしない存在感のある人物だ。


 拓真は注意されない程度にキョロキョロと周囲を見渡してみるが、剣や盾、しかもコンセントやコードが1つも存在していないのに明るい部屋。

 自分と同じように状況確認に努めている同じ高校の学生2人。


 同じ学校で同学年だったような気がした2人に対して拓真は、話しかけようと考えるが、きっとドレスを着た女性が説明ぐらいしてくれるだろうと考え、特に声をかけず静観することにした。


 しかし、最初に声を発したのは女性ではなく、その近くにいた騎士の男だった。



「突然のお呼び出し申し訳ありません。ここは皆様が居た世界とはまったくの別世界。我々の都合ではありますが、世界に蔓延る魔王という存在を退治してほしいがために呼ばせていただきました」



 拓真は多すぎるツッコミどころになんとか堪えつつ、騎士の言葉を最後まで聞き続ける。

 同じく呼び出された2人も同じらしく、とりあえず説明を全て聞いてから質問をするつもりなのであろう。


 そして拓真は、この展開をなんとなく知っていた。

 日本で昔流行った『異世界』というものだと、すぐに理解が出来た。

 実際に異世界に行くと遺言を残して自殺してしまった人がいるので、何度かニュースになっているのも知っているし、アニメーション作品や小説にも題材として扱われているのも少しだけ知っていたのだ。


 そして何となくではあるが、拓真は騎士の話し方を見て、呼び出した人間に対する対応が慣れているなとも感じた。



「俺たち以外にも、この世界に来た人間がいるみたいな感じだ」


「さすが勇者様、素晴らしい洞察力です」



 拓真の騎士を見る視線で察した女性は素直に情報を伝えていく。

 呼び出された3人は慌てることも無く、自分たちだけで帰る術は無いということにも早々に気付いたのもあり、自分たちが成さねばならないことをしっかりと頭の中に入れていく。


 高校の授業を終えて、校内にある自販機で飲み物を買って帰ろうと思っていて、気付けばこんな場所に来ており、家族や友達に心配されないかと考えた拓真ではあったが、喚いたところでどうにもならなさそうだし、他の2人が黙って聞いているのに1人だけゴチャゴチャ言うのも恥ずかしいなと思いながら話を聞き続ける。


 騎士と女性の説明では、ここは『聖都』という場所らしく、拓真たちと同じように呼び出された日本人が他にもいるという話や、『魔王』討伐を懇願された。


 各々の自己紹介も終え、少し食事を取ってから『勇者』の力についてと、短期間の戦闘訓練の話をするそうなので、拓真たちは大人しく騎士たちに着いて行くことにした。


 道中拓真は1人だけ聞いていない勇者がいるぞという言葉に疑問を持ちながら…。


 まるで戦うことが当たり前のような空気の中、新たに3人の勇者が誕生し、勇者が再び8人になったのであった。








――『罪の牢獄』 居住区 会議室



 アイシャの魔王戦争を明日に控えた夕方。

 俺は戦争前に最後の確認ということで、居住区の会議室へとアイシャを招いていた。


 さすがに同じSランクとの魔王戦争なだけあって、アイシャにも緊張しているところが見えて、少し安心している自分がいる。

 適度な緊張が無ければ、軽はずみな行為で命を落としかねないと思っている俺からすれば、戦争前には必要な空気感だと思っている。



「とりあえず『水』の同盟4つは真夜中襲撃作戦で上手く倒すことが出来た」


「魔王を4体も黙らせるではなく、討伐するところがソウイチの恐ろしいところですね」


「報復される可能性があるなら、やってしまったほうが確実だろ?」


「臆病なのか大胆なのか分かりません」



 確かに普段は慎重タイプな魔王だと自分でも思っているけど、さすがに『枢要悪の祭典(クライム・アルマ)』という単体で超強力な戦力がいるのに、怯えてばかりでは仕方が無いので、やる時は徹底的にやるつもりでいる。

