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底辺のおっさんは、ビンタをかまします

 今回は視点切り変えがあります。

 俺達はイットゥーを先頭にして、竹井君、俺とヨウ、最後尾にシブの並びで我が家たる『へのへのもへじ洞窟』を進む。

『カオスデーモン』達が再び敵対しトイは餌として拐った可能性もある。

 このメンバーのエースはよこしまなる神々の呪いに対抗出来る竹井君だが、俺と竹井君に暗視能力は無い為、ヨウの魔法で明かりを着けて進む。

 この先に『カオスデーモン』達が居る可能性は低いが進む。

 当たり前だがこの洞窟は直線では無い、道幅の広くなるカーブや広くなる直線等に生活スペースを置いている。

 始めの道幅の広いカーブには簡易バリケードと男どもが雑魚寝する草溜まりがある。

 バリケードは今朝と同様に解放されたままで、水音が反響して俺達の居る場所に届く。

 次の生活スペースは2度のカーブを抜けた先の広い通路で、風呂場と食堂として使用しているスペースだ。

 俺達は食堂に向かう前にバリケードを閉じて一息着く。

「主、トイ殿に呼びかけて見てはいかがか?」

「いや、不意打ちが怖いから無しだ。

 ヨウはホルダーから何か連絡は?」

俺はシブの提案を断りヨウに確認を取るがヨウは左右に首を振って答えたので「俺にも無しだ」と告げる。

 プレッシャーで息が詰まりそうだ。

 最弱の俺が出来る事は手にする赤いカプセルを使い『カオスデーモン』達を収納してフィギュア化する事だが『カオスデーモン』達が分離合体した事で存在の改変が起きていればそれすら出来ない。

 口の内が酸っぱい、緊張が酷い、思考がネガティブな方へ滑る、呼吸が荒い、動きが遅い、身体が進まない、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい、まずい。

「フン!!」

クソ以下の役立たずが更に酷くなる前に俺は自分の頭を壁面に打ち付け倒れる。

「あ、主!! 何をなさる!!」

俺の自傷行為にシブが慌てて俺を助け起こしてくれた。

「ありがと、今さらビビった腰抜けにかましただけだよ。

 大丈夫、大丈夫にしたから」

俺なんざトイが居なけりゃ役立たずのハゲ親父だ、気合いを見せろや腐れ底辺ハゲが!!


 と、まぁ、ドタマから血ー流して気合いを入れたのだが、全く持って無駄だった。

 食堂スペースには、2体のデカイ山羊頭の悪魔が青い草『滋養強草』を貪り喰らい『銀』と書かれたデカイTシャツを着て魔女が被る帽子を被り、手にしたホルダーを昭和の魔女っ娘の様に振り回すトイが居た。

 まぁなんだ、流石にな、流石にキレたよハゲ親父は。

「あ、ライト! 主よ」

「ん、愛しのレフィ、主だって?」

山羊頭どもが脱力感に襲われたシブ達に気が付きこちらを見たが俺は一人突進する。

 両手には2つに割った赤い収納カプセルを左右に持ち走り、まず白山羊頭の悪魔ライトに張り手をかます様に収納カプセルを押し当ててフィギュア化して、勢いを殺さずにライトの隣に座る黒山羊頭の堕天使レフィにもカプセルをぶん殴る様に押し当ててフィギュア化した。

「マスター、食事を要求します」

俺に気が付いたトイが何時の無表情で巫山戯けた事を抜かした事で俺の我慢は限界を超えた。

「トイ!!」

俺はカプセルを放り出してトイの頬にビンタした。

 俺に手加減は無く、頬を叩かれた無表情のまま倒れたトイの肩を掴んで引き起こす。

「何してんだよ、このバカが!! 何でこんな所に居るんだよ。

 怪我は無いか? 無事か? 何で待って無いんだよ、何をしてんだよ、どうしてホルダーを持っているんだよ! あーーもーー」

俺は頭ん中がぐちゃぐちゃで自分でも何を言っているのか全く分からず最後は叫んでトイを抱きしめていた。

「マスター、心配かけてゴメンなさい」


「全く酷い目に有ったよ、マスター ヤマモト。

 2体の返り血を浴びて血だらけになった後、トイ様に玩具にされたりと、まぁ酷い目だな」

あの後、俺達はトイとフィギュア化した2人の悪魔を連れて外に出るべく歩いているのだが。

 ヨウの手に戻ったホルダーがぐちゃぐちゃと愚痴を垂れ流して鬱陶しい。

「知らねーよ、大体ホルダーがトイを止めてりゃ、ここまで大事おおごとに成んなかったろが」

「マスター ヤマモト、トイ様を止めるなど私には不可能だ。

 深淵を超えしトイ様に私の能力など児戯に等しいのだ。

 トイ様の主である以上マスター ヤマモト、君はトイ様に対して正しい認識を持つ義務があるのだよマスター ヤマモト」

トイに対する正しい認識ねぇ、食っちゃ寝のガチャっ娘以外に何かあるのかよーって、ご都合主義全力全開な昭和の魔女っ娘に憧れてるポイとかか? 基本ぶっ殺し合いの危険生物の魔法少女で無くて変身するだけか掛け声一つで何でも出来ちゃう魔女っ娘の方な。

「まあまあ主殿、ホルダーは杖ですし無理と言う事ですよ。

 ホルダーも話をすり替え無い、でっトイ様って言うのは?」

間を取り持つフリで手の内でホルダーをクルクルと弄ぶヨウがホルダーに尋ねた。

「君もかヨウ。

 トイ様は深淵、いや、無限と呼ぶのが正しいな。

 トイ様は『視て知る』事が不可能な程に膨大な情報を宿すお方であり、観測不可能なステージに立つお方だ。

 私ごとき矮小な存在が物申すなどと恐れおおい」

よーは『カオスデーモン』達にビビった俺達同様にトイを『視て知る』事でビビった訳だ、ホルダー先生は。




『ヨウ、ミス ニノミヤを使う実験は中止だ。

 トイ様を敵に回すのは危険過ぎる』

『もー遅いわよ、主殿は腹を括ってるもの。

 成る様にしか成らないわよ』

『クソが!! あの虚数の海を知ればその様な事を言えん!!』

『既に最終段階まで来ていたのよ? どうにも成らないわ』

『クソが!!』

『酷い言葉使いですこと』

ホルダーは愚痴ともつかない忠告を繰り返すけどアタシはホルダーが危険視する程に酷い結果にはならないと思うわ、主殿はビビりってヤツですもの。

「皆さん外ですよ」

イットゥーの声でアタシはホルダーからの念話を打ち切って外へと走り出した。

魔女っ娘はセーフでも、子の方は商標登録されていました。

 ウィッチって日本語だと魔女ですが、男性も魔女狩りで魔女として殺されているそうです(←ゲーム知識ですが)

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