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名も無い住処
明かり窓すら無い牢獄。
月も照らさない場所。
ここが私の住処。
酷い腐臭と死臭。
湿っぽいはずなのに、
カビの匂いすら感じとれない。
床には骸の様に敷き詰められた、
住人たちが横たわる。
聞こえてくる声は
呻き声と嘆き声。
まともな者はいない。
壊れていない者はいない。
みな傷だらけで、
みな血だらけ。
人が造った
簡素な地獄。
乾いた金属音がする。
痛めつけるだけの棒で、
牢の格子がなぞられている。
地揺れの様に床が震える。
歯軋りが聞こえる。
嗚咽が聞こえる。
今日も誰かが“死神”に
魅入られるのだろう。