底辺のおっさんは、酔った
フラマンの記憶を頼りに俺達は城を駆け抜けて行く。
正門から城に入ったけど道は複雑だわ、火事場泥棒なメイドさんはいるわと録でもないな、この城。
ぶっちゃけ肉眼で上以外を見ると怖すぎて状況がほとんど把握出来てないけどな!
ホルダーから送られて来るみんなの視界情報によると。
バルコニーの近くでコンテナを守るイットゥー達は無事に敵を撃退し。
巨大ゴーレムを相手にするシロリ達はシドとジルバが囮になって巨大ゴーレムの攻撃を上空に集め、その隙にブロゥや竜帝が巨大ゴーレムをぶん投げたりして街の外へと追いやっている。
先頭で城内を走るフラマンの視界情報によると。
城の調度品を持って逃げようとするメイドさんとか。
同じ様に金品強奪して逃げようとする兵士とか。
大荷物を背負った執事とか見かけたりすれ違った様だけど無視して進み。
最後尾を走るソウセキの視界情報によると。
驚いて背負った大荷物につぶされる執事とか。
すれ違い様にシブの棒やシンの薙刀で足を払われて転ぶ兵士とか。
持ち逃げしようよとしていたデカイ壺に飛び込んで頭隠して尻隠さずなメイドさんとかがいたけれど、ものの数分でデカイ扉。
いや、離宮へと通じる門の前にたどり着いたのだが。
「居るな」
「間違いなく居るっスね」
シブとシンが得物を構え臨戦態勢で門が開くの待ち。
卯実は背中から俺を降ろす為にしゃがみ。
フラマンと竹井君は門を蹴破るタイミングを計るのだが。
あー、うん、なんだ、その、緊迫しているところすいません、天井を見てやり過ごせたと思っておりましたが、背負われてただけで地味に三半規管にダメージを受けていた様でおっさんは自力で立てません。
酔いました、本当すんません……
みんなの様子からデカイ両開きの扉の先に強敵が待ち構えているみたいだけど、待ちくたびれて出て来たりしないよね。
ってか出て来んなよ、マジで。
俺が回復するまで扉の前で待機している間に外では、巨大ゴーレムを全て街から追い出す事を終え、既に2体倒していた。
3メートル級のブロゥであっても10メートル級の巨大ゴーレムが相手では大人と子供ほどのサイズ差がある。
それでもブロゥはゴーレムの片足を掴んで竜巻が起きるぐらい高速でぶん回し街の外へと1体、また1体と放り投げ続けた結果。
最初の方のゴーレムは後続のゴーレムを投げつけられて完全に破壊され。
竜帝が体当たりで外へと運び、地面に叩き落としたゴーレムにシドが急降下し、ゴーレムの頭部をぶん殴りつつ腕の3連パイルバンカーを打ち込んで吹き飛ばし2体目を撃破。
シドの機動力を考えの事か、シロリはシドの背中から降り、バスターランチャーでゴーレムの足元や手元の地面を吹き飛ばして立ち上がる事を妨害している。
そこにゴーレムを投げ終えたブロゥも合流してシド、ブロゥ、竜帝が接近戦でゴーレムと1対1で戦い、シロリとジルバは地面を吹き飛ばしての妨害する。
ってか、闘争の魔王が持っていた大鎌の切れ味が凄いな。
ゴーレムがバターの様に切り裂かれてる。
外の方は問題なく勝てそうだし、俺の方も落ち着いたし、アンも何とか回復したみたいだし。
そろそろ扉の先で、律儀に待っててくれた『真実』の大天使とご対面するとしますか。




