底辺のおっさんは、ツッコミが追いつかない
本日も昨日と同様に炊き出しを開始したのですが。
なしてこんなにおるとねん。
昨日の妨害とかで参加人数は減っていると思っていたけど、倍以上の人がいるのは何故ざましょ。
ぶっちゃけ、人手が足りなくて捌き切れません。
後ろの方で順番待ちをしている人達が、なんか叫んでいるが良く聞き取れないし、炊き出しのカレーを受け取りに来た婆様はなんか泣いてるし、訳が分からん。
「シャルローネ陛下万歳! 連合軍万歳!」
人混みからシャルローネ王女や連合軍を称える叫びが聞こえたけど、なんじゃい、いきなり。
「真帝国の戦奴から解放されたカルフール出身者により、連合軍の話が伝播した結果だマスター ヤマモト」
ホルダーが念話で理由を教えてくれたのだけど……
「カレーなる神ヤマモト万歳」
とか
「へのへの一家万歳!」
とか止めろこんちきしょう!
だいたいカレーなる神ってなんだよ!
後そこ! 炊き出しのカレーは1人1回! 横入りで再び並ぶんじゃねえ!
それとカドゥは木皿の回収ついでにカレー教の布教をすんな!
「あーもーま゛ーーー!!!」
おっさんはもう限界ですよ、こんちきしょう……
途中から宗教的な集会みたくなってしまったが、シャルローネ王女が「これ以上の騒ぎを起こすならば炊き出しは中止とする」と一喝して騒ぎを収めてくれたので炊き出しそのものは成功し、俺達は城館に帰って来たけど……
そこのばあちゃん、デカイ鎌なんて持ち出して何に使うんだよ、無茶すんな!
そこのおっちゃんは長細いパンでどうするつもりだよ!
ってか、そこのあんた達は国に帰って来たばかりだろが!
滅茶苦茶過ぎてもう、ツッコミが追いつかねえよ!
炊き出し開始前にシャルローネ王女が治安部隊と言う名の見回り組を編成するので、参加希望者は城館に集まる様にと言ってたんだけど……
ぶっちゃけ10人も集まれば御の字とだと俺は思ってたのに、なして老若男女問わずにこんなに集まってるのさ! 炊き出しに集まった人数と同じくらいいるんですけど……
募集したのは治安部隊と言う名の見回り組なのに、何故か義勇軍になってるし。
何よりもカレーなる義勇軍ってなんじゃい! 誰だよ訳の分からん名前をつけたのは。
「モッさん、考え過ぎるとハゲるで」
下井さん、おっさんはもうハゲてますって、違うよ!
「じゃなくて、なしてこんなにいるんだよ!」
「なしてもなにも、カレーやし。
モッさんも散々みてきたやろ、カレーに狂う連中」
「そーだけど、今にも死にそうなジジババまでいるんですけど」
本当に大丈夫なのか、あのカレーって。
俺が死んだら残ったカレーで暴動とか起きそうだ……
ん、ちょっと待て。
このカルフールの街は交通の要所で、真帝国領土の様々な品物が集まる訳だから。
「なあ下井さんや、1つ聞くけどこの街に集まる食料品の目録とかあるか?」
「それ、モッさんの管轄やんけウチは知らんがな」
館にある食料品は下井が把握しているはずだけど、街に集まる品となると分からんって事か。
現地産カレーが作れるか調べる価値はありそうだな。




