底辺のおっさんは、ねだられる
ドラゴニュートの目が光った。
俺がその事に気が付いた時には既に遅く、ドラゴニュートが高速で俺に向かって来る。
ゴブリン達は完全に虚を突かれ、動きが鈍い。
卯実や竹井君もまともに動け無い。
アンも棒立ちで、ドラゴニュートそのモノに気が付いていない。
「ポッポゥ」
ブロゥが一瞬でドラゴニュートの腰にタックルを決めるが、ドラゴニュートは倒れ無い。
3メートル級の巨体同士が押し合う。
ドラゴニュートはブロゥの肩を押し、ブロゥはドラゴニュートの腰を押す。
ドラゴニュートがブロゥの肩から手を離しブロゥの背中を殴り付け始める。
それに対してブロゥは力任せにドラゴニュートを抱え上げてぶん投げる。
ドラゴニュートは竜翼を広げて空中に留まり、ブロゥに向き直った。
ドラゴニュートが俺の視界から消える。
ブロゥも消えた。
シロリ以外のホワイトゴブリン達も消える。
イットゥーとカドゥがいつの間にか俺の前に立っている。
なんて事は無い、俺が見えない速度で彼等は戦っているだけだ。
現に間が空くとシブ達やブロゥが現れるし。
「敵対生物確認、脅威度8、本機はこれよりフルドライブモードに移行します」
ドラゴニュートが背中のキャノンを前面に展開する。
シゴが前に出て光の障壁を展開する。
シブが右に回り、シンは左に回る、ブロゥはシゴの後ろに立つ。挟み打ちにするのか?
「にゃーにゃー、われこそはねこのきし『にゃんとしー』なり。
りゅうのせんしよ、なのりをあげるにゃ」
トイの前に二本足で立つ猫『にゃんとしー』がドラゴニュートに肉球を向ける。
ヤベぇ、可愛い······
「相棒、戦うから。
あたしも戦う」
青い顔の卯実が俺から離れて構えを取る。
卯実は小刻みに震え、異能の発光も無い。
立っているのがやっとの様子。
「にゃー、にゃのるにゃ! りゅうのせんし!」
「本機、DDA―01は作成者とのマスター登録を希望する。
警告! これ以上の妨害は敵対勢力と見なし排除する」
ドラゴニュートの腰のランチャー1門が『にゃんとしー』やトイの方に向き、キャノンと残る1門ははシゴに向いている。
「にゃんと、おうさまのけらいになるのか? りゅうのせんしよ」
「是、本機はマスターを求める」
なんだ、敵じゃ無いのか。
「なんでありますか!あの怪物は! ヤマモト殿! 自分の背後に来るであります! 自分がぶっ飛ばしてやるであります!」
今さらドラゴニュートに気が付いて腕を振り回すアンに俺は思わず苦笑してしまった。
「ランク7ユニーク、デストロイド・ドラグナーです。
古代の半生物兵器です」
取り敢えず俺が名乗り出た事で戦闘は終了し、トイがドラゴニュートの説明をしてくれる。
へー、ドラゴニュートじゃないんだ。
「マスター ヤマモト、アレは君達の言う所のサイボーグと言うヤツで、私達風に言えば魔道兵器だ」
「警告! 外部より本機のメモリユニットに干渉を検知しました」
『視て知る』を検知したのかコイツ。
さて、どうしたモンか······
「にゃ、おうさま!『にゃんとしー』も名前が欲しいにゃ!」
『にゃんとしー』が俺の服を引いてねだって来る。
名前ねぇ、どうすっかな。




