底辺のおっさんは、間違える
闘争の魔王のヤバさを考えると絶対に1対1で戦うべきじゃない。
元魔王だったブロゥなら何か知っていると思うが、自由人な脳筋だしあいつ。
下手に話を聞けば闘争の魔王の元に1人で突撃しかねないアホだから……
他の魔王達も病や破滅とかヤバそうだし、大天使も成れの果てみたいパワーアップとかされると被害が拡大して厄介だし、何よりヤツ等は強い。
化け物亀や成れの果てとの戦いは総力戦に近かったし、ブロゥのヤツが倒したと言う『悪意』の魔王の実力も不明。
複数の魔王級と戦って勝てる保証はない。
こちらの戦力で魔王級と1対1で相手を出来そうなのは変身した竹井君と悪意の魔王を倒したと言うブロゥの2人。
「マスター ヤマモト、堂々巡りのそれを考えるだけ無駄だ。
スロは大陸の支配を諦めない
我々はスロの非道を許せない
平行線である以上、戦うしかしない」
「どこでどう戦うかを考えろって事か」
「そちらの方が建設的だ、マスター ヤマモト」
とは言うものの、相手が分からん以上は作戦なんて立て様がないし、どうしたもんか。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからずと言うのだろう? 敵を『視て知る』事が出来ないのであれば、己を知れば良いのではないか?」
「己ねぇ」
己と言われても俺は魔力ゼロの最弱なおっさんだから戦力外だし、解除だか覚醒したトイは強いらしいけど魔力チャージが必要で、無理矢理チャージすると俺が死ぬ……
戦力外の俺達は兎も角、こちらに航空戦力がある事は利点だけど基本的に広範囲に対する攻撃中心だから使い所が限られる。
近接戦闘部隊は竹井君を筆頭に個々が
過剰戦力と言えるレベルだけど、それは魔王級の敵も同じ。
こちらだけの利点なんてあるのか?
まずはカレー
いや、そうではなくて……
気を取り直して。
まずは航空戦力
現状は航空戦力による空からの攻撃で真帝国の進軍を止めているから、魔王級をあぶり出すには最適かも知れない。
次に分かり易いのは、ホルダー達バッグベアード種とアイバットによるネットワーク
念話による通信や『視て知る』力はこちらの利点である事は間違いないな。
後は、なんだ?
カレーか?
いや、だから違うって!
「マスター ヤマモト、君の顕現能力を忘れている。
他にも君の発想力、ミス シモイの加工技術、ドラゴンによる輸送能力並びに移動力等がある。
それらを踏まえて考えれば答えは見えて来るはずだ、マスター ヤマモト」
俺の発想力って買い被りもいいとこだ、何せ思い付いたプランは決戦と相手の本拠地を襲撃する事ぐらいだし。
ホルダーには何か作戦があるみたいだけど教えてくれないしどうしろってんだよ。
「我々のアドバンテージを良く考えてみれば私なりの回答に君なら気付くはずだ」
気付くはずだって言われても考えが煮詰まってなんも出ねえよ。
「マスター ヤマモト『煮詰まって』いるは誤用だ。
答えが出ないのであれば『行き詰まる』であり、おそらく答えに迷う『煮え切らない』と混同された結果、真逆の意味である『煮詰まる』と誤用されていると思われる」
「だから勝手に人の考えを読むな無機物!」
毎度毎度、勝手に人考えを読みやがってあの無機物って、ちょっと待てよ。
「気付いた様だなマスター ヤマモト」
「なるほど、俺の顕現能力ね。
上手く扱えば圧倒的なアドバンテージになるな。
ホルダーの作戦は奇襲を仕掛けるって事か」
「残念ながら半分正解だ、マスター ヤマモト」
したらば残りの半分はなんなんでしょうか、ホルダー先生。




