底辺のおっさんは、都市伝説を体験する
短い、また短い
俺が意識を取り戻すと正面に俺を見下ろす卯実の顔がある。
なんだかんだ言ってもスッキリと整った綺麗な顔の少女だな、などとぼんやりと思った。
んー、なんで卯実が見下ろしてんだ?
「相棒、気が付いたの」
「んー、まぁ、なんだ、俺、寝てた?」
あり? 寝てた? なんで? ってーか、この構図はもしや······
「わりとね。昨日はほとんど寝て無かった見たいだしね」
あー、うん、なんだ、俺、女の子に膝枕して貰うと言う都市伝説を体験している様な気がする。
「あ、動かないで、頭を強く打ってるから安静にして」
俺が卯実の膝から退こうとすると、卯実に軽く抑えられ止められた。
確か俺はカエルの軍曹みたいな喋り方の少女、アンにダブル踵落としを食らってブッ倒れたんだっけか。
んで、卯実が俺を膝枕してくれている訳か。
なんか、照れ臭ぇな。
「あー、うん、そう言えばあの赤毛の娘はどうなったんだ?」
「えー、うん、なんてーか、隣で寝てるよ······」
苦笑いを浮かべる卯実を訝しみながら隣を見るが、誰もいない。
「ぷっ、逆、逆だから」
何がおかしいのか分からんが卯実が小刻みに震えながら笑いをこらえてる。
俺は反対側に首を向けると、まるでミステリーの死体の様にうつ伏せで寝ているアンがいた。
時折ビックビックと痙攣しているので生きてはいる様だが、俺を蹴り倒した後に一体何が合ったんだ?
卯実によると、アンは俺に踵落としをかました後も暴走を繰り返して暴れたので竹井君に投げられ絞められ落とされたらしい。
アンの暴走はヨウやホルダーの見立てでは、急激な身体的強化がされた事で身体のコントロールが利かなくなった事が原因で、現在は『パラサイトアームズ』に魔力を採られて『低魔圧』に陥っているとの話だが『低魔圧』ってあんなんだったっけ?
「おふぅ! 待つでありますよ、よ、鎧殿。じ、自分の魔力はもうゼロでありますよぅ」
再び痙攣したアンが何か言っているが、良く聞き取れなかった。
「あのアンって娘だけど、下井さんと同じ様なんだって」
「えーっと、確か『多重魂魄とか言う1つの身体に魂が2つ有るヤツだったっけか?」
「らしいよ、ホルダーの話だと」
「ふーん、んで、そのホルダー達は?」
「4つに別れて行動中だよ、相棒。
下井さんとヨウさんがメインの探索兼素材採取するグループと竹さんとシブさんがメインの洞窟のそばで訓練するグループ、後はイットゥーさんが偵察。
最後にあたしと相棒がアンって娘の見張りね」
卯実はニコニコと笑顔を俺に向けるが、見張りが必要なのか? 俺には必要性が分からんぞ?




