底辺のおっさんは、楽しみを奪われた
何故か更新されていなかった
ダンボールフィギュアに書き込みをする程度なら兎も角、カラフルなビールの6本パックやスルメや裂きイカ、ジャーキーなどのおつまみのフィギュアを作成する自信は俺には無い。
「そっかぁー、モッさんでも難しいのかぁ」
下井は肩を落として落胆する。
職人違うし俺······
「ねぇ、相棒。下井さんに作らせたら?」
はい? 今なんと?
「下井さん器用だし」
「うーん、ウチも自信無いなぁ。うーちゃんの言いたい事は理解出来るけど、ウチもフィギュア製作はしたこと無いからなぁ」
コイツ等、俺の楽しみを奪う気か!
「とりま、やってみたら? 相棒が動け無いんだし」
「そだね、モッさん以外が加工しても顕現出来るかの実験しよう。
なんか楽しくなってきた、うーちゃんやトイちゃんもって、みんなでやってみないかい?」
下井がふざけた提案をしやがる。
ノン! ユー達、ミーの楽しみを奪うでないザマスの事よ。
顕現出来ずに消滅したらどうすんだよぅ。
「と、取り敢えずは。ヤスリ、服のワゴン、プラスチック粘土を顕現すっとして、残りは加工してからかな」
泣きそうな俺は気を取り直してから、そう、みんなに告げる。
顕現した服のワゴンを卯実に任せて、プラスチック粘土を下井に分けてやった俺はフィギュアの塗装を落とす作業に取り掛かる。
まずは眼鏡。
スリムタイプのコイツは塗装を全て落として黒一色のサングラスにする。
次に水の入ったペットボトルフィギュアだ。
サイズが分からんが3本セットだから、おそらく2リットルペットボトルだろう。
コイツと同じ様なペットボトルを追加して水以外の物も手に入れるのだが、フィギュアの作成は下井にやらせてみる。
成功したら炭酸飲料やコーヒー、紅茶、楽しみが増えるな。
猫、もとい『レッサータイガー』の加工だ。
ぱっと見が猫なこのフィギュアは、塗装を全て落としてから再塗装する。
シブ達ホワイトゴブリンと同じ方法だな。
塗装は、んー、ヨウにやって貰おう、猫だし。
リザードマンは塗装を落とすだけでプランが浮かばないから後回しにしようと、思ったけど、トイに盗られた。
トイも改造して見たいのかな?
食料10日分が2つあるが、オプションダンボールの中身を相談してから作るので後回し。
眼帯フィギュア。
このファッション性が皆無で面白味の無い眼帯は再塗装とパーツの追加で成金風にしてやる。
目隠し縁の部分に青く塗ったプラスチック粘土の粒を散りばめて、中心にGマーカーのゴールドで塗った大きめの粒を追加して完成だ。うん、趣味が悪い。
最後にシブが当てた鎧だな。
俺は鎧の塗装を落としていると、下井がダンボールな戦記のOPを歌っていた事に気が付いた。
「~~~ ん、どったの? モッさん。歌わんの?」
はい? 何の事でしょうか? まるで俺が歌っていた様な言い方ですね、下井さん。
「モッさんに釣られて歌っちゃったよ、ウチも」
頭に手を当てて照れた様に下井は笑う。
「やー、なんか良いねぇ、歌いながら作るのって。
感情移入しちゃうねコレ」
また歌っていたのか俺は。
ゴブリン達が俺を見ている。
卯実も見ている。
竹井君も見ている。
くっころーズも見ている。
朝丘だけジャンのおっちゃんを見ている。
何? 何で俺を見てるの?
「マスター、歌を歌わないのですか?」
止めてトイさん。下手なのは自覚してるから!




