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底辺のおっさんは、悲鳴を聞いた。

今日も2回更新が出来なくて、申し訳ありません。

 洞窟内に叫び声が響き渡り、俺を含めた野郎どもが目を覚ます。

 竹井君には悪いが彼を寝ボケた状態で見た場合、かなりの確率で卯実か朝丘が悲鳴が上げている事を踏まえると、現地人のくっころーズの誰かが悲鳴を上げたのかと思い竹井君を探すと、彼は身繕いも余所に異能を発動させていた。

「山本さん、今の悲鳴はヨウさんだ」

「マジ? あのヨウが悲鳴を?」

今の所、寝起きで竹井君を見た時に悲鳴を上げ無いのはトイとヨウだけで、俺はヨウの叫び声を聞いたのは昨夜が初めてだ。

「先に行きます!!」

竹井君が駆け出して行く。

「イットゥー、シブ、シゴは竹井君を追ってくれ。

 カドゥ、シロリは入り口の確認して来て。山羊夫婦が寝ていたらケツをぶっ叩いて起こしてやれ。

 シンには悪いが俺の護衛を頼みたい。みんな気を付けて」

俺の指示にゴブリン達が短い返事を返して動き出す。

 侵入者は俺達を無視して奥に向かっているとすると、目的はシャルローネ王女暗殺か誘拐辺りか? ヨウが叫ぶ様な相手となると凄腕か? ん、叫び声を上げる? 何か忘れている様な?



 



 はい、グダグダです。忘れていた俺が悪いのです。ブロゥを収納カプセルに収納し忘れていた俺が悪いのです。普段通りのカオスです。ハイ。

 どうやら寝起きのヨウが食堂で寝転ぶブロゥを見て叫んだ様で、ヨウはブロゥに背を向けてしゃがみ込んで震えていた。

 そんなヨウを卯実が背中を擦ったりして落ち着かせ様としてたり、下井が朝丘に指示を出しながら料理をしていたり、俺より先に行った竹井君やシブ達は何故か正座していたり、ホルダーが壁に刺さっていたり、ジャンのおっちゃんが縛られた仲間の世話をしている。

「マスター ヤマモト、助けてくれ、何も見えん」

壁の隙間に刺さっているホルダーから救出要請の念話を受けた俺は何事かホルダーに尋ねるが、ブロゥに驚いたヨウに投げられ嵌まっていた為、不明だそうだ。

「いつも通りの朝っスね、主」

届きそうで届かない位置にあるホルダーの回収をシンは手伝いながら呆れる。

うん、そうだね、いつも通りのカオスだね、シン。

「シン坊、モッさんおはー、後でモッさんに相談あるからよろよろー」

下井が横目で俺とシンを見て挨拶を言い、ナン擬きを量産する。

「あー、おはよ、で、何があったんだ?」

「筋トレ中のブロゥにビビって悲鳴を上げたヨウねーさん。

 悲鳴を聞き付けたパンイチ集団が現れる。

 うーちゃんに怒られたパンイチ集団は反省中。

 おーけー?」

「あー、うん、なんだ、その、パンイチ集団は俺の指示だから、その、なんだ、ごめんなさい」

「ヨウねーさんはマッチョがダメな人とは思って無かったよウチは。てーか、ウチのイメージだとヨウねーさんはアメリカンマッチョヒーローの相棒辺りだったんだけどねー」

「事件に巻き込まれるヒーローと協力して戦うヒロインとか?」

「そうそう、敵を銃で撃って『アタシも戦えるわよ』とか格好つけて言っちゃうよーなの」

「B級アクション映画とかにありがちなヤツなー、大抵のラストが大爆発するオチなんだよなB級って」

「そうそう、工作員やスパイなのに美男美女で目立ち過ぎなヤツとかどうよ? あの手の映画は」

「ある程度は仕方無いだろ、主演の見た目が地味過ぎると期待値が減るし、濡れ場にもって行きずらいしさ」

話がズレて、何故か映画の話に変わっても下井と話していると、朝丘が「山本、邪魔!」と言って来た。

「馬鹿な事を話て無いで味見てよ凛花。ジャンに美味しい物を食べて貰うんだからしっかりしてよ。

 ジャンには不味い物を食べて欲しく無いのよ、わたし」

大鍋を掻き回す朝丘が下井に小皿を突き出してノロケる。

本当にどうしたんだ朝丘は?

