底辺のおっさんは、再び倒れた
右手でトイの左手を握り左手でシブの右手を握る。
トイの手を握る右手からいつも『ゾワ』っとした何かが左手を通り抜け、シブの手を握る左手から熱を伴う何かが俺の全身を蹂躙して満たして行く。
「ーーーーー!!!」
俺は激痛に息が詰まり声に成らない叫びを上げるが手を離しはしない。
全身を焼かれる様な熱さが残り、左手から巨大なフードプロセッサーにゆっくりと押し込まれて切り刻まれている様な激痛を伴う感覚の後、ゆっくり、ゆっくりと左手から徐々に感覚が失われて行く。
左腕の感覚が失われ、左肩から左胸に痛みが移動して感覚が失われる。左胸から腹、腹から腰、腰から左足、左足から右足、右足から腰の右半分へと激痛と感覚の消失が繰り返す。
激痛の後、感覚消失の後、激痛の後、感覚消失······ 赤一色で何も見えない······ 何も音が聞こえない······ 俺は地に足を着けているのか? トイに魔力チャージされているのか? シブは? 渋? しぶ? なんだっけ? 魔力チャージだっけ? 魔力? あれ? なにしてた? なにってなに? トイ? 問い? とい? なんだっけ? なんだっけってなに? 赤が黒になってる。
あか? あかって? 黒? くろ?あは、あははははは······
個体名: 山本正の復元を開始。
山本正の存在情報を回収開始。
エラー、重大な情報破損があります。
エラー、存在情報に脆弱性が発見されました。
エラー、バックアップデータの破損が確認されました。
エラー、バックアップデータの復元に失敗しました。
エラー、山本正の存在情報に38%の欠落を発見しました。
エラー、山本正の復元に失敗しました。
山本正の存在情報を再構築。
山本正の存在情報に重大な欠陥を複数発見しました。
山本正の再構築を継続しますか。
山本正の類似存在情報を発見しました。
山本正の類似存在情報を使用し再構築を継続しますか。
山本正の再構築を継続します。
山本正の新しい存在情報を記録しますか。
山本正の新しい存在情報を記録しました。
個体名: 新しい山本正の再構築が完了しました。
新しい山本正は魔力を消失しました。
新しい山本正は平行世界と接続しました。
新しい山本正は世界改変の可能性を得ました。
新しい山本正はーーー 新しい山本正はーーー 新しい山本正ーーー 新しい山本ーーー 新しい山ーーー 新しいーーー 新しーー ······
声が聞こえる······
「あ・・う! 相・・! 起きて・相ぼ・! 起きてよ!! 正さん!」
う、み······ ?
「マスター、起きてください。マスター!!」
この、声、トイ······ か?
俺は確か·····
やべぇ、身体が全く動かねぇし、真っ暗だ。
「モッさーーーん!!」
下井、うるせぇ!!
「山本さん! 良かった。ヨウさん、山本さんが目を!」
一寸意識を失っただけなのに竹井君まで騒いで。
「主殿!!」
「山本さ、大丈夫かぁ? いてぇとこねぇか? おでの事さ分かるべか? 腹さへってねぇか?」
ヨウもジャンのおっちゃんもなんなんだよ。
「とっとと起きなさいよ山本。ジャンに心配かけないでよ。それにあんたが死んだら、その、カレー! そうよ、カレーが食べられなくなるじゃない! 早く起きてジャンにカレーを食べさせなさいよ」
朝丘てめぇ。俺はカレー量産機じゃねぇ!!
「マスター ヤマモト、マスター ヤマモトは現在目が見えていないのだな。我々はマスター ヤマモトの側にしっかりと存在している。マスター ヤマモト、君は安心して休息に務めたまえ」
ホルダーか、出来れば何が合ったか見せて欲しいな。
本当に何が合ったんだ?




