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底辺のおっさんは、炊き出しを行いました

 炊き出しを開始したのだが、何事も邪魔をするヤツ等は何処にでもいる訳で。


 下井が現地の素材で作ったスープを試食で食ったけど具沢山で旨かったのだが、下井が人間ではない事を差別し他者の不安を煽る様に騒ぐヤツ等が炊き出しの邪魔をし始めだけど。


 バカなのか、あいつ等。


 妨害するバカ連中の言う様に、このスープが毒で皆殺しにするつもりなら炊き出しなんて手間を掛ける必要はないしってか、リール王女が現地の子供達とスープを普通に飲んでるのに、毒とか何を言っているのやら。


 とは言え、このバカどもは邪魔なのでホルダー先生とお話して貰うか。


「マスター ヤマモト、この愚か者達は真帝国出身の商人であり、カルフールを連合が支配下に置いている事で不都合があるとの事だ」


「ふーん、ついでに『ホルダーの刑』とかであれか」


 アイバットのフューラちゃんによって上空から『視て知る』力で監視中のホルダーからの報告受け、静かになったバカ連中を一瞥してか、俺は作業に戻る。


 目を見開き口を半開きにして突っ立ているバカどもは、周りから白い目で見られてるからモノクソどうでもよいとして。


「マスター ヤマモト、どうでも良くはないぞ。


 この愚か者達が周囲から白い目で見られているのは真帝国出身者と言う事を嵩に着た悪徳商人と言うヤツだ。


 不平等取引なぞ日常茶飯事の商人とは名ばかりの賊だ」


 よし、牢屋にぶち込もう。


 この街の出身者で治安部隊を編成しないと安心とは程遠いな、こりゃ。


 何にせよ、当面は日に1度の炊き出しを行う事を告知して参加者を増やすとして、今日の補給物資の確認もせんとな。



 炊き出しを終え、竜帝(ドラグカエサル)と共に補給を頼みに行っている竹井君達がそろそろ戻る頃かと合流地点である街の外へと俺達は向かっているが、バカ連中に差別を受けた下井やシブ達の様子はいつも通りで逆にこっちが心配になるんだが。


「如何なされましたか主」


「え、あ、うん、さっきの事を気にしてるのかなって思ってな」


 俺の様子が変だと思ったのか、逆にシブに心配される始末で。


「何、某達は人間でない事は事実ですが、その様な些末事を気にはしておりませぬよ、主」


「っても下井は元々人間だったしさ」


「あの(むすめ)が優先順位を(たが)える事はありますまい。


 下井嬢の事は何事かあれば申し上げます故、このシブにお任せくだされ」


「確かに俺よかシブの方が適任かも知れないな、任せたよシブ」


 なにせ下井のおじ様だしな、シブは。


 俺達が合流地点に到着するとホルダーから竹井君達がもうすぐ到着すると連絡を受け、南の方を探すと、どんどんとこちらに向かって大きくなる竜帝(ドラグカエサル)の姿が見えた。



 まず届いたのは補給物資ではなく、カルフール出身の人達が40人ほどで、彼等を降ろし、挨拶もそこそこに竜帝(ドラグカエサル)と竹井君は食料品を受け取りに再び飛び立った。


 シン、シゴの2人が警護に付きシャルローネ王女が先導しながらカルフール出身の人達を街まで連れて行く事にし、急な補給要請だった初回とは違って2回目以降なら、向こうもある程度の準備も出来ているだろうからそれほど時間も掛からないはずなので、残る面々はこの場で待機だ。


 シブは下井と話をしているし、リール王女はアンとナミラさんと一緒にいて、シホは現地での物資受け入れ準備で来ていない。


 つまり今現在の俺は、なんもない場所でボッチ。


 アイバットのミィちゃんが肩にいるからホルダーと話は出来るけど、目玉の親分は監視衛星よろしく上空からカルフールの街を『視て』いるので邪魔をするのも悪いかと思っていのだが。


「マスター ヤマモト、西方面を偵察中のシドとシロリと北方面のジルバとミス ニノミヤが真帝国軍を発見したが、殲滅するか?」


「ブロゥが偵察中の東側は?」


「あの脳筋が連絡すると思うかねマスター ヤマモト」


「1人でボコボコにしてそうだな、ブロゥの場合。


 北と西は嫌がらせ程度に襲撃して時間稼ぎに留めよう」


「殲滅可能だが?」


 ホルダー、殲滅と言う名の皆殺しだろそれ。


 味方はもちろん、敵だって死人は少ない方がイイ。


「マスター ヤマモト、北方面は手遅れだ、ミス ニノミヤがたった今、飛び降りた」


 何をやってんだ、あの娘は!


「ジルバの視界を共有するが、まるで人がゴミのようだ」


 ホルダーから銀竜ジルバの視界情報が送られて来たけど、うん。


 まるで人がゴミのようだ。


 身体強化した卯実は柔らかく着地するなり、地を這うほど低い姿勢で真帝国兵達の足元を駆け抜ける。


 卯実が駆け抜けた場所に衝撃波でも発生したのか真帝国兵が吹き飛び、卯実がショートジャンプと共に繰り出した回し蹴りを空振る。


 空振り


 だが殺すつもりがない以上、それが正解。


 身体強化した卯実の蹴りをまともに受けて無事なヤツなんぞ、そうそう居ないだろう。


 現に卯実の周囲にいた兵士がゴミの様に吹き飛び誰も居ない。


 上空から見ると、さっきの一瞬で真帝国軍の3分の1くらい吹き飛び、残るは重装歩兵や騎兵、そして弓兵がいる。


 吹き飛ばした連中の大半は戦奴って事だな。


「まだやる?」


 卯実さんや、それって挑発にしかならないんだけど。


 俺がそんな感想を思い浮かべるなり、真帝国軍は重装歩兵が大盾を構えて防御陣形を整え、そして卯実に向けて矢の雨が降って来た。


 うん、知ってた。


 矢が届く前に甲冑と大盾で防御を堅めた重装歩兵を卯実が吹き飛すって。


 卯実はまっすぐに進み、正面にいる重装歩兵の大盾に回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばしたが、生きてるのかあの兵士。


 後ろにいた騎兵にぶつかったのに騎兵が馬ごと飛んでるし。


 卯実の動きに全くついて行かれない重装歩兵達は卯実にぬいぐるみの様に振り回され、騎兵や弓兵に投げつけられ、騎兵は驚いた馬を宥め様としているが、砲弾の様に飛んで来る重装歩兵を前に全く効果がない。


 圧倒的な卯実を恐れて逃げ様とするヤツも出始めて北方面の真帝国軍は壊滅だが、こいつ等は先遣隊の類いだろう。


 勝手に逃げて本隊に情報を伝えて貰える分には問題ないが、戦奴が本隊に合流されるのは不味い。


「卯実、襲って来るヤツは無視して逃げるのを指揮してるヤツを取っ捕まえて!」


「了解っ!」


 卯実を囲む重装歩兵を飛び越え、卯実は声を張り上げて目立っている兵士に襲いかかった。

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