底辺のおっさんは、許可をもらった。
取り敢えずガチャの話は置いといて、この館のリフォーム計画を詰めるとするか。
俺の考えではフィギュア化した木材を組み合わせて城を建てようと思うのだが、この館には魔法的な何かがあるのかとか事前調査をする必要があるかも知れない。
では今出来る事は何か。
下井に連絡をして、砦に残してある物資を持って来て貰う事。
同様に王様から館の事を聞き、魔法的な仕掛けの有無やリフォームの許可を取る事。
ヨウとホルダーに協力して貰い館の事前調査をする事。
シャルローネ王女に事前調査をする許可を取る事。
このベルギア王国首都である王都に魔法的な仕掛けの有無を調査する許可を取る事。
ヤバい、何をするにも許可を取る必要がある気がして来た。
調査する許可だけならシャルローネ王女から貰う事が出来そうだが、リフォームや建て替えなどとなると流石に王様の許可や関係各署と打ち合わせする必要が出る気がする。
館だけど城みたいなもんだし、お役所同様に大臣とかいるよな、普通は。
それより何より、シャルローネ王女達にこの館の修繕はどうするか聞かない事には全部無駄になるから。
「ヤマモト殿、我がベルギア王国は全て貴殿にお任せいたします。
我が身のみならず、父、弟、妹、叔父を救い、真帝国から祖国ベルギアを解放してくださったヤマモト殿達『へのへの一家』の皆様を信じております」
シャルローネ王女が席を離れて、そう告げながら俺の前に片膝を着き頭を下げてみせた。
俺の考えが筒抜けだったのはヤツの仕業と分かるのだが、王族、それも女王となり女皇帝の座に着く彼女が頭を下げると言う事はバカな俺でも1大事だと理解出来る。
シャルローネ王女の行動でホルダーにイジメられて泣いていたリール王女やナミラさんは呆気に取られてポカンと口を開けているし、子供達も良く理解出来無いながらも慌てている。
「マスター ヤマモト、我々は皇帝すら従えた様だ。なんなら世界征服でもしてみるか」
ホルダーからくつくつと笑う感情が言葉とともに流れて来るが、冗談にしても趣味が悪い。
「しねーよ! 面倒臭い。俺には家族だけで手一杯だ、国だ世界だなんざ面倒見切れんわ!」
ホルダーの念話についついツッコミを入れるなり、ブホッと吹き出し噎せるへっぽこがいた。
「ゲホッゲホッウェッ、ブッゲホ」
更に嘔吐き、吹き出し、噎せるのエンドレスなアンに我に返ったナミラさんが駆け寄り、竹井君とともに背中をさすって介抱されてるが何がそんなにおかしいんだ?
「ヤマモト殿! 自分を笑い殺すつもりでありますか!」
落ち着くなり腕を振り回し俺を何度も指差し非難するアンだが、何を言ってるのか分からない。
「だいたいヤマモト殿はすぐに人助けするお人好しであります。おっさんのツンデレは冗談にしかならないのでありますよ!」
「ツンデレなんて言葉をどこで覚えて来たんだよお前は!」
「ホルダー先生殿でありますよーだ」
「ホルダー! 余計な事を教えんなや!」
「マスター ヤマモト、実験観測は私の趣味だ。干渉は控えてくれたまえ」
「人を巻き込むなよ、こんちきしょうめ!」
「畜生では無い、無機物だ、私は」
「もっと悪いわ!」
俺は最終的に口喧嘩とツッコミに疲れ、肩で息をし喘ぐ羽目になったが、シャルローネ王女に全面的な許可をもらった訳だ。
ささっと調査してパパっと建て替えますかね、この館。




