底辺のおっさんは、名前を決めた
出オチとあべしの2人は今の内に次期ベルギア王となるリール王女の下に着いて地位固めってのが目的か。
まあ、リール王女は友達が出来た程度の感覚みたいだけどな。
「それで相棒、みんなで来ちゃったけどシャルやリールちゃんを守ればイイの」
後片付けをナミラさんに任せたのか卯実が俺の隣に座り、作戦について質問して来たけど、実際の所は俺に聞かれても困る。
作戦を立てたのはフラマンと下井だし。
とは言え、基本的に空爆で方を着けるみたいだから飛び道具のない面々は出番がない。
大天使並みの化け物でも出て来たら話は別だが、攻撃手段がない以上は間違ってないと思うので、卯実の言う通りかも知れないな。
「でもさ相棒、砦を壊す必要ってある? 追っ払うのが目的なら動けなくすれば良くない。フラマンの薬とかで」
卯実の言い分は確かにごもっとも。
脳筋じゃあるまいし、砦を壊す必要はないし占拠した方が使い道もあるよな、確かに。
ふと下井を見ると、顔を背けやがったから気付いてなかったな、あいつ。
「生憎とそれほどの量がある訳でありませぬし、室内に籠られておれば効果も期待出来ませぬ。奥方様」
あー、うん、なんだ、フラマンさん、卯実が折角ツッコミモード中だったのに、変な事を言うから照れてグネグネモードになっちゃったよ。
「だけど、被害を抑える事は出来そうじゃないか。例えば出て来た所を狙って薬を撒くとか、飲み水に入れるとか」
「真帝国に打撃を与える為には、やはり砦を破壊すべきかと」
「事後処理をしないで片付けるとなると、ぶっ飛ばした方が確かに楽だが、極力被害者は出したくないし」
「ほんなら、最初に攻める砦で試したらどないなん」
「初撃で兵を集めて一網打尽にするって感じか」
「せやな、そない感じやね。ダメ元やし」
しばらく話し合った結果、卯実のプランをプランAとし、失敗したら砦を壊すプランBに移行すると決め、拠点の周囲をもう一度確認して今日の所は終了。
まあ、晩飯がカレーじゃなかったので一部喧しい連中がいたのだが。
新入りの古代ゴブリンさんや、カレー讃歌とか作らないの。
カレーは神々の飯違うし、祝福もされてないから、大衆食だからねカレーは。
なんだよ『天へと誘う大鳥』って、チキンカレーの肉だとしても鶏の肉だぞ。
何の肉か不明とは言え、カツ丼のどこに不満があるんだよ、全く。
って、ラノベかなんかで、吟遊詩人の事をバードって言ってたよーな。
バードは鳥。
古代ゴブリンの名前は某デパートから。
某デパートのマークはサンなバードだから。
サンなバード
バードは吟遊詩人。
新入りの古代ゴブリンは楽器や音楽がちょっと出来るから……
あ、名前決まった。
モノクソ手抜きだが、由来も誤魔化せるし、某デパート繋がりにもなるからコレにするか、ヤツの名前。
そんなこんなで翌朝、朝飯を済ませて竜帝の角に命綱を縛りつけたりと作戦開始の準備をする新入りの古代に決めた名前は『サン』だと教えてやるのだった。




