底辺のおっさんは、カレーに疑問を覚える
真帝国の砦を立て続けに制圧し、10日ほどで真帝国を各国の国境付近まで追い返す事に成功し、ベルギア王国王女シャルローネ王女を旗頭にした対真帝国連合を結成する事となったけど
この世界の住人に対して日本製のカレーには麻薬成分となる物でも入っているのだろうか?
俺達が拠点としている丘の上に各国の代表者達が集まり、話し合いそっちのけでカレーを貪り続ける様を見ればそう思ってしまうのも無理はないはず。
本当に大丈夫なのだろか、このカレー。
連合を組むと言っても、真帝国打倒の暁にはシャルローネ王女が帝国の再興する事を各国に認めさせる必要がある。
この集まりはその根回しの一環と言う事もあるから手を貸しているだけのはずなのに。
「マスター ヤマモト、君達のいた世界では美食外交と呼ばれる外交手段だが、何か問題でも」
「美食って…… カレーは大衆食と言うか庶民食と言うか御大層な食いもんじゃないんだけどな」
「それは記憶違いだマスター ヤマモト。
カレーライスは君達のいた世界の大国で王室御用達となり世界中に伝来され、地域による変化がなされ、多くの者が食す君達の世界の代表料理とも言えよう」
「モッさんあんま深く考えん方がええって」
うん、下井の言うように考えたら負けたな。
このところカレーや米の消費量が顕現凍結解除まで持つか心配になるぐらいに食われてるけど気にしたら負けだ、うん。
用意しておいた分のカレーが食い尽くされ、やっとこ会議になると思ったが、何処にでもゲスなバカ野郎はいるもので。
この土地はもらうやら
戦利品の配分はどうするのだやら
特に何をする訳でもなく、これは当然の権利だと自分の要求だけは一人前のバカ野郎どもが沸き、バカ野郎どもの矛先は当たり前の様に異物である俺達にも向くが。
うん、やり過ぎだから。
卯実さん、触られかけたからと言って相手の腕を捻りに捻って、ぬいぐるみの様に何度も地面に叩きつけた挙げ句、腰を踏みつけ頭を鷲掴みして上半身を反らせるのはどうかと思う。
シブ君、自重で折れちゃうから警護の騎士さんの頭を鷲掴みして逆さまに持って掲げたらダメでしょ。
ブロゥ君、一応は偉いお貴族様なんだから3人も使ってジャグリングをしないの。
シン君、いくら相手が剣を抜こうとしたからって、相手の腕を握り潰した挙げ句に剣を奪って昭和の悪役プロレスラーみたいな事をしないの、剣を咥えて両端を持って曲げるって、虎でジェットなシンじゃあるまいし。
全く、毎度毎度なぜやり過ぎるんだよ君らは




