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底辺のおっさんは、よじ登る

 子供と言うのは凄いモンで、異形とも言える存在にでも好奇心で近づき、そして簡単に打ち解けたりしやがる。


 帝都襲撃の件を話し終え部屋に戻る途中、コンテナが置いてある庭の方から大声が聞こえたので向かってみると。


 リール王女が四つん這いになっている見知らぬおっさんの背中の上で胸を張って救助した子供達を見下ろしていた。


 あー、うん、なんだ、リール王女殿下、おっさんは殿下が何をしているのか分かりません。


 状況が理解出来ない俺に気付いたリール王女はおっさんの背中から飛び降り、俺を名を呼びながら駆け寄り、そして。


 腹に飛びつき。


 いつも通りの結果になる。


 ええ、受け止められず倒れた挙げ句、色々と出してはいけないモンが口から出そうになったよ、こんちきしょう。


 俺の腹の上に股がりつつもしょんぼりと謝るリール王女の頭を軽く撫でてから退いてもらうと、四つん這いだったおっさんは逃げ出し、異形の子供達が俺の側に集まって来た。


 この子達が悪い訳じゃないけど、ぶっちゃけ君等怖ぇ。


 複数の触手を束ねて腕の代わりにしてる子とか、頭が2つある子とか、情けないけどまだ受け入れきれないな。


「ヤマモトみてみて、みんなリールのけらいなんだよ、すごいでしょ」


 友達でしょ、友達!


 同世代の子をすぐに家来にするんじゃありません、全くこのお子様は。


「りーるさま、これ、よわい」


「まりょくない、すぐしぬ」


「でも魔力がないからぼく達と同じかも」


 1つの身体に小さい頭が2つある子が俺を指差し俺が魔力を持たない事を指摘すると、触手を束ねた腕の子が俺は自分達の仲間ではないのかと疑問を口にし、子供達は次々に自分の考えを言い出し始めるとリール王女は何故か泣き出しそうな顔を見せ。


「ヤマモトはすっごくよわいけど、すっごくすごいんだから! しんてーこくなんてヤマモト達がばーんってやっつけちゃうもん!」


 大声で擁護してくださるのはとてもありがたいのですが、リール王女殿下、最弱のおっさんが何がどう凄いのか分かりません。


 って事より、リール王女が怒鳴った程度でほとんどの子が萎縮しているのが気に入らん。


「あー、うん、なんだ、俺は弱ぇけどこっちにはフラマンや正義の味方(ヒーロー)、魔王だっているんだから楽勝さ。


 これからはお前らが誰かに怯えて過ごす必要なんてどこにもないさ」


 泣き出しそうなリール王女の頭を撫でながら笑顔で言ってやっても俺ごときじゃ安心させる事は出来なかったが、こちらにやって来る3人の姿に異形の子供達の表情が晴れ。


 異形の子供達は食事を持って来たフラマン、竹井君、シブの3人に子供達は駆け寄って行った。




 食事と言ってもパンとリンゴとか果物があるだけなんだが。


 トイさんあーた、しれっと混ざっていますが、それは子供達のだから遠慮しなさい。


 ほら、シブに怒られてるし。


 フラマンと竹井君が子供達に果物を手渡し、シブに正座させられ怒られたトイはそのまま手伝わされてパンを配って回る羽目になった。


 こう言うのは下井がする仕事だと思っていた俺は、トイ達が食事を子供達に配り終えるのを見計らってからシブに尋ねると。


 シブによると下井はヨウと共に卯実の武具を作るのだとかで3人は鍛治場にいて、下井の助手であるシホはサンと一緒に飯の支度。


 イットゥー、ソウセキ、シド、シロリは見廻りに出て、シンとシゴは負けたのが余程悔しかったのか訓練中。


 カドゥは街に布教活動しに出かけているらしいが、何の布教をしているのかは聞きたくないし、知りたくない。


 んで、竹井君とフラマンは子供達に囲まれながら楽しそうに食事中。

 

 取り敢えず、問題がありそうなのはブロゥだけなので、シブに補助してもらい俺はコンテナの上へとよじ登るのだった。

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