 正直ウロボロスが居てくれるおかげで、作戦の幅を膨大に広げることが出来たのが1番の要因かもしれないけどな。


 そして残るはアイシャが『水の魔王』に勝利すれば、無事ハッピーエンドなのだが、『焔』が『水』相手にどう立ち回るのか、俺にも分からないが、アイシャには作戦があるようなので追及はしていない。



「Sランクになった『焔』の力を楽しみにしているし、もし明日になって参戦してきた『水』の同盟相手がいたら、そこは俺たちが責任をもって邪魔をさせないようにさせてもらうさ」


「助かります。さすがに『水の魔王』を相手にするのに余裕なんてありませんから……大きな借りを作ってしまいますね」



 きっと同盟相手が4人しかいないなんてことは無いだろう。さすがに長年魔王をやっているだけあって繋がりは広いし、派閥もデカいはずだ。

 戦争は、アイシャか『水の魔王』のどちからが倒れるか、コアが破壊されるかが終了条件なので、どうにか2人の勝負に邪魔が入らないようにしなければいけない。


 俺の予想では『焔』と『水』の戦いは、どちらが先に戦場を自分たちの戦いやすい環境へと変えることが出来るかが第1段階になってくると思っている。

 両者とも四大元素の力を持った魔名なので、自分たちの属性一色に環境を変化させたいだろうから、開幕でどんな能力を互いに使ってくるのか楽しみだ。



「ちなみに戦場に決まった。『天空の大地』の視察はバッチリなのか?」


「えぇ……私にとっても『水の魔王』にとっても、やりやすくて開けた戦場ですね」



 初期戦場でのアドバンテージは両者互角か。

 かなり高いところにある戦場だそうなので、標高の影響だったり、風の強さが少し気になると言ったところだろうけど、Sランクにまでなると、些細なことは気にならないくらい大味で激しい戦いになりそうだから、そこは大丈夫かな。


 ドラコーン的には自在に空を動き回れて、上空から敵位置を把握しやすい場合は、かなりやりやすい戦場になりそうだ。アイシャの魔物は空を飛べる魔物が何種類かいたはずなので、制空権の争いも注目したいところだ。もしかしたら空をアイシャが、地上を『水』が制圧してから本格的に激しい戦争になるかもしれないな。



「『水』の能力がどんなものなのか次第だな」


「情報では攻めるよりも守る寄りだと聞いたので、しっかり崩すつもりで行きます」



 攻めるか守るかで分類するならば、『大罪』魔物限定強化と妨害が出来る俺の力はどうなんだろうか? せっかく『大罪』が15個もあるんだから上手く使っていかないといけない。

 

 アイシャには戦局を一気に変えることが出来る魔物復活能力があるから、その力の使いどころと、相手がどんな対策をしてくるかが肝になるな。

 『水』自身の能力はあまり知られてはいないらしく、過去の魔王戦争では魔物の強さだったり、環境を上手く使用して勝っているようなので、かなりやり手ということをしっかり考えて動かないといけない。


 俺が戦うわけじゃないのに、俺まで緊張してきた。



「負けるわけにはいきません」


「俺は俺で……アピールの舞台にさせてもらうよ」



 俺たちは気になる点を出し合いながら、戦争にむけての最終打ち合わせを続けていった。

最後まで閲覧していただきありがとうございます!

感謝の1日3話更新いかがでしたでしょうか? 少しでも楽しんでいただけていたら嬉しいです!

改めまして総合評価2万pt本当にありがとうございます! 毎日更新することと厨二病なことくらいしか取り柄はありませんが、これからもよろしくお願いします!


次の感謝の1日3話更新は総合評価2万5千突破したときになるのかな?(震)


次話もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 第7章第7話『石獣』の‥で、 魔王戦争の戦場が『針山』に、 ええ、分かります。 『天空の大地』の中に『針山』があるんですね。 楽しみにしておりますとも、分かってる分かってる、みなまで言う…
2021/09/26 21:36 どうも重箱の隅をつつく者です
[一言] 勇者はやはり洗脳か…異世界から呼ばれて大人しく戦う理由、あんま無いもんな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