運命の人を探しているけどまだ巡り会えません。
初めまして。
初投稿・○年振りに文章を書く為に至らない点が多々あると思いますが、よろしくお願い致します。
勢いだけで設定作って書き始めてみたなんて、そっ、そんな事無いんだからね…!
今日、彼は失恋をした。
相手はとある町に住む一人のシスターだった。
「私は神に仕える身、お気持ちに応える事は出来ませんわ」
そう告げられ彼はあっさり振られたのだ。
惚れた理由は一目惚れだった。
その町に初めて辿り着いた時、たまたまシスターを見かけた彼は胸の高鳴りを抑えきる事が出来なかった。
美しい…!今度こそ、運命の相手なのかもしれない…!
そう思った彼は突撃した。
花屋で花束を買って、シスターにその花束を差し出しながら、いきなりプロポーズした。結果、振られた。
そう、あっさりと振られたのだ。瞬く間に。数分で。
町では噂が早速広まる。
「失恋勇者様が今日シスターに振られたそうだ」
と。
そう、シスターに告白して振られた彼は勇者なのだ。
明るく努力家で容姿端麗、人望もあり誰からも好かれる魅了を持つ、一見完璧に見える青年。
だが彼は『失恋勇者』という二つ名で呼ばれていた。
ー失恋勇者、これで159回目の失恋ー
『失恋勇者』ことセレン・エレニール。
彼は自分の運命の相手を生まれた時から探していた。
前世で誓い合ったかつての恋人を探している、らしい。
明るく努力家(以下略)のセレン。
普通ならモテないはずが無い。普通にモテそうなのだ。いや普通ならモテるだろう。
大事な事なので二度言いますが、人望もある。
だが失恋した。
彼の欠点、それは一目惚れの達人という事と、ちょっと変態という事だった。
紳士な変態だった。勇者だから紳士なのか?
というかどうしてそうなった。
ある時、彼は一人の女性にプロポーズをしていた。
「貴女の美しい足で俺を踏んづけてほしい」
結果、失恋。
またある時、彼は一人の幼い少女にプロポーズしていた。
「君が大人になったら結婚しよう」
結果、失恋。
そしてまたある時、彼は一匹の猫にプロポーズしていた。
「ああ、君の美しく鋭い瞳に心を射抜かれた」
結果、失恋。引っ掻かれていた。
誰でもいいのか?人以外でもいいのか?とツッコまれそうだ。
まあ、彼の記念すべき100回目の失恋相手は、宿敵として対峙した魔族の女王だったのだが。
振られてもまたすぐ立ち直り、くじけず新しく運命の人を探す勇者・セレン。
彼は今日も世界を巡っていた。たった一人の運命の人を見つける為に…。
そして、そんな彼をそっと見つめ続ける一人の少女がいた事を、彼は気付いていなかった。