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底辺のおっさんは、バイナラしたいそうです

「マスター、森の外にはマスターの主食である『滋養強草』が無い様です」

主食違うアルね。

「マスター ヤマモト、君の主食が外部では貴重な霊草だと認識したまえ。

『滋養強草』は君達のいた世界のゲームとやらで言う『ポーション』や『エリクサー』の主原料だ」

だから主食違うって。

「ずいぶんと貴重な草だったんですね······ 山本さんはそんなに貴重な草をオレ達に······ 山本さん!! ありがとうございます!!」

そこらに生えてる、生えてるから頭上げてよ竹井君。

「竹ちゃんは真面目だねぇ。そこらに生えてるじゃんか。あの長岡草」

そこ! 長岡言わない!

「ねえ相棒、それって凄いの? あたし、ちっちゃい頃にPモンとAカツとかぐらいしかやって無いから分かんないんだけど」

卯実が俺の左隣に移動して尋ねる。

「あー、HP完全回復と状態異常全回復なレアアイテムって言えば分かるか?」

「んー、なんとなくかな?」

唇の下に人差し指を当てて答えた後に、あざとく首を傾げて卯実は俺に笑顔を見せてくれた。

「マスター、ゲームとやらを所望します」

トイが右隣に移動して無茶苦茶な要求を無表情でして来た。

「あー、うん、なんだ、その、無理。ゲームと言ってもアナログとデジタルで全然違うし」

トイさんや、無表情で不機嫌そうにされても困るのだが······

「あんな、モッさん。ウチ言っては成らない事を言ってイイかい?」

「あー、うん、なんだよ下井、言っては成らない事ってのは?」

「なんか気になるんだけど」

「どうせ頭の悪いどうでも良い事でしょ」

「朝丘さんその言い方は止めよう。

 下井さんすいませんでした。朝丘さんが失礼な言い方をして」

「別にいつも通り、いつも通りだからイイって事よ、逆にデレッデレッになったら怖いよ。夕ちゃんってヤンデレ臭いし。

 んで、言っては成らない事ってのだけど。

 なして日本語が通じるん? ここの人等やおじ様達に?

 70年代から80年代の転移モン並みにバリバリ通じてるし、90年代以降のご都合主義なん?」

知らんがな!! あー、もー、なんだ、世界観の都合とか作者の都合とか適当なご都合主義で良いだろうが! 便利なんだし。

「マスター。私やマスター達の肉体は再構築されてこの世界にいます。

 再構築時に『異能』の他に翻訳スキルを与えられています」

有難い事にトイが説明してくれた。

 だ、そうだ下井。

「マスターの加工したフィギュアも同様に再構築された事で取得可能であれば翻訳スキルを取得しております。

 無加工フィギュアの場合は再構築されてこの世界に存在するのでは無い為に会話スキルを与えられていません。

 以前召還した『ノーマルゴブリン』の場合では『ノーマルゴブリン』と人間の可聴音域や発声器官の違いにより翻訳スキルの成功難易度が高く成ります」

「マスター ヤマモト、トイ様のご説明の補足だが、翻訳スキルは個人の魔力を必要としない。マスター ヤマモトの様に魔力を持た無い者であっても使用可能だ。

 お互いに翻訳スキルを取得している場合は、お互いの言葉が概ね理解出来る。

 理由は不明だが翻訳スキルでは読み書きは出来ないので注意したまえ」

「文字を持たない種族がいるからでしょ。馬鹿みたい」

「おぉぅ、夕ちゃんってば冴えてるね。凄くありそう」

あー、なんだ、確かに文字の文化がない蛮族とかいるかもな。

「んでもって、話を戻すとして。

『滋養強草』を見つけてどうするんだ? 食うのか?」

「マスター ヤマモト『滋養強草』を好んで食すのは悪魔や天使と言った半霊種か草食系上位魔獣ぐらいで、人種で食すのは魔術師など魔力を必要とする者だ。

 ベルギアのシャルローネ王女一行は薬品の原料として求めているに過ぎ無い」

「んじゃぁ『滋養強草』をくれてやれば、あいつ等とバイナラ出来る訳だ」

「バイナラって、きょうび聞かないよモッさん!!」

「きょうびって、きょうび聞かないよ下井!!」

何故か俺と下井はサムズアップを交し笑う。

 兎に角、俺はベルギアからお越しの王女さま御一行に土産を渡して帰ってもらう事を心に決めた。

『バイナラ』(←バイバイとさようならを合成した言葉)や『きょうび聞かない』ってきょうび聞かないですよね、関東では

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