底辺のおっさんは、肯定してもらった
ざっくりとした方針は決まり、行動に移したいところではあるのだが。
ブロゥのヤツがぶっ倒れたままで全然起きやがらない。
デカイ、重いと邪魔意外のナニモンでもないので目覚めて欲しいところだが、怖くもある。
ブロゥは少し前から変なところが合った点や今回の点。
目覚めたのが俺達が知る、脳筋でアホな鶏頭ではなく、災厄の魔王だったとしたら。
俺達は戦えるのだろうか。
模擬戦で身体能力は把握しているから変身した竹井君なら1人でも勝つ事が出来るだろうし、元々が改造フィギュアを顕現させた身体なので収納カプセルでフィギュア化出来るが、その後の事を考えたくはない。
とは言うものの、いつまでもこんな場所にいる訳には行かないし食料も残り少ない。
仕方がない。
怖ぇけど俺達はコンテナの上に乗って行くか……
回復魔法が使えるヨウ、カドゥと救助者の身内であるフラマンはコンテナの中にいるが、飛行手段のない俺を始めとしたほとんどの面々はコンテナの上に乗って移動するのだが、ソウセキが魔法で保護してくれなかったら俺だけ良くて凍傷、最悪なら転落死してかも知れないな。
トイさんは竜帝の頭の上に乗って大物感を出して遊んでだけど。
5日で怪我も完治した竜帝にコンテナを運んでもらい、カルフールの街に到着した俺達は城館に戻り、現在は留守番をしていたシャルローネ王女達と救助者達の扱いについて相談中。
シャルローネ王女や出オチには実際に救助した人達に会ってもらっているが、その反応は戸惑いと怯えが見え隠れしていた。
嫌悪感や忌避感を表に出さなかったのは、俺達や救助者達に対する配慮した結果かも知れないが、拒絶しなかっただけマシかも知れない。
「実際のところ、奴等を平民どもが受け入れるとは考えられませぬ」
「まあ、脇腹から腕が生えてるガキや顔に目玉が4つもあるガキなんざ気味が悪くて寄り付きゃしねぇわな」
一般人寄りの出オチとあべしの答えは、予想通り受け入れられないだったが、彼等を産み出したのはお前等のいた帝国だって事を忘れてないか?
「一部の者は仮面や衣服で当面は誤魔化せますが……」
「やっぱり実績もない以上は厄介者って思われちまうか」
シャルローネ王女は言い淀むが、俺がマシな言葉を継ぐと誰かがため息を吐いた。
シブ達ホワイトゴブリンは恐れもあるだろうが、街を解放した事や炊き出し等で実績を積んでいるが、彼等は何の実績もなく今は信用を得る機会すらない。
仕方のない事とは言え、ため息も漏れる。
「彼等には当面は服とかで誤魔化しつつ、外出を控えて貰うとして、この5日で帝国側に何か動きはあったの?」
「不気味なほどに何もないとの知らせは受けていますが、こちらはどう動くおつもりですかヤマモト殿」
「少し休んでから帝都を襲撃する。
連合とか戦争とか関係なく、俺達がスロや魔王級とかが気に入らないってバカげた理由でね」
シャルローネ王女の質問に答えると出オチ、あべし、ともども彼女は笑いだしたが、その笑いに嫌な感じはしない。
「元来、戦争の理由なんて富や名誉等と多かれ少なかれバカげた物。
ヤマモト殿達の様に誰かが苦しむ姿を見たくないからと言うバカげた理由の方が私は好ましく存じ上げます。
至らぬと言えと後は我々に任せ、へのへの一家の皆様の思うがままに」
シャルローネ王女は俺を肯定し、微笑んだ。




