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底辺のおっさんは、吊り上げられた

 雑な指示だがソウセキが即座に魔法で作り出した暴風の檻は小石や土埃を巻き上げ、じいさんを閉じ込るのだが。


 じいさんは意にも介さずに杖で1度地面を突いてから振るい、ソウセキの魔法を打ち消して見せる。


 あの悪臭の内で表情1つ変えずに魔法を使ったって、嗅覚がないのかあのじいさん。


 それともあの杖の効果か?


「ふむ、あの個体が要か」


 俺が臭気攻撃をあっさり打ち破ったじいさんに驚き戸惑い動けずにいると、じいさんが俺へと顔を向けて目が合い、俺は瞬時に理解する。


 ヤバい。


 赤いガラス玉の様な感情の無い目。


 感情の無い死んだ目を見た事は日本で何度かあるが、それとは別の異質な目。


 異常で異質でイカれた目だ。


 怖気から1歩、ほんの1歩だけ後退ってしまった俺の目の前に、音もなく現れたじいさんの無表情な笑顔がある。


 俺は身動ぎする間もなく、一瞬でじいさんに喉を掴まれ吊り上げられ、声も出せず訳も分からず、呼吸を阻害するじいさんの腕を叩き、じいさんの腹や胸を蹴るがびくともしない。


「こんっの!」


「ぶっ殺してやるっス!」


「主!」


「山本さん!」


 ホルダーから送られる複数の視界情報からじいさんの背後から卯実が飛びかかり、全身を使った回し蹴りをじいさんのこめかみに放つ。


 卯実の蹴りをじいさんは俺の首を掴んだまましゃがんで避けたので、俺は地面に叩きつけられ一瞬意識が飛ぶ。


 その一瞬の間にシブとシンが得物を突き出すがじいさんは逆立ちの要領で2人の攻撃を避け、竹井君の追撃の前蹴りをじいさんは自ら倒れる事で避けるも流石に俺を掴んだままと言う訳には行かなかったのか、じいさんはブリッジに近い態勢から勢いよく飛び込み前転の要領で追撃を避けつつ距離をとった。


 

 詰まった息を咳き込み吐きだすが、喉が滅茶苦茶いてぇ。


 ソウセキとブロゥが不意打ち気味に、飛び込みパンチの追撃をしてくれなかったらじいさんに喉を握り潰されて死んでたかも。


 ヤバ過ぎるだろあのジジイ。


 兎に角、非戦闘員のトイや下井は避難させないと。


 俺はそんな事を考え、喉と背中の痛みに耐えながら立ち上がろうともがくと。


「マスター ヤマモト、トイ様やミス シモイはコンテナに避難済みだ、君も早く避難したまえ」


 さいですか……


 まあ、安全ならそれに越した事はないし、俺も避難せんって!


 無数の石つぶてが俺へと迫り、シゴの作り出した光の障壁が防いだが滅茶苦茶ビビったよ、こんちきしょうめ!


 俺がビビっている間にシブとシンが俺を飛び越し、シンはスキルでじいさんへと突撃し、シブは棒を伸ばして打ちかかる。


 じいさんは横っ飛びで逃げたが、空に上がっていたシドのキャノンとシロリのバスターランチャーに狙い射たれ、魔法で光の障壁を作って身を守るのだが。


 卯実と竹井君が回り込み左右からの『流星脚』でじいさんに迫る。


 半ば倒れているじいさんは転がって卯実と竹井君の『流星脚』を避け、イットゥーが追撃に放った矢を更に転がり避け続けるが。


「喰らうのであります!」


 いつの間にか変身し空に上がっていたアンの飛び降りキックをじいさんは前転で避けるのだが、直撃こそ免れたが小さなクレーターを作るほどの威力からは逃れ切れず、衝撃で撥飛ばされて地面を転がるも態勢を立て直そうとして膝立ちになり、そして。


 息を潜め、気配を消し、チャンスを待っていたフラマンが背後からじいさんの首をナイフで切り裂き。


「死ね」


 たった一言だけ言い捨てた。

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