底辺のおっさんは、変身少女を見た!
カドゥの拳がアンの後頭部に振り下ろされた瞬間にアンの全身が光に包まれ、金属を鈍器で思い切り叩いた様な音が響く。
アンを包む光が消えると、自らの拳に治療をするカドゥと、土下座をしている鎧がいた。
何処か見覚えのある鎧。
頭の先から爪先まで覆う銀色の全身鎧だ。
「いきなり殴るなんて酷でありますよ!ヤマモトど、の?」
顔を上げた鎧はカドゥを見て首を捻る。
うん、それ俺じゃ無いし······
「いつの間にヤマモト殿はカドゥ殿になったでありますか!? うーむ、謎でありますな」
アホな事を言い続ける鎧は唸り出す始末だ。
や、こっちに俺いるし、それカドゥだし。
カドゥは鎧の頭を鷲掴みにして強制的に立たせる。
「痛、痛いでありますよ、ヤマモト殿!」
カドゥは抗議を無視して鎧を俺の方へと向けて指差す。
「小娘、あのお方が神たる我が主だ。
良いか、あのお方が神たる我が主、ヤマモト マサキ様だ。
小娘、忘却と無礼は死を意味する、良いな。
小娘、貴様の様な無知蒙昧かつ矮小にして愚鈍な奇特珍妙変態鎧小娘であろうと神たる我が主はお救いくださったのだ。
日に24回は感謝の祈りを捧げよ、良いな」
多過ぎだろそれは、ってか、しなくよろしい。
「マスター ヤマモト、信者が増えたな」
一々、伝える様な事じゃ無いだろが、目玉の大将め。
「カ、カドゥ殿の自分、自分の頭から嫌な音がするのでありますが······」
あー、うん、なんだ、いつも通りか、人数が増えただけで。
いつもの馬鹿騒ぎと朝飯を終えて俺達は朝のミーティングを開始している。
今日の内容は、外回り組がオーク共のボスである転移者の捜索、ベルギア王国の騎士達の捜索と確保、まともな転移者の捜索と確保。
居残り組は各種の訓練や洞窟内の改装、保存食の確保だが、相変わらず揉める。
ホルダーとアイバット達は視界を共有しているので、アイバット達は外回り組に2匹と居残り組に1匹と振り分けられるが、アイバット達はなぜか俺の側から離れようとしない。
まんまるな身体を覆う黒い短毛はさらさらのふわふわモフモフで撫でると気持ち良いし、撫でると目を細めて気持ち良さそうに震える姿も慣れると可愛い。
くっころーズはアンとジャンのおっちゃん以外は外回りを希望しているが、近接戦がメインでは無いカドゥに3対1で負ける程度らしく、シンやイットゥーに止められている。
因みにアンは鎧姿に変身さえすれば卯実と同等の戦闘能力があるとの事で外回り組なのだが「ヤマモト殿と親睦を深めるであります」と訳の分からん事を言い否定する。
ゴブリン達も、ヨウは居残りを希望しているがホルダーは外回りを希望している。
下井とシロリは外回りを希望して、珍しくシブは居残りを希望していたりと、纏まりがないので、俺は今日1日を休日にする事を提案し、決を取った結果はほぼ全員の賛成により休日となった。
ミーティングを終えて俺はゴブリン達とブロゥを連れて洞窟出る。
加工したフィギュアを顕現する為だ。
さて、どうなるかな?