「初恋の伯父さんだったっけ? ジャンのおっちゃんが似ているのは? 夕ちゃんがファザコンだったとはねぇ、料理を手伝うなんて言い出すから何事かと思えば『好きな人に手料理を食べて貰う』って乙っ女なアレ」

「別に凛花には関係無いじゃない。良いでしょ別に。 

 それに凛花1人で20人分も作るの大変だから手伝ってるだけで、ジャンだけに食べさせる訳じゃ無いし。あ、でもでも、ジャンが嫌で食べて貰いたく無い訳でもなくて、その、ジャンにも食べて貰うなら美味しい方が良いかなって思うの、でもでもね、ジャンがどうこうって訳でもなくてね、ジャンにはもっと料理が上手くなって、色々作れる様にってぇ、あー、もー、山本は邪魔しないでよ、嫌らしい」

段々とテンパり出す朝丘が癇癪を起こして俺を怒鳴る。

 なして俺が悪いんだよ! 理不尽な。




「クソが、最近の私の扱いはこんな事ばかりだ! 全く。今回の件はマスター ヤマモトにも責任がある事を正しく認識して、今後に備えてくれたまえクソが」

フルオープンで全員に愚痴るホルダーがウゼェ。聴かされるこっちの語尾が『クソが』になりそうなぐらいウゼェ。

 朝飯の間ずっと愚痴を垂れ流すホルダーにシンとカドゥがキレかかっているし。

 朝飯前にブロゥの服問題を、下井が山羊夫婦と何かこそこそとやってデカイ貫頭衣を用意したので、それこそ『朝飯前』で解決したがホルダーの愚痴がウゼェ。

「ヤマモト殿、先程から品性を疑いたくなる鬱陶しい声が頭に響き渡るのですがこれは一体?」

シャルローネ王女が声を張り俺に尋ねてきた。

「あー、うん、なんだ、その、(ウチ)の気色の悪い目玉の付いた杖が悪い。この杖は意識とか色々ある杖でな、最近、雑に扱われていて不貞腐れて愚痴を垂れ流してんだよ。悪いね」

俺が謝り頭を下げるとシャルローネ王女は「はぁ」とはっきりしない返事を返す。

「山本さぁ、姫さまさぁ落ち着いただべ。ツタさ解いてもええか?」

「あー、うん、そうだな、お姫様は解放しても良いけど、じいさんとにーちゃんはダメだな」

俺は周囲を見回してジャンのおっちゃんに返答する。

『セラン』だか『知らん』だか言う名前のイケメンじいさんと『エなんちゃら』とか言う名前も覚えていない金髪のにーちゃんは、俺を見て感じ悪くニヤニヤと笑っている。

 ちゃんと服を着た竹井君は仲睦まじいジャンのおっちゃんと朝丘を眺めて笑顔だ。

 下井は俺達とは分けてある、ジャンのおっちゃん以外の『くっころーズ』の朝飯を用意している。

 卯実は何故か下井の手伝いをしていて、ヨウは朝飯の後、直ぐに疲れたから休むと告げて女性用スペースに戻った。

 シブとイットゥー以外のゴブリン達はホルダーに苛立ち、その態度をシブに怒られている。

 ブロゥは「太陽の下でバンプアッープッポゥ」と訳の分からない事を言い外に駆け出して行ったし、山羊夫婦もブロゥを追いかけて外だ。

 野郎2人は解放するとアホな事を言いそうなので、ヤツ等の安全の為に解放出来ない。

 俺は比較的にマシそうなイットゥーとシロリにシャルローネ王女を解放するように頼み、すこぶるウザイ杖をトイに渡す。

「まっ、待てマスター ヤマモト、今はトイ様の相手をするよりも王女の情報収集が先だ! 先のはずのだ!! 止めるんだマスター ヤマモト、嫌だ、止めろ、幼女向けの玩具の様に振り回されるのは嫌だ! 嫌なのだー!!」

俺から悲鳴を上げるホルダーを受け取ったトイはいつも通りに無表情なのだが、笑顔を浮かべている気がした。

 どう考えても悪循環な気がするホルダーの扱いって。

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