底辺のおっさんは、ソウセキはアリらしい
「フヒヒヒ、伝説の化け物の目玉なら色々使えそうだねぇ」
トイとの一戦に勝利し、眼帯野郎を手にした下井は酷く邪悪な笑顔で嗤う。
ぶっちゃけ、乳首周りが痛すぎてモノクソどうでも良い。
「主殿お怪我はって! 顔色、青過ぎ! 紫じゃない!」
のたうち回る俺を見たヨウが慌てて回復魔法をかけてくれるのたが。
「マスター、よろ乳首ンタを下井凛花に盗られました」
トイが俺を揺すりながら伝えるのだ。
よろ乳首ンタって、眼帯野郎の名前かよ。
後にヨウから伝えられたのだが、俺はトイの一撃で折れた肋骨が肺にブッ刺さってチアノーゼを起こしてたらしい······
正式名称を忘れたドラゴニュート (仮)とブロゥに搬送され、俺は食堂で転がっている。
「助けてくれよ、もうしねえから許してくれよ。
本当にもうダメなんだよ、勘弁してくれよぅ」
眼帯野郎の情けない懇願が頭に響く。
「愚か者め、我々『バックベアード』種が運動能力を持たない事を忘れるとは真に愚かだなぁ、複眼。
私の様に振り回される事を前提とした姿で合っても未だに慣れぬのに、貴様の様な振り回される事の無い姿ではさも恐ろしかっただろなぁ。よろ乳首ンタぁ」
ホルダーが眼帯野郎に追い討ちをくれているが、よろ乳首ンタって決定なのか? ヤツの名前は。
「チクビンタぁ。それだけ目玉があるんだから5、6個失くしても大丈夫だよなぁ」
文化包丁の腹でテーブルに転がる『よろ乳首ンタ (仮)』をつつく、邪悪顔の下井が嗤う。
「好き勝手したんだし、消されても文句無いわよね。よろ乳首ンタ」
未だに能面顔の卯実が『にゃんとしー』をモフりながら脅す。
『にゃんとしー』は既にグロッキーだ。
「よろ乳首ンタは、武器としての使用が可能である事が証明されました」
トイが顕現したは良いが忘れていた尖ったサングラスで『よろ乳首ンタ (仮)』をつつきながら無表情で告げる。
「なぁハゲの大将、助けてくれよ。
オレ様が悪かったからよぅ」
この野郎、助けて欲しいのかケンカを売りたいのかハッキリしろや! このよろ乳首ンタ野郎が!
「我が友、マスター ヤマモトはお怒りだ。
覚悟を決めるんだな、よろ乳首ンタ」
「なぁ、そのよろ乳首ンタってのは、まさかオレ様の事か? 違うよな? おい! 誰か否定しろよ!」
「チッ、うるせぇな。じゃあ略してヨンタな」
「マスター ヤマモト、チでも可か?」
「あー好きにしろよ、全く。
正式名称はよろ乳首ンタって事で決定!」
俺が吐き捨てると、皆がよろ乳首ンタと呼び出す。
さて、眼帯なのに片乳首を隠す為に使われる変態臭溢れるアイテム化した眼帯乳首野郎は捨て置いて、にゃんとしーの名前だ。
「えー、にゃんとしーの名前だが、俺はペ◯って」
「モッさん、アウッ!」
下井の判定に、ですよねーと納得する俺。
「クロノハヤ」
「トイちゃん、アウッ!」
だよねー、ハヤテ号はアウトだよねー。
「んーと、タンゴは?」
「うーちゃんもギリ、アウッ!」
黒猫でタンゴはちょっちゅねー。
「ヤマモト殿達のピンチを救い出したのでありますから、ホーリーナイ」
「アンちゃん、退場!」
聖夜と聖なる騎士はアウトー!
「あ、ソウセキってのはどうですか?」
「竹ちゃんはー! 審議! モッさん、どうよ」
「あー、うん、アリかな?」
「おお、流石はタケイ殿だ。
良かったな、猫ど、んんっ、ソウセキ殿」
シャルローネ王女、なして竹井君は流石なん?
「ハハ、安直な名前なんで申し訳無いけど」
竹井君が照れながら笑う。
「んー、ソウセキ、ソウセキ、ん、アリだね、ウチも」
「あー、我輩はってヤツだ! ボンボンだっけ?」
ちげーよ! JKだろがお前は······
卯実の色々アレな間違いに俺は呆れたのだった。




