底辺のおっさんは、核の場所が分からない
ドラゴンゾンビに有効なヨウとシドの合体攻撃は打ち止め。
ドラゴンゾンビを蜂の巣にしたのは良いが、地上にいたみんなはガトリングレールガンから逃れる為にドラゴンゾンビから更に遠ざかっているので手が出せない。
ガトリングガンの残弾数の関係からか、1度目ほどダメージを与えた様にも見えない。
通常の電磁加速砲は砲弾を殴ると言う打ち出し方の為、足場が不安定な状態では威力が発揮されない。
可能性だけなら竹井君が乗るガードランの突撃だが、ドラゴンゾンビが飛ぶ前に間に合うかどうかは不明。
「間に合わせればイイの、よ!」
卯実からそんな念話が届くと、デカイ石がドラゴンゾンビの剥き出しの頭蓋骨に突き刺さり。
シブとシンが卯実に続きドラゴンゾンビの頭部に石と言うか小さめの岩をぶっ飛ばしてドラゴンゾンビの動きを邪魔する。
「マスター ヤマモト、このドラゴンゾンビは自我のない人形の類いだと思われ、おそらく先ほどの紫色の塊が核の1つだと予想される」
んな事言われても核がどこにあるか分からない以上はどうにもならねぇ。
「マスター ヤマモト、我々もっと厄介な吸収能力を有する相手に勝利している。
自我のない人形なぞものの数ではないはずだが?」
「ヨウの水素爆発は効かなかったろが」
「水素や酸素を魔力で生成していた為、威力の減退と熱エネルギーを吸収されと事が原因と思われるが、電磁加速砲は有効だよ、マスター ヤマモト」
「ヨウは電磁加速砲の準備。
シドはナイフを電磁加速砲の弾丸代わりに全力でぶん投げて、狙う場所は任せる。
竹井君は核が剥き出しになったらそれを破壊。
他はサポートにまわって。
手があるならすぐに教えてよホルダー!」
ホルダーが言わんとする事に気づいた俺はすぐに指示をだし、アンの視界情報を確認する。
大天使の空飛ぶ虎野郎は竜帝と文字通りにぶつかり合ってじゃれているから今の所は問題ない。
ブロゥの目からのビームやアンの砲撃を翼で防いでいて羽根を飛ばす余裕もないみたいだが。
どうやって虎野郎を地上に引き摺り降ろすか考えんと。
地上でドラゴンゾンビと戦うみんなの方を確認すると、卯実はそれなりに離れた位置から石を投げ、シブとシンも卯実とは逆の位置で千本ノックかと言うぐらい石をドラゴンゾンビに向けて打ち出している。
シゴは卯実の側でドラゴンゾンビの反撃に備えて待機中。
シドの位置取りが決まらない為かヨウとシドはドラゴンゾンビの頭上を旋回中。
竹井君はガードランと共に準備完了で出番待ち。
アンデッドに強い神官のカドゥは何故か俺を守るつもりかこっちにいて、実力面ではやや劣るサンもトイや下井の側で護衛をしていてこっちにいる。
イットゥー、ソウセキ、フラマンの斥候組はどこにいるんだ?
木とかがほとんどなく下への見通しが良いので、ドラゴンゾンビの元に向かっていないのは一目で分かる。
ドラゴンゾンビの周囲にも見当たらないので複数の視界情報からイットゥーの視界を共有してみると、3人とも岩影からドラゴンゾンビを伺っているみたいだが、何をしてんだあいつ等。
「イットゥー達はどうやら地上から狙撃ポイントにいる様だな」
フラマンは兎も角、魔法主体のソウセキはどうするつもりなんだ?
「殿、先ほどの大魔術をイットゥー殿の弓で行えないかとソウセキ殿に協力していただいております」
ソウセキにどうして貰うか考え始めた途端、フラマンが説明してくれたけど電磁加速砲の銃身を作れるのか?
「魔力吸収範囲外から追い風による矢の加速を行う様だな」
地味だけどイットゥーは弓の腕は確かだから保険にはなる。
「なら3人は電磁加速砲、竹井君の突撃、そのどちらかが失敗した時のフォローを頼んだよ」
そうイットゥー達に頼むとシドから位置についたとの報告があり、俺は作戦開始を告げた。




