底辺のおっさんは、小太りのおっちゃんと仲良くなります
短いです
洞窟の主殿って誰よ?
俺はチョコフレークを口に放り、咀嚼しながら竹井君を見る。
竹井君は軽く頷いた。
良く分からん? ので、卯実を見る。
卯実もチョコフレークを咀嚼中な為、ん、と返事をして頷く。
朝丘を見ると「フン」と返事を返した後に顔を背けられた。
「モッさん、お姫さまが呼んでるでー」
何を言っているんだ下井は? 呼ばれたのは洞窟の主殿だろ、俺、違うし。
「相棒、相手してあげたら? 呼んでるんだし」
「何故に? まさか洞窟の主殿って俺の事?」
自分を指差して見回すと。
下井は肩をすくめて首を振り「やれやれ」などとホザき、朝丘は顔を背けたままで、竹井君と卯実は呆れ顔で頷く。
トイだけは親指で自分を差し示していた。
「最後とか大袈裟な事を言っていたけど何さ」
俺は席を立たずに尋ねるとイケメンじいさんが怒鳴り出した。
「『騎士の嘆願』をなんと心得る!! 貴様それでも王の端くれか!!」
知らんし、王様なんざ成った覚えねーよ。
「控えよセラン!!」
「しかし!!」
なんか、言い争いを始め出したよ、全く。
「主殿、黙らせますか?」
ヨウが自分の腰を軽く叩きながら言って来る。
魔女の一撃をくれてやるかって?
「あー、いいや、ちと、行って来るわ」
俺が席を立ち、1人静かにしている小太りのおっさんの所へ行く。
「なぁ、おっちゃん。あの騎士のなんとかってーのは何の事か教えてくんね?」
「ひっ、お、おでか?」
俺は呆れながら「あんたしかいないだろ?」と呟いて頷いた。
「お、おめえさ、な、なして生きて居られるだよ! 魔力さねえのにおかしいべよ」
魔力が無いと死ぬのか? 何故に?
「さぁ? まぁ、なんだ、あれだ、あれ、家族の協力ってやつが、あればこそって感じだ」
俺1人だけなら3日と持たずに死んでいたかもな。
「あの白いゴブリン達や魔女だべか」
「おう!! 頼れる連中だ!! っと、そだ、おっちゃん、腹はへって無いかい? ろくに食って無いなら滋養強草の汁になるけど、なんか食うか?」
「いいんだべか? おでら、昨日からなんも食ってねえだよ」
「んー、なら普通に食えるが、お粥にしとくか。
下井、悪いけどお粥を作ってくれ」
「ん、あいよー、4人前なー」
下井がのっそりと立つと俺はブレードなランナーネタを繰り出してやる。
「2人前で十分だよ、2人前にしときな」
「いいや、4人前だ、フォー、フォーってぇ、ウチはレプリカントを狩りするフォードかよ!! だがお粥を作るのはウチ」
下井は親指で自分を差し示して決め顔を作ってオチを着け、俺とサムズアップを交わした。
通じるとは思ってなかったが、多分、他の連中には分からんだろうなぁ。あの映画のネタ。
「騎士の嘆願ちゅうのは、負けてもうた騎士さまや将軍さまがな、命と引き換えにお願いするこったよ。
勝った方の王さまは無理さなければ、お願いさ聞いてやるだ」
おっちゃんの説明で、ベルギア王女シャルローネの言葉の意味を知り、俺は頭を軽く掻いてため息を吐く。
重いわボケが。
「おっちゃんは暴れねーからツタをほどいてやるよ。
おっちゃんさ、暴れず騒がず普通にしてりゃ、俺らもこんな事をしないで済んだんだ」
「んだな、おでがちゃんとスキルさ使っておりゃ、こげな事にならんかっただよ。
『分析』スキルさ使へば、おめえさんらの事さ知れただよ。
異世界人ちゅうのはようけ分からんけんど、同じ人だべ、話しさすれば、ようけ分かるべさ」
何でこんな田舎のおっちゃんっポイのが、こんな危険地帯に来てんだ? つーか、何で俺達が日本から来た異世界人って知ってんだよ、このおっちゃんは!?
「どしただ? 山本?」
俺の名前まで!?
「ああ、そだ、そだ、おでの異能さ教えてなかったべ。
おでの異能スキルは『分析』だべ」
おっちゃんはそう言い、満面の笑みを浮かべた。




