底辺のおっさん、フィギュアを加工する
相変わらず短いですが
人は全ての現実を受け入れる事は叶わな無い。
辛い現実から目を反らし耳を塞ぎ埒も無い行為に没頭し無為に時間を浪費する事で精神の安寧を得る。
何が言いたいかと言うと、腹が減った。
自分のツールポーチを顕現した後、ゴブリンたちを顕現しようとしたが出来なかった。
『召還姫』曰く顕現するとクールタイムが発生するらしく、レベルオーバーのペナルティ付きで約2時間程、顕現は使え無い。
空腹を紛わらす為に俺はゴブリンの塗装を落としている。
除光液で塗装が落ちるとは思わんかったよ。
プラモデル等の塗装技術のウェザリングがリアルに施されていた為、ゴブリンのフィギュアは汚れて無いのに薄汚いと言う、言葉にすると訳の分から無い状態だった。
ので、俺はバイトで良く行くオフィス器具の中古屋の店長から「小さい補修は山本さんに任せれば安心ですよ」と言われた技術を駆使して薄汚く見える塗装を落としている。
ゴブリンの塗装は重塗りらしく、なかなか下地が出ず、塗装の色が薄く混ざり合いより汚く成っているが、俺は除光液を染み込ましたボロ切れ(ウエス)でひたすら塗装を落とす。
俺は静かな森の中『召還姫』の腹の音をBGMにしながら大まかな塗装を落とし終えた。
「白い、驚きの白さだ。
ゴムの様な材質なのに光沢のある白だ」
「光沢の原因は素体保護に寄る魔力です」
無粋にも『召還姫』が腹を鳴らしながら告げやがった。
俺は気を取り直して細かい部分の塗装を綿棒を使って落として、太さが極細の黒のマジックを使って縁取り、専門用語で言うスミ入れをして、黒のマジックのサイズを変えて瞳を書き込み、腰ミノは熱で溶けなかったので溝等を修正液で埋めて腰の防具風に加工し、赤のマジックで塗って白いゴブリンが完成したが、未だに顕現のクールタイム中なのでヤバい顔のダークエルフの塗装を落としてヤバい顔のエルフにしてやる。




