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底辺のおっさんは、収納する

 スロはヨウの電撃を攻撃としては無効化した様だが、痙攣していたので電気そのものを無効化した訳じゃない。


 一切の攻撃が通じなくても生きている以上、飲食や酸素を必要とするのは必然。


 姿が変わらない事から不老なのは間違い無いが、攻撃が通じ無いからと言って不死だとは限らないし、身体そのものは子供や孫までいるからヒトと大差無いのだろう、あの性欲の塊なクソチート野郎は。


「マスター ヤマモト、スロを()()()()()()()()が覚悟は出来てるのか?」


 ヒトと大差が無いと言う事は、飢えや渇きを覚え、飲食や呼吸をしなければ死に至ると言う事だ。


「正直、出来てないよ」


 でも。


 それでも。


 スロはこの世界にとって害悪でしかないと俺は思っている。


「みんな、絞め落として」


 持つ者を不死身する大盾を使っていても、体内を揺さぶられれば意識を失う。


 スロは様々な耐性や無効化能力がありそうだが、身体に収まり切らない量の水は飲めないし酸素を必要としていないのであれば、放水なんて無意味だったはず。


 四つん這いて収まり切らない水を吐き出し続けるスロを指差し俺はこの戦いを終わらせる為の言葉を呟いた。


 卯実が回収した刀で岩の手でスロの両足を封じ。


 ヨウが魔法を使い床から鎖を伸ばし、スロの腰を押さえ込み。


 シブは伸ばした棒でスロの右腕を絡めて封じ。


 シンはスロの左腕を薙刀に絡めて封じ。


 床に押し付けられた格好のスロの首を竹井君が両腕で絞め上げる。


 もしスロが飢えや渇きもなく、酸素すら必要としないのだとしても、脳に酸素や血液が巡らなければガス欠で意識を失うはず。


 なんかの漫画で読んだが、キレイに首を絞められると人は7秒で意識を失うとの事。


 もしスロが戦闘に慣れていたのであれば、絞め落としは先程の魔力の衝撃波や自爆等によって不可能な手だったが、スロはチート能力に胡座(あぐら)をかいたバカでしかない。


 5人がかりで押さえ込まれたスロが行った抵抗は身動ぎするだけで、ヤツは最後の7秒を無意味に浪費し意思を失った。




 スロを絞め落としたのには理由がある。


 不死身の相手を倒す手段と言えば、まず『封印』が思い浮かぶが、昭和のヤクザ映画等の定番『コンクリ詰め』とかの生き埋めぐらいしか俺には思いつかない。


 他にも『宇宙に放り出す』や『太陽に叩き込む』とかがあるけど、宇宙に放り出す方法が思いつかない。


「マスター、収納カプセルを貸してください」


「収納カプセル?」


 相変わらず無表情のトイさんや、いくらスロが生ゴミの様なヤツだが、生物はカプセルに納められないから。


「マスター ヤマモト! スロの存在が死体へと変質している!」


「へ? も、もしかして絞め殺しちゃったの、もしかしたら」


「あの肉体は始めから死体なのよ山本さん」


「どう言う事なんだウザ人形!」


「誰がウザ人形ですか! 兎に角、簡単に説明するとあの肉体は来訪者(スナッチャー)が扱う為の人形の様な物だから収納カプセルで収納可能なの」


「なら収納出来るって、本来の身体の持ち主はどうしたんだよ!」


「とっくの昔に亡くなってるわよ! 意識を取り戻せば肉体所有権は来訪者(スナッチャー)の物になるから早く!」


「マスター、時間がありませんカプセルを」


 いる事すらすっかり忘れていたウザ人形のマキがいつの間にかトイの肩に立ち、スロが死体化している説明してくれたが。


 うん、そう言う事は事前に教えておいてくれ、ウザ人形。


「マスター ヤマモト、その気持ちは同感だがヤツに学習されればこの手は使えなくなる、急げ!」


 ウザ人形マキやトイだけでなくホルダーからも急かされ俺は腰のツールポーチを慌て開けガチャカプセルを取り出すがカプセルの色は白。


 ランク1の白いカプセルは1立法メートルまで入るから、畳めば収納出来るけど畳む余裕なんてなさそうなのでダメ!


 白いカプセルを放り捨て次のカプセルを取り出すが、これも白ぉぉっ!


 取り敢えず落ち着け俺。


 ポーチの内をちゃんと見て、白いカプセル以外のカプセルかどうかしっかり確認して取り出す、それだけ、それだけの作業だから落ち着け俺。


 目を閉じて深呼吸を1つ。


 改めてポーチの内を探し、赤いカプセルを手に死体の元へ行き、そしてカプセルを押し当て死体をフィギュアに変えたのだったが。


 1つの疑問が浮かぶ。


 スロであった来訪者(クソチート野郎)はどうなったのか。


 昔読んでたVRゲーム物みたいに強制ログアウトでもしたのか? ヤツはゲーム感覚だったし。


 そんな事は考えても無意味で無駄でしかない。


 答えはすぐに出たのだから

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