底辺のおっさんは、信じられない映像を見る
変身ヒーローからまさかの目潰しを受けた人達が回復するまで、ショーは一旦中断しているけど。
あー、うん、なんだ、そのな、念話のネットワークを使って罵り合いをするのはどうかと思いますです、はい。
シロリの砲撃はヨンタやホルダーによる投影で済ませる予定だったのだが撃たれ。
イットゥーの放った矢もブロゥの足元に刺さる予定だったのにブロゥの顔面、喉、心臓へと向かって来たり。
そもそもシブの攻撃は予定外だったらしく、本来の流れではシンがブロゥを攻撃しシブがブロゥが落としたリール王女を空中でキャッチし、シゴの障壁に着地する予定だったらしい。
だが予定とは異なり、不意打ちで後頭部を撃たれ、急所目掛けて矢が飛んで来て、地面に転げ落ちた所をトドメと言わんばかりの突きが繰り出されればそりゃ怒って当然だ。
シブ達も身体強化を使ってないから殺す気はないんだろうけど……
「黙れ! 身勝手な振る舞いで主に迷惑を掛けおった貴様には当然の罰!」
「そうですよ! ブロゥさんはいつも連絡を寄越さないし」
「ポれとポれは別の話ポゥ!」
ホルダー先生、この会話を俺が聞く必要はあるのでしょうか。
目が眩んだ人達の視力が回復したと確認したのでショーが再開されるみたいだけど。
卯実さんや、さっきの目潰しはアンが変身た時の閃光であってブロゥに責任を押し付けるのはどうかと思いますです、はい。
閃光は卑劣な悪魔将軍の目潰しと言う事になり、ライガーに変身したアン、シブ達とブロゥによる戦闘シーンへと突入するのだが。
遠距離からシロリの砲撃とイットゥーの矢が飛び、中距離ではシブとシンの突きが繰り出され、シゴの障壁が行く手を阻み、アンは普通に当てて来ていて、流石のブロゥもじっと防御するだけで、どちらが悪役なのか分からん……
ブロゥは反撃の機会もなく、シブの連続突きを鳩尾辺りに受けて倒れたんだけど。
「仮面ライガー! トドメを!」
シブさんアンタ、鬼ですかって小鬼だったね……
「ライガァァァ 神鳴りキィィィィィイック!!!」
立ち上がろうとするブロゥにアンのヤツはマジで飛び蹴りを叩き込みやがった。
ブロゥはアンの蹴りで撥ね飛ばされ石畳の上を20メートルくらい転がって行った。
「クックック、悪魔将軍なぞ代わりはいくらでもいる。
いい気なるなよ仮面ライガー」
突如、スタイルの良いオネーさんを侍らした半裸の小僧が空中に映し出され、負け惜しみを嗤いながら言い捨ててるが、この小僧がスロか?
「貴様は真帝国皇帝…… 皇帝…… えっと、なんて名前でありましたっけ?」
あー、うん、なんだ、本当にへっぽこですね、アンさん。
まあ、俺もスロの名前をちゃんとは覚えて無いけどな!
「あ! スロッカスであります!」
アンさんや、スロッカスは朝1からパチンコ屋に入り浸ってパチスロをやる人の蔑称です…… 本当に締まらん娘だよアンタは!
「ポ、ポう帝陛下、何卒お許しポ……」
「敗者なぞ不要だ、消えろ」
空中の映像からバカデカイ火の玉が打ち出され倒れたままのブロゥに迫るのだが、シゴがブロゥの前に立ち光の障壁を展開して火の玉を防いで見せる。
「スロッカス!負けたとは言えど悪魔将軍は貴様の配下! この仕打ちは許せないのであります! この仮面ライガーが貴様を必ず倒すのであります!」
アンが空中の映像を指差し宣言するのだが、スロの映像は嗤う。
「仮面ライガー、カレーファイブ、貴様等がいくら強くとも所詮は多勢に無勢。
我が真帝国の勝利は揺るが無いのだ!
見よ! 貴様の仲間もこの通りだ!」
スロの映像が仰々しく両手を広げると、傷だらけの竹井君が大剣を持つ1人の騎士と対峙してる映像が空中に映し出された。
えっと、これもショーの一環なんだよな。
「マスター ヤマモト、この映像は今現在のミスター タケイの状況だ」
んなアホな……




