底辺のおっさん、アイテムボックスを知る
今回も短いです
萌ぇ無い膝枕····
艶やかな黒髪、高く筋の通った鼻、鋭利なフェイスラインを生む尖った顎、長い睫毛と黒い瞳、磁器の様な白い肌と牙、牙?
「おお、主。
気が付かれましたか!」
ゴブリーーーン!!
目覚めて目にした白ゴブリンに驚き、俺は転がって白ゴブリンから離れ、うつ伏せまま周囲を見回し『召還姫』の安否を確め様とした。
『召還姫』は少し離れた場所で膝を抱えて地べたに座る体育座りで青い何かを咥えており、どうやら無事な様だ。
「主、いかがなされた? いきなり動くとお身体に障りますぞ」
白いゴブリンが正座をしたまま俺に告げる。
主? 誰が? 何故に正座? 緑は?
「ンッグ……『滋養強草』不味いです。
ランク4ユニーク『ホワイトゴブリン』ですマスター。
以降、同様の加工したゴブリンは全て『ホワイトゴブリン』が基礎となるようです。
マスターはランク1『ノーマルゴブリン』の攻撃を受け意識を失い、現時点までの約2時間『ホワイトゴブリン』の膝の上で介抱されていました。
『ノーマルゴブリン』は『ホワイトゴブリン』に破壊された為、目視範囲内に脅威はありません」
有難いけど、ゴブリンに膝枕って誰得だよ。
「えーっと、この白ゴブリンが助けてくれたって事でイイのか?」
「はい、ランク1『ノーマルゴブリン』を撃退したのはランク4ユニーク『ホワイトゴブリン』です。
残念ながらマスターはランク1『ノーマルゴブリン』の使役に失敗しました。
ランク4ユニーク『ホワイトゴブリン』の使役成功はフィギュア加工が原因と思われます」
「使役って何!!」
「使役は、支配下にあるフィギュアを扱う事の総称です。
フィギュアを支配下に置くには、戦闘で相手を屈服させる、何らかの契約を結ぶ等の手段があります」
何その『チンピラシステム』怖い。
相手をボコッて言う事聞かせるか、契約で言う事聞かせるって、チンピラヤクザかよ。
「主! 低魔圧で意識がハッキリしてなかったとは言え、主を危機に追い込んでしまった罪に対し如何様な罰も受ける所存でございます」
何この武士ゴブリン。
白ゴブリンが土下座して俺に告げる。
「じゃ、じゃあ2体目を作ってる間に飲み水と食い物を探して来て」
「ハッ! 一命に替えても果たして見せます故、暫しお待ちを」
白ゴブリンは勢い良く立ち上がるが直ぐにコケて足に手を当て悶絶している。
足、痺れたんだ。
何? この引き千切られたフィギュア?
カプセルに戻してツールポーチに仕舞って置いたガチャフィギュアの一つを見て絶句する俺に『召還姫』が答えた。
「『ノーマルゴブリン破損体』です。
『ホワイトゴブリン』の一撃で破壊された為、顕現が解除されました。
顕現したフィギュアは破壊されると顕現が解除され収納カプセルに戻ります。
破壊された状態で顕現すると廃棄体となり、顕現解除する事が出来無くなりますのでご注意を。
不要に成ったフィギュアは魔力変換する事でフィギュアのランクと同数の魔力をチャージする事が出来ます。
収納カプセルとフィギュアはセットなので収納カプセルとフィギュアが共に魔力に変換されますのでご注意して下さい」
つまり、緑ゴブリンが白ゴブリンにブッ殺されたからフィギュアに戻った訳か。
んで、このゴブリンの死体フィギュアは顕現して捨てるか、魔力に変換してチャージするか選べると。
「なぁ『召還姫』、俺とアンタは一蓮托生な訳だから、ある程度のルールを決めておかないか?」
「不要です、私『召還姫』はマスターの命令に従います」
「一々命令しろって? 俺がゴブリンにやられた時、逃げろって言ったけど逃げたの?」
「いいえ、命令が不適当な為、実行出来ませんでした。
命令は適切にお願いいたします」
「全く勘弁してくれ、一々命令してたらイザって時に間に合わないだろ? 当たり前の自衛ぐらい自己判断でしてくれ。
これ、命令な」
「了解しました。
以後、自衛行為は自己判断で処理いたします」
「ついでに自己主張もしてくれよ、黙って腹を鳴らされ続けられるよりはマシだ」
「了解しました。
マスター、食事と魔力500程を所望します」
「うん、それは無理」
俺は呆れながら『召還姫』に告げた。
ゴブリンの塗装を落としながら俺と『召還姫』は大まかに3つのルールを決めた。
1つ目はお互い遠慮せず接する事
これは自分なりの丁寧語が面倒たからだ。
2つ目は自己主張と相談をする事
『召還姫』に命令や確認する手間を減らすのが主目的だな。
3つ目は『報告連絡相談』のほうれんそうをする事
2つ目と被るが人里まで森を進む以上、索敵の目が多いに越した事は無い。
「マスター、空いている収納カプセルに『滋養強草』を確保しても良いでしょうか?」
早速『召還姫』が相談してきたが収納カプセルに入れた所で2、3枚が限度だろ?
「別に構わないけど?カプセルに無理矢理詰めるならコンビニの袋があるから使うか?」
「マスター、収納カプセルはランク辺り1立米の収納スペースがあります」
何そのアイテムボックス。
日本にいた頃に俺が暇潰しに見ていた小説投稿サイトの『ニャロウ小説家め!!』で人気ジャンルの異世界物のど定番『アイテムボックス』がこんな事で手に入るとは思って無かったな。
俺はランク1の白いカプセルを『召還姫』に渡して使い方を教わる。
と、言ったがカプセルを開けて、入れたい物をカプセルの片割れにくっつけるだけだった。
カプセルに収納した物はフィギュア化するので中の物を使うには顕現する必要があるらしい。
てー事は、そこらの倒木をフィギュア化すればフィギュアパーツを作り放題って事?
次も出来次第、投稿します